
性に関する話は誰にも相談できない、ママ友とも話せない……という人は多いはず。性教育にまつわる疑問、日々の生活でドキッとしたときの対処法などを、性教育アドバイザーののじまなみさんが回答します!

性教育アドバイザー
のじまなみさん
「とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会」代表理事。国内外1万人のお母さんたちに性教育を伝える。『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)など著書も多数。13歳、11歳、5歳の3姉妹の母。
Q テレビでわいせつ事件のニュースが流れると「何があったか教えて」と小6の息子。どこまで説明すればいい?
A
大事なのは、すべて隠さずに具体的に伝えることです。「被害者が加害者に無理やり体を触られたり、キスをされたりすること」であり、これは女の子に限らず、男の子が被害にあうこともあるんだとしっかり伝えましょう。ぼんやりとごまかして何をされたかわからないと、危機感を持つことができません。

Q きちんと教えなければと思い「怖い人もいるんだから、気をつけて!」と言いすぎると恐怖心や嫌悪感をいだいている様子…。 言いすぎもよくない?
A
ママたちは焦って防犯の話をしますが、それ以前にセックス、命、愛情などについて話しておかないと子どもは怯えるばかり。「ママが大好きで大切なあなただから、知らない人に体を触らせてほしくないんだよ」ときちんと伝えて。
Q 男女の兄弟は、何歳頃まで一緒に寝たり、お風呂に入ってもいいもの?
A
異性の親と同じで10歳ぐらいまで。小学5年生になったら、体も変化するのでやめさせたほうがいいですね。でも、小さい頃は一網打尽に性教育ができるので、むしろ男女の兄弟は一緒にお風呂に入ることをおすすめしています。
Q 小6の息子がマスターベーションをしているようでショック…。何か親がすべきことはある?
A
マスターベーションは幼少期からする子もいて、気持ちいいと感じるのは自然現象。親がすべきは、時間と場所を指定すること。小さい子なら人前でしないように「ベッドで寝る前だけね」。思春期ならひとりになれる時間をつくってあげて。
Q 夫婦のセックスを見られて、翌朝「パパとママは何してたの?」と聞かれた…! どうすれば?
A
見られてもわざわざこちらから説明する必要はありませんが、聞かれたら「夫婦のコミュニケーションだよ」と堂々と言ってしまってOK。ただこれも、性教育、セックスの話ができていないと唐突で子どもはびっくりしてしまいます。日常的にどれだけ性の話をできているかが勝負です! ただ、子どもに見られない工夫も必要です。
Q 温泉などで、男の子は何歳頃から女湯に入ることはNGなのでしょうか?
A
各自治体の条例で定められている年齢を厳守して。ただ小学生になっても男の子が女風呂に入っているケースもありますが、これはマナー違反だと私は思います。小学生の女の子が男湯なんてさらにご法度。性犯罪につながる心配も。私は、4歳以降は自分の性のお風呂に入るべきだと考えています。
Q 夫は愛情やスキンシップだと思っているのか、小4の娘へのハグやチュー、一緒にお風呂に入ることを何も感じていない様子。これってやっぱり問題?
A
女の子がいつまでも父親にべったりだと、恥じらいが持てない場合も。胸が膨らんでもブラジャーをつけない、スカートで足を広げても気にしない。男性に警戒心がなさすぎて「君の体を触らせて」と言われても「はい、どうぞ」と触らせてしまうこともあります。10歳以降は父親と娘が一緒にお風呂に入ることはお母さんが止めてあげましょう。

Q 大学生になり、ひとり暮らしを始めることに。これまで性教育をしてこなかったけれど、今からでも伝えておくべきことは?
A
これまで性教育をしていなくても「もう大人だから大事な話をするね」と始めて。恋人がいればリアルに必要な避妊や、大人だからこそ気をつけたい犯罪の話も。例えば「リベンジポルノって知ってる? どんなに好きな相手でも裸の写真や性行為の写真は撮らないでね」など。無知が一番怖いので、具体的に話しましょう。

直接的に性のことが話しにくいとき、絵本や本をきっかけに話すとスムーズかも!

『マンガ おれたちロケット少年』『マンガ ポップコーン天使』(各)¥1,500/子どもの未来社
おちんちんの大きさ、形、勃起など男の子が知りたい疑問に答える『おれたちロケット少年』と、生理、ブラジャー、妊娠など女の子の体について解説する『ポップコーン天使』。マンガで読みやすいので就学後の子どもに。

『タンタンタンゴはパパふたり』¥1,500/ポット出版
ニューヨークのセントラル・パーク動物園で実際にあったペンギン家族の話。いろいろな家族の形があっていいことや、LGBTの理解を深めることもできる絵本。ぜひ親子で読んでみてください。

『いのちのまつり』¥1,500/サンマーク出版
ご先祖様からつながれた命のバトンリレーは、誰が欠けても自分は存在しない。いのちの尊さ、大切さをじっくりと味わえる絵本。就学前の幼児期の子どもたちに特におすすめです。
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撮影/HAL KUZUYA ヘア&メイク/杉山えみ イラストレーション/曽根 愛 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
※LEE 2020年12月号掲載/@LEEweb 2021.01.10掲載