バッグの中にお気に入りのケアアイテムがあるだけで、なんだか安心できるという人は多いはず。ほっと一息つきたいとき、リフレッシュしたいとき、さっと取り出して、自分のためにケアをする。そんな時間は心を優しく癒してくれます。

連載「SELF-CARE RELAY」では、今気になるあの人に、そんなセルフケアの愛用品をご紹介いただきます。前回の大澤実音穂さんからバトンを受け取ったのは、シンガーソングライターの向井太一さん。スタメンコスメや香りもの、メンタルケアの方法は? 「自分に合ったもの」にこだわりぬく向井さんならではのバッグの中身を見せていただきました!

"ラブマイセルフ"が最高のセルフケア。シンガーソングライター向井太一さんの「バッグの中身」は?_1

シンガーソングライター向井太一さん

向井太一/TAICHI MUKAI●1992年福岡県生まれ。レゲエやヒップホップからのインスピレーションをベースに、ジャンルを超えた楽曲を生み出すシンガーソングライター。2017年11月に1st アルバム『BLUE』でTOY’S FACTORY/MIYA TERRACEからメジャーデビュー。2019年には全国6都市ワンマンツアーを開催。現在は5thアルバム『ANTIDOTE』を発売中。音楽活動以外にもファッションやジャケットのアートワークなどでも注目を集めている。

向井太一さん

コロナ禍ではストレスを感じることも多く、これまで以上にセルフケアへの関心が深まったという向井さん。自分のコンプレックスをカバーしたり気持ちを高めたりできるコスメや、落ち込んだときに使うケアアイテムなど、「本当に自分が納得できるもの」を探すのが好きだといいます。


Taichi's Self-Care Rules

1. ”メンズ向け”にこだわらず、自分にあったものを選ぶ
2. 隠しすぎないで自然なメイクで悩みをカバー
3. 自分を認めて、”人と違う”ことを楽しむ

バッグの中身はこんな感じ

向井太一さんのバッグの中身

「バッグは、大好きなブランド『Stella McCartney(ステラ マッカートニー)』。本当は手ぶらが理想なんですが、仕事のときはそうもいかない(笑)。せっかく持つなら楽しい気分になれるものをと、このラフィア素材のバッグを選びました。ステラのサステナブルな思想にはすごく共感するところが多くて、このバッグもヴィーガンレザーで雨を気にせず使えるのがいいですね」

「化粧品売り場にも、抵抗なく行きます」

愛用するコスメ (左)リップ&チーク ボーム N°1 ドゥ シャネル/CHANEL (右)マスクフィットクッション/TIRTIR

(左)リップ&チーク ボーム N°1 ドゥ シャネル/CHANEL (右)マスクフィットクッション/TIRTIR

「楽曲だけでなく、ビジュアルに関してもすべてセルフプロデュースなので、メイクも自然と自分でするようになりました。子どもの頃から『女だから男だから』っていうのはあまり気にしたことがなくて。化粧品売り場も抵抗なく行きますよ。

初めはメンズ向けのコスメを使ってみたのですが、皮膚が薄い僕には刺激が強いものが多く、ことごとく肌に合わなくて。バリバリに乾燥してしまうこともありました。そこから、『本当に自分に合うものはどれだろう?』と考えるようになりました。メイクさんや美容師さんにすすめられたものを使うことも多いですね。

それから、YouTubeでメイク動画を見るのも大好きなんです。あの変わっていく過程を見ていると、すごいなあ…と。ドラグクイーンの方のメイク動画とか、めちゃくちゃかっこよくてワクワクします!」

リップを塗る向井太一さん

「僕は肌が赤くなりやすいので、気になるときはファンデーションでカバーするようにしています。クッションファンデは、光沢感が出すぎてしまうのが気になっていたのですが、この『TIRTIR(ティルティル)』は、ほどよくマットな仕上がりで、メンズも使いやすい。出先でメイク直しはまったくしないので、"72時間メイク持続"の謳い文句にもひかれました。

そして、30歳になってふと気がついたのが、唇のくすみ。鏡を見て、『自分の唇の色、こんなだったっけ?!』と気分が落ち込んでしまって。最近は『CHANEL(シャネル)』のリップ&チークを愛用中。少量でも発色がいいので、薄ーく色をのせる感じで使っています。ファンデーションでもリップでも、カバーしすぎないということは心がけています。クマとかちょっとしたシワは、大人の色気を感じさせる部分でもあると思うので」

向井太一さん

「パーマ?」って言われる、天然のクセを生かして

davinesヘアケアアイテム (左)オーセンティック バター・(中)ナチュラルテック シーズナル スカルプローション<E>・(右)オイ オイル L/davines

(左)オーセンティック バター(中)ナチュラルテック シーズナル スカルプローション<E>(右)オイ オイル L/davines

「ヘアアイテムは『davines(ダヴィネス)』でそろえています。ナチュラルな香りが好きで。ストレスや疲れがたまると頭皮が硬くなると聞いて使いはじめたのが、スカルプローション。直接頭皮に塗布してマッサージします。すごくすーすーして気持ちいいですよ。ヘアオイルは、ドライヤーの前につけます。僕の髪質だと、オイルを使うと重くなりすぎてしまうのですが、これは唯一しっくりきたアイテム。スタイリングには、バターを使用。ヘアアレンジは特にこだわりはなくて、クセをそのまま生かすだけ。よく『パーマですか?』って聞かれるんですが、もともとなんですよね」

