この4月から、私たちの日々の暮らしにかかわる法律や制度のいくつかが改正、施行されました。そのなかのひとつが、男性の育休を促す「育児・介護休業法」です。

今までも男性の育休制度はあったけれど、実際に休暇を取る男性は少ないと感じている人も多いはず。そんな現状を変えようと、『ユニ・チャーム』『江崎グリコ』が手を組み、育休取得率の向上と男性が育児に参加しやすい体制づくりを目指して、企業向けの両親学級をスタートさせました!

育児・介護休業法の改正で、何が変わるの?

赤ちゃんの手と父親の手

2022年4月1日より、改正育児・介護休業法の段階的施行がスタート。男女ともに仕事と育児を両立できるよう、職場の環境を整備することや、従業員への制度の周知などが企業に義務付けられました。また、夫婦が交互に育休を取得してフレキシブルに職場復帰できるよう、分割取得も可能となります。

これを機に男性の育児休業取得率が上がることが期待されますが、育休を取ることが必ずしも男性の育児参画につながるわけではないという調査結果も出ているのが実情です。そんななか、『ユニ・チャーム』と『江崎グリコ』がタッグを組み、希望する企業を対象に、両親学級「みんなの育休研修」の無償提供を開始しました。

育休取得予定者などを対象に、男性による育児が子どもや家族に与える影響を解説したり、乳児期の育児で大切な、授乳やオムツ替えなどの実践的なノウハウを体験できるプログラムとなっています。

2社が男性の育児参加促進に取り組む背景とは…

ムーニーとアイクレオ

『ユニ・チャーム』は乳児用の紙オムツ「ムーニー」など、『江崎グリコ』は育児用ミルク「アイクレオ」など、それぞれ育児にかかわる商品を展開。いずれも、こういった商品を通じてよりよい育児環境を整えるためのサポートに取り組んでいます。『ユニ・チャーム』はこれまでもユーザー向けに、助産師によるおむつ交換レッスンをオンラインで開催。また、『江崎グリコ』は、家族間での情報共有や子育ての情報を配信する無料アプリを一般向けに提供したり、社内においても、男性育休取得率を上げる制度の拡充を実践したりしてきました。

両社とも、育児環境を取り巻く社会課題に目を向け、それぞれの形で取り組みを行なってきましたが、1社では提供できる情報やサービスに限りがあります。また、父親の育児参加を促進しながら家族や社会全体で子育てを支援できる環境をもっと広めていきたいという思いが一致し、2社協働による「みんなの育休研修」が始動することに。

「みんなの育休研修」で何が学べるの?

アドバイザーが受講者に液体ミルクの使用方法を紹介する様子

今回スタートした「みんなの育休研修」では、開催先の企業のニーズに合わせて2段階のプログラムが用意されています。

1つ目のテーマは「男性育休って、なぜ必要?」。まずは男性の育休制度の説明や利用実態を紹介し、男性育休の必要性を理解してもらうところからスタート。さらに、『江崎グリコ』の男性社員が1カ月育休を取得したときの体験談を共有し、育休中の過ごし方を具体的にイメージしてもらうなど、男性が育児に参加する場合の実際について学べるコンテンツが充実しています。

このなかで興味深かったのが、育休取得が仕事に好影響を与えるきっかけになるという体験者の話でした。男性の育児参加に関しては、親子の絆の形成やライフプランを見直すきっかけになるという“家庭でのメリット”はイメージしやすい一方、一定期間仕事を休むことに不安を抱える人も多いはず。

しかし『江崎グリコ』の男性社員によれば、とにかくやることが多い育児をこなすことで、業務でのマルチタスクや調整能力がつくのだそう。また、“この道はベビーカーが通りづらいな”など、今までとは異なる視点を持って生活を送ることで、広い視野や考える力が養われる人も多いのだとか。育児を通して、職場復帰後にも役立つスキルを向上させることができる。すなわち、「仕事でのメリット」もあるんですね。

“業務が繁忙だ”という理由で育休を取らない人が多い現状を考えると、この研修によって今後、男性の育休取得への意識が大きく変わることも期待できそうです。

オムツ替えの練習の様子

研修プログラムの2つ目は、「育休中、育児ってどうしたらいいの?」というテーマ。何から始めたらいいかわからない人向けに、「家事育児分担シート」を使って育児におけるタスクを具体的に知り、各々の分担についてパートナーと話し合うべきことや心がけるべき点などを紹介。初めての育児に向けての準備をサポートしてくれます。

このプログラムでは、育児中の1日で大きく時間を取られる3大要素、授乳・排泄・睡眠のケアのうち、『ユニ・チャーム』と『江崎グリコ』ならではの「オムツ替えのコツ」と「ミルクの作り方」もレクチャー。育児アドバイザーによる解説と実践練習を通して具体的に学ぶことができます。

4月に開催された育児研修の体験版を視聴して、男女問わず、育児について具体的なイメージを持つこと、“自分もできるかも”と思えるいい機会になりそうだなと感じました。育休を取得できても、休暇に入るまで仕事で忙しくて行政の両親学級に参加できないという男性も、職場でこのような研修を受けられれば、いろんな意味で準備ができるはず!

今後は有償化の可能性もあるそうですが、男性の育休取得の促進や育児参加のハードルを低くしていきたいと、まずは無償提供でスタートしたこのプログラム。育児は両親だけでなく、祖父母や隣人、友人、社会など“みんな”で支援していくべきもの。どこの会社でも当たり前に行われている“新入社員研修”のように、子どもを持つ前に誰もが受講して、育児に関しても協力し合える社会を目指したいーー。そんな思いから、「みんなの育休研修」と名付けられたといいます。

男女共同参画が進み、共働き世帯が増えているなかで、仕事と育児はますます切り離せないものになっています。だからこそ、育児について学ぶ機会が職場で得られることには大きな意味があるといえます。こうした研修が多くの企業に広がることによって、旧来の役割分担意識のためにどうしても女性に偏りがちな育児が、パートナーと気持ちよく分かち合えるものになることを期待したいですね。

構成・文/政年美代子 画像提供/みんなの育休研修 Photo by hallohuahua / iStock / Getty Images Plus

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