常に心の中にモヤモヤとした心情を抱えがちなアラフィー世代。でも、「不安」っていったい何? なぜ起こる? 不安の正体とメカニズムを、心療内科医の姫野先生に分かりやすく解説していただきました。

教えてくれたのは…
姫野友美先生

ひめのともみクリニック院長

姫野友美先生

心療内科医、医学博士。ひめのともみクリニック院長として診察を行う。前・日本薬科大学薬学科教授。『心療内科医が教える 疲れとストレスからの回復ごはん』(大和書房)など著書多数、テレビのコメンテーターとしても活躍中。

不安は、神経伝達物質の状態が乱れた「脳」の症状

「不安は、ずばり脳の症状なのです」と「ひめのともみクリニック」の院長、姫野友美先生。
「脳内には、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどさまざまな神経伝達物質があります。これらのうち、どれかひとつが過多になったり少なくなったりしてバランスがくずれると、感情のコントロールができなくなってしまうんですね。不安とは、このような脳症状なのです」

なかでも、エクラ世代の不安感には、特徴があるという。
「これといった理由がないのに、モヤモヤと不安を感じてしまうケースが多いのです。これは更年期に向けて女性ホルモンのエストロゲン値が下がってくることに関係しています。エストロゲンとセロトニン神経はリンクしているので、エストロゲン値が下がるとセロトニンの分泌も少なくなってしまう。つまり、神経伝達物質のバランスがくずれてしまうんです」

年齢を重ねる過程での、ひとつの生理現象。そう考えると少し気持ちが軽くなるかも……。
「仕組みが理解できれば、悶々と思いつめるより『セロトニンが足りないならどうしたらいいのかな』と考えるほうが前向きですよね」

そうはいっても、家庭や家族、仕事など、エクラ世代は悩ましい問題を多く抱えがち。
「エクラ世代は先に述べたような身体面だけでなく、子供の巣立ちや親の高齢化、仕事では責任のある立場に立ったりと、環境面でもストレスが多い世代。ストレスを感じやすいと、不安も感じやすいと解釈していいでしょう」

姫野先生によると、ストレスや不安は、感じやすい人とそうでない人が見られるそう。
「感じやすさに、遺伝はありません。ただ、母親の影響は大きいと考えられます。心配性の母親だと、子供もその影響を受けやすいものです。また、自己否定的な人や完全主義で厳しい人も、セロトニンをたくさん消費してしまいます」

エクラ世代は、多少の不安を感じてあたりまえ!くらいの気持ちでいてもいいのかもしれない。
「まずは、生活や食事から体を整えましょう。体が整えば、不安の軽減にもつながり『なんとかなるだろう』という気持ちになります。眠れないなどの症状が2週間以上続くようであれば、受診をしてください」

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エクラ世代を取り巻くストレス環境

《親の介護》自宅で看(み)る? それとも施設で?
病気や体力の低下など、親の世話をどうするかを考えなくてはならない時期。自宅、施設、どちらにしても、悩ましい問題は山積み。

《子供の受験》自分でするほうがよっぽど楽
子供の将来を左右するかもしれないと思うと、受験は親も気が気でない。日ごろの成績から学校選びまで、そばでハラハラしどおし。

《仕事》責任世代は苦労がつきない
部下を抱え、あちこちからギュウギュウ詰め寄られる管理職の立場にいる人も多い。責任も重くなり、毎日気の休まるときがないのが現状。

《子供の巣立ち》いつも一緒にいたはずなのに
進学や就職など、子供の巣立ちを経験する人も。子育ての終了は喜ばしいはずなのに、取り残されたような寂しさがのしかかる。

《更年期》よくわからない不調が続々
個人差はあっても、体になにかしらの不調が現れる時期でもある。体型や肌の状態も、以前とは明らかに変わっていることを実感…。

《夫との関係》定年を迎えたあとはどうなる?
夫が定年を迎えたら夫婦ふたりだけの毎日に。それを考えると、何を話したらいいのか、どう過ごせばいいのかが見えず、思わずため息。

《中年の危機》年齢的にエクラ世代がぴったりはまる、「第2の情緒的青春期」って何?

「45~60歳は、心理学者のレビンソンが説いた『中年の危機』にあたります。子供の手も離れ、仕事もある程度の地位に就き、若いときに目ざしていたことが一段落。すると、やりがいを失ったような、先が見えたような、喪失感に似た感情を覚えるのです。そして、今の生活のためにあきらめたことや捨ててきたものを『これでよかったのかな』と考えてしまう。でも、ここから始めるにはちょっと遅い……そんな葛藤がある時期なので不安にもなるのです。実は、この時期は『第2の情緒的青春期』ともいわれていて、『もう一度、ときめきたい!』とあがいたり、惑ったりする時期。浮気をしたり、アイドルに夢中になる人も多いのは、“2度目の青春”を迎えているためなのです」

45〜60歳・成人期中期(中年期)

成人期中期(中年期)

図:男性成人期ライフサイクル(Levinson,D.T.,1979)より一部抜粋。自我の惑いや停滞が多くなる成人期中期こそ、エクラ世代!

■不安感が強くなったら Web eclatで読む
<アラフィーの不安感体験談③>仕事で、きつめに念押しをしてしまう自分に自己嫌悪
<アラフィーの不安感体験談②>年齢による体力や外見の変化を感じて自信喪失…
<アラフィーの不安感体験談①>急にひとりぼっちのような気持ちに

取材・原文/三宅智佳 
※エクラ2020年4月号掲載/Web eclat 2020.03.05掲載

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