向井太一さんがヘアセットしている様子

背すじが伸びる、パッケージの美しいブランドコスメ

ボディケアアイテム (左)イドゥラ ビューティ リップ バーム/CHANEL (中)リコラス・ミント/MARVIS (右)ボディ ミスト N°1 ドゥ シャネル/CHANEL

(左)イドゥラ ビューティ リップ バーム/CHANEL (中)リコラス・ミント/MARVIS (右)ボディ ミスト N°1 ドゥ シャネル/CHANEL

「ボディケアには、『CHANEL』のボディ用美容液ミストを愛用。夏は重いクリームを塗りたくなくて使いはじめたのですが、少しコンサバなフローラル系の香りも気に入っていて、お風呂上がりなどにつけてリフレッシュしています。『CHANEL』はパッケージの美しさといい、やっぱり背すじが伸びるというか、洗面所にあると気分も上がりますね。リップバームもそう。僕、週5くらいでリップクリームをなくすので、いいものを持てば大事にするはずだと思って使っています(笑)。

『MARVIS(マービス)』の歯磨き粉もパッケージがかっこよくて、使うたびにテンションが上がります! イタリアのお土産でいただいたものなのですが、ほんのりと甘いリコリスのフレーバーも好き」

自爪で勝負するためにマストなケア

スティック系コスメ (左)uka nail oil 7:15 /uka (中)ハーブオイル33+7 ロールオン/nahrin (右)CBD Lips + Skin 20mg CBD/ENDOCA

(左)uka nail oil 7:15 /uka (中)ハーブオイル33+7 ロールオン/nahrin (右)CBD Lips + Skin 20mg CBD/ENDOCA

「夏は基本的にTシャツ1枚だけなので、手もとにはボリュームのあるアクセサリーをつけて遊ぶことが多くて。今日つけているシルバーアクセサリーは、『blanciris(ブランイリス)』。繊細さがありつつ無骨さもあるところが好きです。手もとのおしゃれで言うと、以前はネイルカラーをすることもあったのですが、最近は男性も塗っている人が増えてきたから、逆に自爪で勝負しようと思い、『uka(ウカ)』のネイルオイルを使いはじめました。手もとがきれいだとやっぱり気分がいいですね」




「『ENDOCA(エンドカ)』のCBDリップクリームは、唇ではなくこめかみに塗っているんです。偏頭痛にずっと悩まされていたのですが、できるなら薬は飲みたくない。何かいい対策はないかと探していたら、これを教えてもらいました。香りものも大好きで、『nahrin(ナリン)』のハーブオイルを持ち歩いています」

自信がなくなったときは、友達に話して号泣することも

向井太一さん

「僕にとっては、曲を作ることもセルフケアになっているところがあります。以前、すべての気持ちがプチッと切れてしまったことがあったんです。それまでコンスタントに作品を出してきて、2枚目のアルバムはすごく気合を入れた分評価もしていただいたんですが、それでも自分の理想には届かなくて。『自分には音楽的な才能なんてないんじゃないか』『実はものすごく平凡な人間なんじゃないか』と、自らを疑いはじめてしまいました。

そんななか、3枚目のアルバム『SAVAGE』をリリースしました。その苦しさや葛藤を隠すのではなく、逆にそのまま作品にしようと思って。その過程は、自分が前に進むためには必要なものだったから。ネガティブ要素が強い作品だったので、受け入れられないだろうと覚悟していたのですが、これまで以上に多くの人に聴いてもらえて。人には見せるのを躊躇してしまうような感情も、音楽にすればみんなが聴いてくれる。だから大丈夫と、自分を肯定できるようになりました。

そうは言っても、基本は自分に自信ない(笑)。気を抜いたら泣いちゃうときもありますよ。そんなときは、明治神宮とか緑の多い場所へ行って自然を浴びてリフレッシュしたり、とにかく友達に話します。ルンヒャンさんとDa-iCEの工藤大輝さんは特に仲良しで、いつも助けられています。同業でもそれぞれがまったく違う考えを持っているから、話すたびにそういう考えもあるんだと発見があるし、リスペクトできる。最近もすごく自信がなくなった時期があったのですが、二人に相談して、めっちゃ号泣しました(笑)」

セルフラブは簡単じゃないから。愛を持って接してくれる人たちと過ごすこと

「僕が音楽を作るうえでいちばん大切にしているのが、"セルフラブ”なんですよね。自分のファンの人にも、自分自身であることを誇ってほしいし、愛してほしい。とはいえ、セルフラブってすごく難しいことだと思うんです。だから、愛情を持って接してくれる人たちにそばにいてもらうことが大切で、自分が安心できない場所からは逃げていい。いかに心地よく生活できるかっていうことを、もっと優先していいんじゃないかな」

向井太一さん

撮影/北岡稔章 取材・文/秦レンナ 企画・編集/種谷美波(yoi)