夏の暑さや紫外線による肌ダメージを受けて、最近毛穴が目立つような気がする…そんな大人の毛穴悩み抱えていませんか? 今回は、アヴェニュークリニック・皮膚科医の太田先生に、毛穴にまつわる基本のキから「これって本当?」という疑問までお答えいただきます。
アヴェニュー六本木 表参道クリニック
藤田医科大学医学部卒、藤田医科大学ばんたね病院、福井県済生会病院にて研鑽を積む。皮膚科、美容皮膚科が専門。丁寧なカウンセリングを通じて患者さまのお悩みに正面から向き合いたいと思っています。どんなことでもお気兼ねなくご相談ください。
- Q1.夏になると、いつもより毛穴が目立つ気がするのはなぜ?
- A1.湿度や気温によって肌の温度が上がり、汗が出たり、皮脂で脂っぽくなるから。
- Q2.夏の毛穴悩みはどのようなものがある?
- A2.代表的なものは、詰まり・開き毛穴が挙げられます。
- Q3.皮脂の分泌が多いと、毛穴トラブルに影響する?
- A3.YES。肌の凹凸やニキビ、黒ずみ、色素沈着の原因となります。
- Q4.暑い屋外と冷房が効いた室内の温度差は毛穴に影響ありますか?
- A4.YES。影響があります。皮脂の分泌が増えたと感じる人が多いです。
- Q5.20代より30代の毛穴悩みが増えてくるのはなぜ?
- A5.加齢とともに毛穴悩みの種類が変わるから。
- Q6.毛穴の大きさは遺伝で決まるって本当?
- A6.本当です。
- Q7.1度開いた毛穴は元に戻らないって本当?
- A7.期間やもともとの皮脂の量、毛穴の大きさなどにもよります。
- Q8.スキンケアで毛穴は目立ちにくくなる?
- A8.YES。毛穴ケアの基本は、“洗顔”と“保湿”です。
- Q9.毛穴の種類によっては、ケアで改善できるって本当?
- A9.毛穴の種類によって変わります。
- Q10.自宅でできるセルフケアとは?
- A10.ピーリング石鹸など角質ケアを取り入れるのがおすすめ。
- Q11.クリニックでできる最新の毛穴治療とは?
- A11.「プルリアル デンシファイ」がイチ押しです。
- Q12.毛穴は食生活などのインナーケアで改善できる?
- A12.直接的な改善にはつながりませんが、維持することは可能です。
Q1.夏になると、いつもより毛穴が目立つ気がするのはなぜ?
A1.湿度や気温によって肌の温度が上がり、汗が出たり、皮脂で脂っぽくなるから。
太田先生 ひと言で「夏の毛穴悩み」といっても、年齢によって原因も変わってきます。例えば20代の場合は、もともと皮脂が多く、湿度や気温によって影響を受けやすくなります。そこに、さらに汗をかくことで水分が蒸発してしまい、肌内部の水分量が保持できず、肌表面はベタベタしているのに、内側は乾燥しているインナードライの状態を引き起こすことに。すると、余計に毛穴が目立ってしまいます。
一方で30代では、加齢や紫外線などによりダメージを受け、肌の弾力やハリが低下してきたりします。その結果、毛穴が涙型や楕円形のようにヨレて目立ってきてしまいます。

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Q2.夏の毛穴悩みはどのようなものがある?
A2.代表的なものは、詰まり・開き毛穴が挙げられます。
太田先生 代表的なものには、角栓が詰まってしまう“詰まり毛穴”と、毛穴の入口が開いて見えてしまう“開き毛穴”があります。ほかには、夏のみならず気になる、“黒ずみ毛穴”や“たるみ毛穴”などが挙げられますね。
Q3.皮脂の分泌が多いと、毛穴トラブルに影響する?
A3.YES。肌の凹凸やニキビ、黒ずみ、色素沈着の原因となります。
太田先生 皮脂の分泌量が増えると、毛穴の詰まりや開き、ニキビができやすくなります。また、皮脂中の不飽和脂肪酸が過剰に増えてしまうことで炎症や色素沈着、黒ずみなどの肌トラブルを引き起こす要因に。
また、よく小鼻の黒ずみを“イチゴ鼻”と例えたりしますが、よく観察してみると角栓が詰まっているわけではなかったりするんですよね。ではなぜ黒く見えるのかというと、皮脂や角栓の蓄積を残したまま放置することが原因。皮脂が酸化して茶色っぽく変化し、色素沈着を起こして毛穴が黒く見えてしまうのです。これを“皮脂フィラメント”と呼びます。
Q4.暑い屋外と冷房が効いた室内の温度差は毛穴に影響ありますか?
