
国立病院機構久里浜医療センター内視鏡部長。医学博士。慶應義塾大学病院 消化器内科 便秘外来も担当。腸管の異常形態である「ねじれ腸」や「落下腸」を発見。著書に『慢性便秘症を治す本』(法研)など
「ねじれ腸」や「落下腸」による便秘にはマッサージを
便秘の原因のひとつが、実は〝腸の形態〟そのものに問題があるケース。
◆正常腸◆

「腸の形といえば、人体図で見るような四角い形をイメージする人が多いと思いますが、このような形の腸は欧米人には多い一方、日本人にはまれです。慶應義塾大学の解剖学教室で調べたところ、教科書通りの四角い腸タイプの人は 20%もいませんでした。むしろ、腸が複雑にねじれた〝ねじれ腸〟や、大腸が骨盤内など低い位置に落ち込んでいる〝落下腸〟の人が多かったのです。
こういった腸タイプの人は便の通りが悪いので、便秘になりやすい傾向があります。ねじれている分、便が通りにくく、引っかかりやすくもなるうえ、便を出すために大腸が強く動く必要があるので痛みが生じやすい傾向も。何をしてもなかなか改善しないガンコな便秘の人は、ねじれ腸や落下腸の可能性がありますね」(水上 健先生)
こうしたタイプの便秘には、大腸のマッサージが効果的なのだとか。
「特にねじれが問題になるのは、便の水分が吸収されて硬くなっている大腸の後半部分。そこで、ねじれやすい場所や、便がひっかかりやすい部位をねらって、大腸を揺らすマッサージをします。便を薬で柔らかくしてからマッサージを行うと特に効果的で、実際に多くの患者さんが改善しています。また、落下腸の人には、大腸全体を引き上げるマッサージが有効です」
まずは自分がねじれ腸、落下腸の可能性があるかどうか、下のチェックテストで確認して。当てはまった人は、次回ご紹介するマッサージを習慣に!
あなたはねじれ腸? 落下腸?
◆ねじれ腸◆
〈CHECK TEST〉
□子供の頃から便秘だった
□腹痛を伴う便秘になったことがある
□便秘のあと、下痢や 軟便が出たことがある
□運動量が減った途端、 便秘になったことが ある
⬇︎
2個以上当てはまる人はねじれ腸の可能性が

体の左側の下行結腸(下のA図②)や、下側のS状結腸(A図の③)などがねじれてループ状になっているのが最も多いパターン。運動不足で腸が揺らされないと便がねじれに引っかかり便秘になるうえ、慢性的に便がたまって腸が伸び、さらに出にくくなります。
《A図》

◆落下腸◆
〈CHECK TEST〉
□立ち上がると、 おへそから下が 出っ張る
□運動しても便秘が改善しない
⬇︎
2個とも当てはまる人は落下腸の可能性が

本来、大腸の上行結腸と下行結腸(上のA図②)は背中側に固定されています。これが固定されていない人の場合、重力に従って大腸が骨盤の中に落ち込んでしまいます。落下腸になると便の通りが悪くなり、運動不足だと腹痛を伴う便秘にも。
次回は、便秘に効果的な「大腸マッサージ」のポイントをご紹介します。
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イラスト/ハヤシコウ 取材・原文/和田美穂
※OurAge 2020.07.03掲載