“おしゃれにガマンはつきもの”とばかり、足に合わないブーツやパンプスを無理してはいていませんか?

足に合わない不適切な靴は、外反母趾やタコ、ウオノメ、巻き爪といった足や爪のトラブルの原因。ここ数年はおうち時間が長かったこともあり、足の悩みをあまり気にせず過ごせていたかもしれません。ですが、今年の春夏は通勤・通学の頻度が増えたり、コロナ対策をしながら外出を楽しみたい気持ちも高まりそう。

そこで、皮膚科を専門とする製薬会社、マルホが実施した「足の健康や巻き爪に関する調査」の結果をピックアップ。巻き爪などの足元のトラブルが抱えるリスクと正しいケア方法について、皮膚科医の高山かおる先生の解説をご紹介します。

巻き爪や足のトラブルはどうして起こる?

「足の健康」について考えたこと、ありますか?

健康意識が増加した人は81.2%。一方足元の健康は51.8%が意識していないという調査結果のグラフ

マルホの「足の健康や巻き爪に関する調査」は、全国の20歳以上の男女、計400名(うち、巻き爪罹患者200名)を対象に行われました。それによると、コロナ禍で健康意識が高まったという人は81.2%と多いのに対し、“足元”の健康については「意識していない」と回答した人が51.8%。健康意識が高まったとはいえ、足にまでは目が向いていない人が多いのが現状のようです。

足のトラブルを感じた際に約80%が病院を受信しないと回答

足のトラブルで病院へ行かない理由トップ3

足のトラブルで病院へ行かない理由を聞いたところ、いちばん多かったのが「自分で対処できる」という回答。「そのうち治ると思っている」など、病院へ行くほどではないと自己判断している人が多いことがうかがえます。また、「そもそも何科に行けばいいかわからない」と、病院へ行くことは考えても実際に行動に移せない場合もあるようです。

こうした現状について、皮膚科医の高山かおる先生は警鐘を鳴らします。

「タコやウオノメ、巻き爪といった足や爪のトラブルは、根本にある体の不具合(特に運動機能障害)が皮膚や爪の病変として表層化したものととらえることができます。足のトラブルは、例えば、外反母趾のような足の骨格の変形や姿勢・歩き方の問題、不適切な靴をはいている、下肢機能が低下しているなど、原因となる問題が隠れていることが多いため、放置しないことが大切です。

一方で、皮膚病変を治療したり巻き爪を矯正することで、正常な運動機能を取り戻せることも多くあります。診療をしていると、よく『痛みがなければそのままにしておいていいでしょうか?』と聞かれることがありますが、上記のような根本の原因を見つけたり、将来的な転倒リスクを回避するためにも、足のトラブルは積極的な解決を検討すべきです」

高山かおる先生

皮膚科医

高山かおる先生

皮膚科専門医として、埼玉県済生会川口総合病院 皮膚科主任部長を務める。東京医科歯科大学大学院 皮膚科学教室特任准教授、日本臨床皮膚科医会 常任理事、足育研究会代表、日本フットケア・足病医学会理事、日本トータルフットマネジメント協会理事、日本皮膚免疫アレルギー学会 代議員なども兼務。

巻き爪のリスクを避けるには「靴選び」が大事!

51.6%が試し履きせずに靴を購入することがあると回答

合わないとわかりながら靴を履く人の割合のグラフ

また、足のトラブルとかかわりの深い靴選びにおいて、「試しばきをせずに購入することがある」と51.6%の人が回答。「自分に合わないとわかりながら靴をはく」という人も60.1%という結果で、過半数の人が靴に注意を払えていないよう。さらに、実際に巻き爪を患っている人の中でも70.5%が、合わないと認識しながら靴をはいていることもわかりました。

巻き爪などの足トラブルを避ける靴選びのポイントは?

合わない靴をはきつづけることは、巻き爪やその他の足のトラブルを発生させ、症状を深刻化させるリスクがあります。自分の足に合った靴選びのためには、まず自分の足の形を知ることが重要だと、高山先生は言います。

足の形と合う靴のデザインのイラスト

足の形には、おもにエジプト型、ギリシャ型、スクエア型の3タイプがあるといわれていて、足の形によって合う靴のデザイン(特につま先部分の形)が違うのだそう。足の形に合う靴のデザインは以下のとおりです。

・エジプト型(親指がもっとも長いタイプ)・・・オブリークトゥやラウンドトゥの靴
・ギリシャ型(人差し指が一番長いタイプ)・・・ラウンドトゥ、ポインテッドトゥの靴
・スクエア型(親指から中指までがほぼ同じ長さ)・・・スクエアトゥの靴

ただし、サイズや靴のデザインはメーカーによって異なるので、靴を選ぶときは必ず試しばきを!

「多くの足のトラブルの原因にもなる巻き爪は、初期段階であれば爪の切り方を改めたり、靴を適切な形のものに変えたりすることによって症状が改善する可能性があります。しかし、巻き爪を放置したままや、自己流の対処では治すことはできません。爪の切り方や洗浄、保湿などのセルフケア方法から、歩き方の改善、矯正治療まで、適切な処置を行うためにも、早めに皮膚科などの医療機関を受診しましょう」(高山先生)

気温が暖かくなり、外出する機会が増える春。さらにサンダルをはく夏に向けて、素足が露出するシーンも増えていきます。春夏のお出かけやファッションを楽しむためにも、気になる足の悩みがあれば早いうちに病院で相談しておきたいですね。

どの病院にかかればいいかわからないという声が多かった「巻き爪」を診療している医療機関のリストが、マルホのWEBサイト内の巻き爪専門メディア「巻き爪を知る・治す・予防する」に掲載されていますので、参考にしてみて。

構成・文/政年美代子 資料提供/マルホ株式会社