近年の生理用品の進化や“フェムテック”という言葉の浸透とともに、生理についてオープンに語られる場面が増えてきました。その一方で、生理にまつわるさまざまな問題も浮き彫りに。経済や環境的な要因から生理用品に思うように費用をかけられない「生理の貧困」や、生理に起因する心身の不調に関する「ジェンダーギャップ」、生理に関する知識不足などが、社会問題として認識されはじめています。

そんななか、「さまざまな施設で無償提供されているトイレットペーパー同様に、生理用品が常備される世の中にしたい!」という思いでスタートしたのが「OiTr(オイテル)」というサービスです。

ナプキンを無料で受け取れる「OiTr」の仕組みとは?

オイテルの設置イメージ写真

2021年8月よりサービスの提供が開始された「OiTr」は、ショッピングモールや学校、公共施設などの個室トイレに生理用ナプキンを常備し、無料で提供するサービスです。各施設の女性個室トイレに設置したナプキンのディスペンサーに、デジタルサイネージ機能を搭載。そこに企業の広告を流すことで得られる広告費で生理用ナプキン代をまかない、ナプキンを無料提供できる仕組みになっています。

「OiTr」を設置する施設のオーナー、この事業のスポンサー、広告を出稿する企業など、さまざまな形で多方面の企業が参画し、ビジネスを通して社会課題の解決に取り組んでいます。

アプリダウンロードから生理用ナプキンの提供までの様子

現代の生活状況に合あわせて、「OiTr」の利用にはスマホを活用。利用者は、まず個室トイレの壁に掲示されているQRコードを読み取るか、事前にApp Storeなどで無料のアプリをダウンロード。アプリ内の“取り出し”ボタンをタップしてディスペンサーにスマホを近づけると、自動でナプキンが1枚出てきます。(2枚目以降を使用するにはユーザー登録が必要になります)

衛生面が気になる生理用ナプキンだけに、ディスペンサーが抗菌仕様であること、また本体に触れずに取り出せるという仕組みには安心感がありますね!

オイテルで提供している生理用ナプキンの画像

このナプキンの無料提供サービスには、25日間ごとに7枚使用可能で、2時間に1枚取り出せるという枚数や時間のルールが設けられています。自分があと何枚使えるかなどもアプリで見ることができるので、スマートで使いやすい!

提供されるナプキンは、多くの人が安心して使いやすいものをという観点で、国内大手メーカーの製品を使用しているのだそう。

「OiTr」設置場所も全国へ順次拡大中!

OiTr設置施設の画像

「OiTr」は現在、全国16都府県の65カ所の施設で933台を導入(2022年1月24日時点)。設置場所は池袋PARCO、渋谷モディ、慶應義塾大学、横浜市役所ほか、有名な商業施設や教育機関、公共施設など。多くの人が訪れる場所への設置が増えています。設置場所は「OiTr公式サイト」から確認できます。

サービスがスピーディに拡大する一方、ポーラや小林製薬といった身近な大手企業も、このサービスの"ソーシャルグッド・パートナー"として参画。女性の生涯にかかわる「生理にともなうさまざまな負担」の解決をサポートするこうした試みを、私たちも関心を持って見守り、応援していきたいですね。

OiTr公式サイト
https://www.oitr.jp

構成・文/政年美代子