2024年8月より、多数ご応募いただいた中から読者代表として選ばれた「yoiクリエイターズ」による発信がスタート! 今回は高橋琴美さんに、アパレルブランドを通して社会課題と向き合うファッションブランド『coxco(ココ)』をご紹介していただきます。
【yoiクリエイターズとは?】
yoiの読者としての目線を生かし、語学やアート、文章表現などのクリエイティブスキルを発揮して、情報を発信していくクリエイターのこと。ビューティーやウェルネス、カルチャーや社会派の記事など、それぞれの得意分野でyoi読者におすすめのコンテンツを毎月配信します。メンバーは24年12月現在石坂友里さん、くどうあやさん、高橋琴美さん。
こんにちは。yoiクリエイターズの高橋です。今回はアパレルを通して社会課題と向き合うファッションブランド『coxco(ココ)』と、その創設者の西側愛弓さんについて取材をさせて頂いたのでご紹介をしたいと思います。
『coxco(ココ)』が生まれた理由とは?
私が『coxco(ココ)』と出合ったのは、ブランドがちょうどローンチされた2020年でした。西側さんにも同じタイミングで出会い、彼女がブランドを立ち上げるにあたっての思いや、それまでの取り組みにとても心動かされたのを覚えています。数年たった今、私も社会や地球のためにどんな選択肢があるのか知りたいと思い、改めて今回取材をさせて頂きました。
西側さんによると、2020年時点で日本国内だけでも年間100万トン(約30億着分)のアパレル製品が廃棄されていたそう。にもかかわらず衣類の生産量は年々増えていて、2030年には全世界で生産量が1億200万トンに到達する見込みだと教えてくれました。
アパレル製品が安価に手に入り便利になっている反面、そういった生産スタイルが原因で大量のゴミ問題へと発展している。これまでの私は何も疑うことのなかった生産や消費の在り方でした。西側さんがその問題解決に立ち向かうために生まれたのが『ココ』というファッションブランドです。
『ココ』の創設者、西側愛弓さんにインタビューしました!
株式会社coxco CEO / NPO法人 DEAR ME 代表理事
ファッションブランド『ココ』を運営している営利団体の株式会社coxcoのCEOであり、非営利団体のNPO法人DEAR ME代表理事。また、フィリピンで貧困層の人々が無償で通えるファッションスクール「coxco Lab」を運営している。
高橋:西側さんはどうして『ココ』というファッションブランドを立ち上げることになったのでしょうか?
西側さん:「私が大学生だった頃、いろいろな国を旅して自分がやりたいことを見つめ直したとき、大好きなファッションを通して、多くの子どもたちを笑顔にする活動がしたいと思い立ちました。そこで非営利団体のNPO法人DEAR MEを立ち上げたんです。そしてフィリピンで子どもたちを対象にしたファッションショーを開催しました。寄付により集まった古着を日本から持ち込み、それを着て子どもたちはランウェイを歩きました。笑顔の子どもたちを見てうれしさが込み上げると同時に、ファッションショーを通して夢を描いたとしても、貧困などを理由にその夢に対して努力できる環境がない子がいることに憤りを感じたんです」
そこで西側さんは教育と雇用を生み出す仕組みを作るため、大学を卒業後は一般企業に入り事業について学び、その後独立。株式会社coxcoを設立し、ファッションブランド『ココ』をローンチしました。
“可愛くて着心地がいい”服を作る
『ココ』は一般的なアパレルブランドのようにシーズンごとのコレクションは設けていません。アップサイクルで上質な素材との出合いがあったときや、やりたい企画に合わせて服をデザインし、制作をしています。
高橋:アパレル産業によるゴミ問題を解決するべく活動をしている『ココ』ですが、どのようにユーザーにアプローチをしていますか?
