「大腸のコンディション」は、生活習慣や食事など、ちょっとした心がけで改善が可能です。今回は、食事に関して気をつけるべきことなどをご紹介します。

教えてくれた先生
水上 健さん
水上 健さん

国立病院機構久里浜医療センター内視鏡部長。医学博士。慶應義塾大学病院 消化器内科 便秘外来も担当。腸管の異常形態である「ねじれ腸」や「落下腸」を発見。著書に『慢性便秘症を治す本』(法研)など

水溶性食物繊維をしっかりとる

「便通改善には食物繊維を1日20gとるとよいとされていますが、便のカサを増やす不溶性食物繊維は、とりすぎるとお腹が張って苦しくなる場合も。一方、水溶性食物繊維は、便を柔らかくして排出しやすくするので、慢性便秘の人はまず水溶性食物繊維の摂取を。里いもやオクラ、海藻、なめこ、アボカドなどに豊富です」

水溶性食物繊維が豊富なオクラ、海藻 

発酵食品をとる

「便秘には、ヨーグルトやチーズ、味噌、漬け物など、乳酸菌を多く含む発酵食品がよいといわれています。なかでも納豆は、納豆菌が腸内の善玉菌になるうえ、水溶性食物繊維も多いのでおすすめ。ただ、発酵食品はとりすぎると腸内でガスが発生しやすくなる場合も。単品を極端に多くとるのではなく、バランスのよい食事を心がけて」

発酵食品イラスト

体をひねる運動をする

「日頃から運動をしている人には便秘が少ないことがわかっています。特に効果的なのが、お腹をひねる運動。例えばテニスやゴルフ、ラジオ体操、フラダンス、ベリーダンスなどです。いきなりハードな運動をすると長続きしにくいので、ラジオ体操など簡単なものから始めてみましょう」

水溶性食物繊維や発酵食品は、摂りすぎも問題あり!?/便秘を解消する生活習慣_3

ラジオ体操は、お腹をひねる動きはもちろん、全身をバランスよく動かすことができます。室内でも行えるので◎

仕事中もこまめに上半身をひねる

「仕事中はパソコン作業などが続き、体を動かさなくなりがちで、腸の動きも悪くなります。定期的に体を動かすようにしましょう。椅子に座ったまま上半身を左右にひねったり、体を前に倒して”く”の字になるような運動は、適度に腸が刺激されておすすめです」

椅子に座って体をひねる女性

できることをやって、あとは気にしない

「便秘がちな人はここで紹介した対策をしてみて、あとは気にしないこと。便秘そのものだけでなく、あれこれ便秘対策をすることがストレスになり便秘を悪化させていることもあるからです。また、”きっと治る”と思うことも大切。それだけでストレスが軽減し、便秘が改善することもあります」

自律訓練法でストレス対策

「ストレス対策におすすめなのが、”自律訓練法”。あお向けで足を肩幅程度に開き、力を抜いて背中をできるだけ床につけます。目を閉じて深呼吸を繰り返し、心の中で〝気持ちが落ち着いている”と数回唱えます。正式には 6 ステップありますが、この一部の方法だけでも効果があります」

仰向けに寝て手のひらを天井に向け、目をつぶる女性

次回は、便秘解消の“大腸活”テク【マッサージ編】をご紹介します。



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イラスト/ハヤシコウ 取材・原文/和田美穂
※OurAge 2020.07.01掲載