コレステロール値が高くなったら、生活習慣の改善が必要。コレステロール値に問題がない人も、実践しておけば将来の病気の予防にもつながります。まずは、すぐに始められる「運動」と「ウォーキング」に関するアドバイスを、静風荘病院特別顧問・天野先生に聞きました。

お話をうかがったのは
天野惠子先生

静風荘病院特別顧問

天野惠子先生

同病院の女性内科・女性外来担当。性差医療研究の第一人者。著書は『女性の「コレステロール」「中性脂肪」はこうして落とす!』(PHP研究所)など。

生活習慣を改善して、病気の芽を早めに摘もう

コレステロール値が異常で脂質異常症と診断されても、すぐに薬での治療が必要なわけではなく、まずすべきは生活習慣の改善。

「ポイントは、動脈硬化をすすめる危険因子である糖尿病、高血圧、喫煙、肥満を、生活習慣を変えて取り除くことです。喫煙者は禁煙をするのはもちろん、食事や運動、ストレス発散、規則正しい生活、十分な睡眠なども、これらの危険因子の改善によいことがわかっています。生活を改善すれば、老化のスピードを遅らせて、健康寿命を延ばすことにもつながります。ここでご紹介するような方法も取り入れて、病気の芽を早めに摘みましょう」

【運動】

脂肪を減らす有酸素運動や、筋肉量を増やす筋トレを
運動不足だと動脈硬化がすすみやすいことがわかっているので適度な運動が必要。「まずおすすめなのがウォーキングなどの有酸素運動。脂肪の燃焼を促すので体脂肪を減らすのに最適。一日に30分以上、週3回以上行うのが理想的ですが、むずかしければ10分の運動を週3回行うことから始めて。慣れてきたら筋トレも取り入れると筋肉量が増えてより太りにくい体に。ここで紹介するような筋トレを一日10分、週2〜3回以上行いましょう」。

太ももの後ろやおしりの筋力をつける
1セット10回、3セットを週に2〜3回

太ももの後ろやおしりの筋力をつける運動1

1.仰向けになり、足は肩幅程度に開き、膝は90度に曲げる。

太ももの後ろやおしりの筋力をつける運動2

2.息を吐きながら4秒ほどでおしりをゆっくり上げる。息を吸いながら、4秒ほどでゆっくりと下ろす。

《注意点》
・おしりは無理に上げすぎない
・おしりを上下する動きはゆっくりと
・きついと感じるときは床からおしりを低めに上げる


腹筋や背筋を鍛える
左右交互に5回ずつを1セット、1セットを週に2〜3回

腹筋や背筋を鍛える1

1.手と膝を床につけ、四つんばいになる。手と足は肩幅程度に開く。

腹筋や背筋を鍛える2

2.息を吐きながら、ゆっくりと片側の足をまっすぐ上げる。床と平行にして水平に。

3.同様に、上げた足と反対側の手を床から離し、まっすぐ前に伸ばす。床と水平にして、上げた足と腕が一直線になるように。

4.この姿勢を10秒保ったあと、息を吸いながらゆっくり最初の姿勢に戻す。

《注意点》
・足はおしりより上に上げない
・きついと感じるときは手か足だけを上げる

【ウォーキング】

一日に8000〜10000歩を目標に歩くのが理想的
有酸素運動で、最も手軽に実践できるのがウォーキング。「有酸素運動は、呼吸をしながら酸素を体内に取り込むことで脂肪が燃焼するので、息が上がらずおしゃべりができるくらいの“ニコニコペース”で歩くのがポイント。一日に20〜25分程度、8000〜10000歩歩くのがおすすめです。早朝や夜は避け、夕方に行うのがベスト。食事の直後は避け、運動の前後や最中は、こまめに水分補給をするよう気をつけながら行いましょう」。

ウォーキング

息の上がらない“ニコニコ”ペースで

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取材・原文/和田美穂 イラスト/小迎裕美子
※エクラ2020年6・7月合併号掲載/Web eclat 2020.05.21掲載