A4.YES。影響があります。皮脂の分泌が増えたと感じる人が多いです。
太田先生 個人差がありますが、もともと皮脂が多い人は特に皮脂の分泌量が増えるとも言われています。さらに、温度や温度が高いときに気をつけたいのが“汗”。適切な汗のケアができず放置すると、汗が蒸発し逆に肌の水分を奪うだけでなく、刺激や雑菌が増えて炎症が起こりやすくなります。また、間違ったケアで汗を拭きとることで、必要以上に潤いを奪ってしまうことも。すると、表面は皮脂の分泌が増える一方で、肌の内部は水分量が下がるインナードライという状態が起こりやすくなります。
インナードライで毛穴が開いた状態で、冷房が効いている室内に入ると、急激に温度も湿度も低くなるので、さらに肌が乾燥して毛穴が硬くなりやすい状態に。毛穴が開いたまま、固定されてしまうようなイメージというとわかりやすいかもしれません。そうした悪循環を繰り返すと、ニキビや色素沈着、毛穴開大のリスクが高まります。
Q5.20代より30代の毛穴悩みが増えてくるのはなぜ?
A5.加齢とともに毛穴悩みの種類が変わるから。
太田先生 10・20代の頃は、男性ホルモンや女性ホルモンなどが皮脂の分泌を司っています。また、皮脂腺も発達し分泌量が増えるため、思春期特有のニキビや毛穴が気になることが多いですね。
20代では、思春期特有の皮脂腺の発達が落ち着き、自分にあったケアなども覚えて肌のよいコンディションを保つことが増えてくる傾向にあります。30代になると、加齢や紫外線ダメージなどにより、肌のコラーゲン量が減り、皮膚がへたってヨレてしまうような“たるみ毛穴”へと変化していきます。
また、女性は、月経・妊娠・出産などホルモンの影響によって肌トラブルが起こりやすい人も多いです。
Q6.毛穴の大きさは遺伝で決まるって本当?
A6.本当です。
大田先生 皮脂の分泌自体は遺伝ではなく、生活習慣やストレス、年齢やホルモンバランスなどに影響されますが、毛穴の大きさ自体は遺伝によって決まるとされています。そのため、もともとの毛穴の大きさから極端に小さくしたいというのは、難しいでしょう。
しかしながら、普段のお手入れやクリニックでの治療を通して、毛穴を目立たなく維持することは可能です。毛穴や皮脂腺が大きく皮脂が多いと、毛穴が詰まったり開いたりしやすいため、普段からこまめな皮脂ケア&保湿ケアがおすすめです。
Q7.1度開いた毛穴は元に戻らないって本当?
A7.期間やもともとの皮脂の量、毛穴の大きさなどにもよります。
太田先生 軽いトラブルでちょっと角栓を詰まらせてしまったくらいなら、すぐに元に戻せるかもしれません。しかし、角栓が詰まったままで長年ケアをせず放置してしまうと、仮に毛穴の詰まり自体は除去できたとしても、除去したあとにぽっかりと穴があいてしまうということも。もともと皮脂腺が大きく、毛穴が大きい人は特に難しいです。
角栓が長い間、一定の場所に鎮座してしまうことで、肌に型取りしているような状態に。前述のとおり、日ごろからコツコツとケアを心がけましょう。

Olga Strel/Shutterstock.com
Q8.スキンケアで毛穴は目立ちにくくなる?