西側さん:「私たちは素材・デザイン・長く着られる服であることの3つを大切に服を製作しています。どのアイテムも環境配慮型素材を使用していて、耐久性やタイムレスなデザインで長く着ることができる服を作ることを心がけています。そしていちばん大切なのは何より可愛いと思ってもらえる服であること。社会問題に興味がなかったとしても、『ココ』を手に取ってもらい、知ってもらうきっかけにつなげられたらと思っているんです」
服を通して一人一人が社会について考えるきっかけにつなげたい
高橋:環境に配慮した素材を使用し、問題解決に向けて取り組んでいる西側さんですが『ココ』をサステナブルブランドとは呼んでいないことに驚きました。キャッチーかつ他のメディアが注目するそのワードを、あえて使わないのはなぜなのでしょうか?
西側さん:「『ココ』のアイテムには環境配慮型素材をメインに使用をしていますが、着ていて気分がよかったり、可愛いと思ってもらえる服を提供することも大切にしています。ブランドのベースに100%でなくても自分がまずできることを、無理のない範囲から始めてほしいという思いも込めており、サステナブルブランドと呼ばないことで『ココ』や社会問題に対するハードルを下げる狙いもあります」
こういったブランドの立ち振る舞いが、購入する人たちにとって心地いい温度感なのかもしれないと私は感じました。
西側さん(左)と自分でデザインした衣装を着ているフィリピンの男の子(右)。
『ココ』の売り上げが循環し、社会貢献へとつながる
『ココ』の売り上げの一部は、DEAR MEで運営している服飾スクール兼、縫製工場である「coxco Lab」やフィリピンの子どもたちが出演するファッションショーの開催費用にあてられます。これらの活動も、私が『ココ』というブランドに興味をひかれた理由です。
「coxco Lab」では女性が服飾について学べる学校を運営しています。ここで学んだ女性たちが同じ「coxco Lab」が運営している工場に就職し、『ココ』の洋服作りやフィリピンの企業のユニフォーム作りに技術を生かしています。学ぶだけで終わりではなく、その技術を生かした職も提供する、西側さんの愛に溢れた取り組みのひとつだと感じています。
また西側さんが大学生時代から続けているファッションショーも続いており、次回2025年2月の実施で11回目を迎えます。開始した年は日本の古着を使って衣装を製作していましたが、現在ではフィリピンの子どもたちがデザインした洋服を、日本の服飾専門学生やデザイナーの協力のもと制作し、デザインした子どもたち自身がそれを着用しランウェイを歩いています。このランウェイをきっかけに服飾の世界に夢を持ち、「coxco Lab」で学ぶ子もいるのだそう。子どもたちの未来は、ちょっとしたきっかけ次第で大きく変わっていくと私は思います。そういった素敵な出会いを提供できる大人に、私もなりたいと思いました。
毎日の生活でも心地のいい選択を意識したい
今回『ココ』についてや西側さんにお話を伺って、小さなことからでも意識することに意味があるんだということに気づきました。サステナブルな暮らしであったり、社会問題に対する取り組みであったり、どうしても何かを始めると完璧を求めがちですが、その必要はなく…。サステナブルな服を取り入れるにしても自分に心地のいい塩梅で、継続的に意識することが、後々大きな結果を生むのではないかと私は思います。
『ココ』のアイテムたちの中でも私が特に気になっているものをご紹介します!
ワンピース¥41800/ココ
まずはこちらのワンピース! ビスチェのようにタイトな胸まわりとは対照的に、スカート部分はフレアなシルエット。一枚で着るのはもちろん、中にトップスをレイヤードしても素敵に着こなせそうです。制作はすべて西側さんが運営するフィリピンの服飾スクール兼、縫製工場である「coxco Lab」が担当しています。
バッグ¥32450/ココ
お次はリボンのようなハンドルが可愛いトレンドのミニバッグ。側面にはビジューがあしらわれていて、持つだけで華やかな雰囲気に。このビジューの縫い付けも「coxco Lab」が担当しているそうです。
そしてcoxco Official HPから衣類・バッグを購入すると、「coxco Lab」で製作したポーチに入れて届けてくれるサービスも! ポーチには製作した日付と製作者の名前が入っています。こういった特別感が、さらに購入したお洋服に愛着を持たせてくれる工夫だなと感じました。※なくなり次第終了
構成・文/高橋琴美