誰もが自分らしく生きられる理想の世界のために、社会に潜む問題と、それを解消しようとする動きを考察。今回は、ジェンダー問題についてクローズアップ。

Be yourself

独りよがりな美容は終わった。私たちがキレイのためにできること、知るべきこと100

平等な世界のために知るべきこと 

佐々木かをりさん

イー・ウーマン代表 ユニカルインターナショナル代表

佐々木かをりさん

働く女性の声を発信するサイト「イー・ウーマン」を運営。ダイバーシティに関する講演や研修も行う。

長田杏奈さん

美容ライター

長田杏奈さん

女性誌やWEBで活躍。著書はフェミニズム視点で美を語った『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)など

Q.女性の起用。日本は世界的に遅れてる? 進んでる?

残念ながらとても遅れています
「海外では企業の管理職に女性がいるのが当たり前ですが、日本では単に女性を採用しているだけに留まっている企業も多数。先日、政府が『2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする』という目標を先送りにしたことからも日本の遅れがわかります」(佐々木さん)


Q.ダイバーシティを阻む大きな要素は?

無意識の偏見

「企業などでも、男性と女性なら男性のほうが仕事ができると思ってしまったり、女性のことは個人でなく、“女性は”と一括りで見られたりと、無意識の偏見が常に働きます。この偏見がなかなかなくならないことが問題」(佐々木さん)


Q.企業がダイバーシティを取り入れるメリットは?


企業価値が上がり、GDPも上がると言われています
「アメリカでは女性役員が多い会社は利益率が高かったり、投資家の間でもダイバーシティが進んでいる企業に投資しようという動きがあり、企業価値が上がることがメリット。日本も男女格差をなくすとGDPが15%上がると言われています」(佐々木さん)


Q.世界で問題になっていることは?


教育機会の不平等など問題はいっぱい
「たとえば、銀行口座を作るにも夫の署名が必要だったり、あるいは女性器切除があったり、女性は教育が受けられなかったりと、問題は多数。これをその国の文化とするか、人権問題として国際社会で動くべきことか意見が分かれますが、後者の動きが高まっています」(佐々木さん)


Q.ジェンダーとは?


男と女を線引きし序列化する実践/社会的性別(化)
身体的な性差と区別した社会的な性差のこと。「ジェンダーとは、男と女を線引きし、序列化する実践のこと。社会的性別(化)とも言います」(上野千鶴子先生)


Q.LGBTQとは?


セクシャルマイノリティの総称
「Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシュアル、Tはトランスジェンダーの略。最近、性や性的指向を定めていないQ(クィアまたはクエスチョニング)を加えることも」(上野先生)


Q.フェミニズムとは?


「女だから」と差別されず自由に生きるための思想
「フェミニズムとは、“女だからって差別されたくない!”、“女らしさ、男らしさに縛られずに自由に生きたい”というあなたのための思想と実践です」(上野先生)


Q.海外セレブの発言で話題になったことは?

「UN Women親善大使であるエマ・ワトソンは、国連で“大事なのはフェミニズムという言葉自体でなく、背景にある考えや思いです”という内容のスピーチをし、話題に。また、日本だとフェミニストは肌の露出が低いイメージですが、エミリー・ラタコウスキーは“自分の裸を楽しむ権利は自分にある”と、肌見せファッションも楽しんでいて印象的」(長田さん)

エマ・ワトソン

エマ・ワトソンは、独り身でも幸せに感じるからと、「自分自身が“セルフパートナー”」という発言も。この言葉は世界中に拡散され、ツイッターのトレンドにも。

エミリー・ラタコウスキー

©Sipa USA/amanaimages

“セクシーすぎる”と反感を買うことが多かったというモデルのエミリー・ラタコウスキー。現在は“セクシーであることは自己表現の一種として称賛されるべき女性らしさである”というような堂々とした発言で、共感を呼んでいる。

イラスト/mamiyoco 取材・文/和田美穂 関本陽子 構成/火箱奈央(MAQUIA)
※MAQUIA2020年11月号掲載/@MAQUIA ONLINE  2020.10.15掲載