A8.YES。毛穴ケアの基本は、“洗顔”と“保湿”です。
太田先生 基本は、“不要な汚れや角栓を落とすための洗顔”と、肌のうるおいを保つ“保湿”が大切だと心がけて。朝晩の一日2回、夜はダブル洗顔で汚れを優しく落としていきましょう。
また、今話題の成分“レチノール”などのレチノイドもおすすめです。レチノイドの種類や濃度で作用の強さが違うので、医師とよく相談して選ぶことが大切です。レチノールは皮膚のターンオーバーを促進、皮脂の分泌を抑える働きや、コラーゲンの生成を促す作用があるので、毛穴の開きや詰まり、黒ずみにも効果的。クリニックではトレチノインやレチノール製剤を処方できますし、医師や専門家の監修や処方のもと開発されたドクターズコスメを使用してみるのもひとつの方法です。
さらに、個人的には、ビタミンC誘導体や、ビタミンCそのものの“ピュアビタミンC”がイチ推し。従来のピュアビタミンCは不安定で壊れやすいため、なかなか使用するのが難しいという課題がありましたが、ここ最近のものは安定化し浸透性もアップしているのでぜひ手にとってみて。ドラッグストアなど市販の場合は、処方がなくても購入できるので、ビタミンCが配合されたスキンケアアイテムを探してみるのもよいですね。
Q9.毛穴の種類によっては、ケアで改善できるって本当?
A9.毛穴の種類によって変わります。
太田先生 毛穴の種類によって変わります。例えば、開き毛穴の場合は、洗顔ケアで毛穴をキレイに見せることは可能ですが、毛穴の開きそのものを完璧に改善できるわけではないので、「一気に治す」ということは難しいかもしれません。
そもそも毛穴は、皮脂を分泌して肌のうるおいを保つバリア機能としての役割があります。必要な働きをしているからこそ、普段からケアをしておかないと、どうしても開いてきてしまうもの。毛穴ケアに関しては、一発逆転治療というよりも、日頃からコツコツケアしていくのがいいでしょう。
Q10.自宅でできるセルフケアとは?
A10.ピーリング石鹸など角質ケアを取り入れるのがおすすめ。
太田先生 特に毛穴が詰まりがちな人は、角質ケア成分のAHA(クエン酸)・BHA(サリチル酸)などが配合されたピーリング石鹸を使用して洗顔するのがおすすめです。
また、毛穴も気になるけれども、同時に肌の乾燥も気になるという人も多いですよね。特におでこやフェイスラインは乾燥しがちなので、乾燥している箇所は避けて、詰まりが気になるところのみ、ピーリング石鹸を使用するのもおすすめです。
また、レチノイドやサリチル酸入りの美容液などでお肌の状態に合わせたケアを取り入れるのもよいでしょう。
Q11.クリニックでできる最新の毛穴治療とは?
A11.「プルリアル デンシファイ」がイチ押しです。
太田先生 いま話題の注入製剤のひとつである“プルリアル デンシファイ”がおすすめ。プルリアル デンシファイは、肌の再生を目的として作られたもので、主成分は人に適合の高いサーモンのDNAから抽出された「ポリヌクレオチド(PN)」です。ヒアルロン酸とマンニトールも配合されており、肌の水分量を高め、コラーゲン生成を促進し、肌の再生・修復を補うことで、小じわやたるみ、毛穴、赤みにも効果的とされています。
とはいえ、美肌は一日にしてならず。美容医療で毛穴悩みを解消したとしても、ホームケアを怠ってしまっては台なしです。まずは、自宅で毎日のスキンケアの基本のキである洗顔と保湿を徹底して、丁寧なスキンケアを積み重ねていくことが大切ですよ。
美容医療 プルリアル デンシファイ before
美容医療 プルリアル デンシファイ after
Q12.毛穴は食生活などのインナーケアで改善できる?
A12.直接的な改善にはつながりませんが、維持することは可能です。
太田先生 食べ物で直接毛穴悩みを改善することはできませんが、毛穴トラブルの悪化を防ぎ、いい状態を保つことは可能です。
ジャンクフードや脂っこい食べ物をたくさん食べると、動物性脂肪に多く含まれる“飽和脂肪酸”を過剰に摂取することになります。すると肌の再生や修復に必要なビタミン類が失われて、皮脂の分泌量が増加。結果、毛穴に皮脂が詰まりやすく、毛穴悩みやニキビを引き起こす要因に。
肌のためには、皮脂の分泌を適正にコントールしてくれるビタミンB2、ビタミンB6を積極的にとるようにしましょう。また、言わずとも知られたビタミンCは、抗酸化、抗炎症作用に優れているので、毛穴の黒ずみになりにくくしてくれるという働きも。食事での摂取が難しい場合は、ぜひサプリメントを取り入れてみて。
構成・取材・文/木土さや