自分のおりものの量やにおいがほかの人と比べてどうなのか、気になりますね。どんなおりものなら婦人科を受診すべきか、そのタイミングについて紹介します。また、おりものの量やにおいの悩みにどう対処したらいいのかも、引き続き、産婦人科医の吉本裕子先生に伺います。間違ったケアをすると、かぶれやかゆみの原因にもなりかねません。正しい対策を知っておきましょう。

吉本裕子先生のイラストによる、連載第19回の扉

女性ホルモンがピークの時期は、おりものが多くなる

増田:おりものは月経周期だけでなく、年齢によっても変わってきますか?

吉本先生: おりものは月経が始まる思春期から出はじめますが、10代の第二次性徴期は女性ホルモンの分泌が不安定なので、おりものは多いときと少ないときとバラつきがあるのが特徴です。

性成熟期といわれる20代30代は女性ホルモンが整い、分泌がピークになる時期で、おりものの量も最も多くなります。

その後、更年期になるとおりものは減ってきて、腟や外陰部は乾燥していきます。若いときは、常在菌のデーデルライン桿菌(乳酸桿菌)によって腟は酸性に保たれています。酸性に保つことで病原菌の繁殖を防ぎ、腟内の環境を整えているんです。これを腟の自浄作用といいます。

ところが、更年期になると、エストロゲンの分泌量が低下して、デーデルライン桿菌が増殖できなくなります。すると腟内環境が悪化し、常在菌のバランスが乱れて、腟内の自浄作用が低下します。雑菌が増えたり、カンジタ腟炎や膀胱炎にもかかりやすくなります。

20代30代はおりものの量も多い時期

いつもと違う!と感じたときが、受診のタイミング

増田:おりものが私たちの体を守ってくれているのですね。読者女性のなかには、自分のおりものの量やにおいがほかの人と比べてどうなのか気にする声も多かったのですが、おりものの個人差は、どのくらいあるのでしょうか?

吉本先生:個人差は大きいですね。おりものシートをつけても漏れるくらいの量の方もいれば、まったく気にならない方もいます。でも、量が多いからといって異常があるわけではなく、腟内に悪い菌がいない場合も少なくありません。においも、酸っぱい鼻につくような酸性のにおいなら問題ありません。

異常かどうか、婦人科を受診したほうがいいかどうかの簡単な見極めポイントは、「いつもと違う!」と感じたら、です。今まで経験したことのないような、いつもと違うにおいや色、量などに気づいたら、受診していただくことをおすすめします。

増田:なんらかの病気がある場合などの「異常なおりもの」については、チェック法も含めて次回、詳しく伺いますね。

におい、ベタベタ、量が多い、かぶれなどの対策は?

外陰部を洗いすぎないように注意

増田:正常なおりものでも、量やにおいに悩んでいる人はどのようにケアしたらいいでしょうか?

吉本先生おりものが気になっている人は、実はデリケートゾーン(外陰部)を洗いすぎていることが少なくありません。外陰部はお湯でサッと洗うくらいで十分です。もし石鹸を使いたい場合は、ボディソープは使わず、デリケートゾーンの㏗値に合わせた専用の洗浄剤で軽く洗う程度にしましょう。

また、腟の中には大切な常在菌がいるので、ボディソープはもちろん、お湯や水でも洗う必要はありません。デリケートゾーン(外陰部)で洗う場所は、大陰唇と小陰唇。小陰唇にはヒダがあって、垢が付いていることもあるので、指でそっと凹凸を優しく洗ってあげてください。乾燥が気になったときだけ、デリケートゾーンの保湿剤を外陰部に塗ればOKです。

ビデの使いすぎも要注意です。洗いすぎてデリケートゾーンの皮膚が荒れると、雑菌が入りやすくなってしまいます。

クリニックで赤ちゃんを抱く吉本先生

富山市の「吉本レディースクリニック」の院長、そして産婦人科医として女性医療に携わる吉本先生。

吉本裕子(よしもとゆうこ)先生

吉本レディースクリニック院長

吉本裕子(よしもとゆうこ)先生

産婦人科医。日本専門医機構認定専門医。高知医大(現・高知大学医学部)卒業。金沢大学付属病院、富山市民病院を経て現職。NPO法人女性医療ネットワーク理事、富山市医師会理事、性暴力被害ワンストップ支援センター富山協力医師、女性被害者支援ネットワーク医師、富山大学人間発達科学部附属中学校評議員。吉本レディースクリニックは、病気治療だけでなく、女性の人生に寄り添い、心身の拠り所となるクリニックとして定評がある。『Rp.+(レシピプラス)VOL.21 NO.1 2022冬「ホルモンとくすり」』(南山堂)共同執筆。

吉本先生:おりものシートは、つけっぱなしだと、かぶれてしまうことがありますので私はあまりおすすめしませんが、もし使うなら、こまめに変えることが大切です。おりものが気になる人は、通気性のいい下着を選ぶことも大切。きついストッキングやガードルで締めつけて蒸れると、カンジタ腟炎になることもあります。

デリケートゾーンは、蒸れると雑菌が繁殖しやすくなります。蒸れた革靴の中だと水虫が繁殖しやすいのと同じですね。カンジタ腟炎になりやすい方に、寝るときに締めつけるショーツをはかずにトランクスのような通気性のいい下着に変えるようアドバイスしたら、カンジタになりにくくなったというケースもありました。

増田:おりものの正しいケアを教えていただき、ありがとうございました。ほとんどは正常なおりものなので、心配しすぎないでいいことがよくわかりました。洗いすぎないようにすることも大切ですね。

次回は、異常なおりものとはどんなものか、そのチェック法を教えていただきます。

増田美加

女性医療ジャーナリスト

増田美加

35年にわたり、女性の医療、ヘルスケアを取材。エビデンスに基づいた健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための患者力』『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』ほか

取材・文/増田美加 イラスト/itabamoe Photo by Anastasia Usenko , Olivia Harmon / iStock / Getty Images Plus 企画・編集/浅香淳子(yoi)

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