健康診断の数値を見ても、自分はどれくらい冠動脈疾患のリスクがあるのかわからないもの。それを判断できる計算式を大公開。病気のリスクの高さが簡単に診断できるので、この機会にチェックしてみて。

お話をうかがったのは
天野惠子先生

静風荘病院特別顧問

天野惠子先生

同病院の女性内科・女性外来担当。性差医療研究の第一人者。著書は『女性の「コレステロール」「中性脂肪」はこうして落とす!』(PHP研究所)など。

危険因子の点数の計算で自分の動脈硬化リスクがわかる

更年期にコレステロール値が高くなっても慌てなくていいとはいえ、病気のリスクを高める危険因子がほかにある場合は注意が必要。そこで活用したいのが、’17年に日本動脈硬化学会から発表された、自分の冠動脈疾患のリスクを診断できる下の計算式。「冠動脈疾患の危険因子には、喫煙、糖尿病、高血圧、遺伝などがあります。この計算式は、年齢や性別、自分のコレステロール値のほか、喫煙の有無、血圧、耐糖能異常(糖尿病予備軍の状態)の有無、家族歴といった要素をもとに採点することで自分の冠動脈疾患リスクの度合いを診断できます。例えば50歳の女性で、血圧が125/85㎜Hg、HDLコレステロールが60㎎/dL、LDLコレステロールが90㎎/dLで、喫煙習慣・耐糖能異常・早発性冠動脈疾患家族歴がない人の場合は、合計が25になるので、低リスクとなります」。この計算が簡単にできるアプリ「冠動脈疾患発症予測 脂質管理目標値設定ツール」も登場。さっそく計算してみて、中〜高リスクになった人は「更年期世代ができる生活改善アドバイス」の方法を実践して改善を。

危険因子①〜⑧の点数を合算する。

吹田スコア(LDLモデル詳細)

吹田スコア(LDLモデル詳細)

①〜⑧の合計得点が【35以下】
10年以内の冠動脈疾患発症確率【<1%】
発症確率の範囲【最小値/ー・最大値/1.0%】
発症確率の中央値【0.5%】
分類【低リスク】

①〜⑧の合計得点が【36-40】
10年以内の冠動脈疾患発症確率【1%】
発症確率の範囲【最小値/1.3%・最大値/1.9%】
発症確率の中央値【1.6%】
分類【低リスク】

①〜⑧の合計得点が【41-45】
10年以内の冠動脈疾患発症確率【2%】
発症確率の範囲【最小値/2.1%・最大値/3.1%】
発症確率の中央値【2.6%】
分類【中リスク】

①〜⑧の合計得点が【46-50】
10年以内の冠動脈疾患発症確率【3%】
発症確率の範囲【最小値/3.4%・最大値/5.0%】
発症確率の中央値【4.2%】
分類【中リスク】

①〜⑧の合計得点が【51-55】
10年以内の冠動脈疾患発症確率【5%】
発症確率の範囲【最小値/5.0%・最大値/8.1%】
発症確率の中央値【6.6%】
分類【中リスク】

①〜⑧の合計得点が【56-60】
10年以内の冠動脈疾患発症確率【9%】
発症確率の範囲【最小値/8.9%・最大値/13.0%】
発症確率の中央値【11.0%】
分類【高リスク】

①〜⑧の合計得点が【61-65】
10年以内の冠動脈疾患発症確率【14%】
発症確率の範囲【最小値/14.0%・最大値/20.6%】
発症確率の中央値【17.3%】
分類【高リスク】

①〜⑧の合計得点が【65-70】
10年以内の冠動脈疾患発症確率【22%】
発症確率の範囲【最小値/22.4%・最大値/26.7%】
発症確率の中央値【24.6%】
分類【高リスク】

①〜⑧の合計得点が【≧70】
10年以内の冠動脈疾患発症確率【>28%】
発症確率の範囲【最小値/28.1%・最大値/ー】
発症確率の中央値【28.1%以上】
分類【高リスク】

出典:日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』吹田スコアによる冠動脈疾患発症予測モデル

例えば…50歳女性・喫煙なし
血圧…125/85
HDLコレステロール…60㎎/dL
LDLコレステロール…90㎎/dL
耐糖能異常なし
早発性冠動脈疾患家族歴なし
→低リスク

発症確率を上げる〈危険因子〉って?

動脈硬化発症確率を上げる危険因子

「閉経後の女性の動脈硬化リスクを高める危険因子には、加齢、喫煙、糖尿病、高血圧、肥満(メタボリックシンドローム)、冠動脈疾患の家族歴などがあり、特に喫煙と糖尿病が重大とされています。脂質異常症のほかにこれらの危険因子がある人は、生活習慣を見直して取り除いて」

《閉経前にコレステロール値が高い場合は「家族性高コレステロール血症」を疑う》
閉経前からコレステロール値が高い場合は、遺伝性の“家族性高コレステロール血症(FH)” の可能性が。「これは生まれつきLDL受容体に異常があって起こる脂質異常症で、早期診断や早期治療が必要です」。家族性高コレステロール血症のうち、約500人にひとりはいるとされる“FHヘテロ接合体タイプ”には右のような特徴が(2つ以上あてはまると診断)。親もコレステロール値が高い場合は要注意。

〈FHヘテロ接合体タイプ〉
・LDLコレステロール値が180㎎/dL以上(250㎎/dLの場合は強く疑う)
・FHあるいは早発性冠動脈疾患の家族歴(2親等以内の血族)
・腱黄色腫(手の甲、肘、膝などの腱黄色腫あるいはアキレス腱肥厚)あるいは皮膚結節性黄色腫が見られる
※日本動脈硬化学会による15歳以上の診断基準

取材・原文/和田美穂 イラスト/小迎裕美子 
※エクラ2020年6・7月合併号掲載/Web eclat 2020.05.23掲載

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