ファッションとビューティの最前線で移り変わるトレンドを見届けながら、自身のテイストを磨き続けるメイクアップアーティスト。そんな彼らが今考える、“かわいい”とはその答えを2つのルックで表現する連載に、mod’s hair津田 雅世さんが登場。メイクアップの組み立て方&選んだカラーアイテムの詳細を伺いながら、津田さんの頭の中を紐解きます。 

津田 雅世

メイクアップアーティスト

津田 雅世

ロンドンでメイクアップアーティストとして活動後、2006年モッズ・ヘア ヘアメイクチームに所属。以降、広告、CF、アーティストジャケットなど幅広い分野で活躍。クールな中にピュアさが潜む印象的なヴィジュアルづくりに定評があり、フォトグラファーやスタイリストなどクリエーターからの信頼も厚い。 

LOOK1:丁寧に重ねる陰影と、エッジをにじませる目元。津田さんらしさが光る“破壊のブラウンメイク”

メイクアップ、RMK、カネボウ、バイレード、GUCCI

1 滑らかに伸びて、まぶたにフィット。ワンストロークで均一に色づくクリームアイシャドウ。シルバーの輝きを秘めたブラウン。ルナソル モノアイカラーレーション EX05C ¥3520〈2025年1/24限定発売〉/カネボウ化粧品 2 濃密な発色とクリーミィな描き心地で、目元にインパクトをもたらすアイペンシル。ヴィーガン処方。カジャールペンシル ブーラブーラ ¥4730/バイレード ジャパン   3 “肌になりきる”リアルな影色を追求した話題のシェーディングが、より使いやすい細身のタイプとなって限定で登場。カネボウ シャドウオンフェース リミテッドサイズ01 ¥4400〈2/7限定発売〉/カネボウインターナショナルDiv. 4 グッチ初のパウダーブラッシュは、重ねづけ自在の軽やかさが特徴。目元にも頬にも使えて肌になじみ、自然な輝きをオン。ほのかなローズのニュアンス。ブラッシュ ドゥ ボーテ チーク アンド アイ 05 ¥8580、5 リッチなピグメントとジェルワックスをブレンドした処方で、大胆に唇を染めるマットリップ。深みがありながらも自然と肌になじむアンバーブラウン。ルージュ ア レーヴル マット 123 ¥6600/ともにグッチ ビューティ 

ナナミキース、津田雅世、メイクアップ、ビューティ1 

キャミソール¥24200・ボディスーツ¥16500/EUCHRONIA 03-6912-1451

NANAMI KEYS、ナナミキース、津田雅世、メイクアップ、ビューティ2

▼LOOK1 Make-up Tips


グレイッシュなブラウンで陰影を際立たせたメイク。シンプルなようで実は奥行きを緻密に計算しており、それによって生まれるボーイッシュなムードと、繊細でガーリーなファッションとのギャップに生まれるかわいさをあえて狙っている。 まずはしっとりとした質感のアイカラー(1)を指先に取り、アイホールから眉にかかるくらい広めにのせる。その上でスモーキーなブラウンのペンシルアイライナー(2)で上まぶたのキワにラインを入れる。

「目のキワをペンシルで締めてはいますが、それはあくまで脇役。“入れてます”感が出ないように再び(1)のアイシャドウを使ってラインをにじませ、あえてぼかして“破壊”しています」(津田さん) 


シェーディングは、スティックとパウダーの2品で。まずはスティックの(3)を眉頭から小鼻まで鼻筋に影を入れるように縦長に2本、ライン状に入れ、頬骨の下、輪郭のキワにも影を。すべて直塗りしてから指先でなじませればOK。

「通称“カニミソ色”のKANEBOのシェーディングスティックは本当に優秀。透け感があるので誰が使っても失敗しないし、肌と見事に一体化して自然な立体感を演出します。ここで作る陰影は緻密に計算しながら」 


さらにパウダーの(4)をブラシに取り、頬骨の下から口角に向かって逆三角に。最後はブラウンのリップ(5)をラフに塗って指でなじませれば完成。 


「小さい子どもは寒いときに頬が赤くなったりするじゃないですか。あれをイメージしながら頬のかなり外側に(4)をのせています。リップはやはりエッジをぼかして、できる限りその人本来の色になじませて」 

LOOK2:下まぶたにのみ入れた“ラフに見せかけた”アイラインとマスカラ。60’sメイクの新しい解釈

コスメティックス、RMK、シャネル、エルメス、ローラメルシエ

1 グレイッシュの落ち着いたトーンの4色とみずみずしく輝くラメの組み合わせに心ときめくパレット。シンクロマティック アイシャドウパレット 09 ¥6380/RMK Division 2 安定感のある描き心地で思い通りのアイラインを実現。深みのあるブラックが目元を引き立てる。トレ ドゥ エルメス アイライナー 01 ¥8800/エルメスジャポン 3 長短ある硬質な毛がクローバー型に広がるブラシを採用。細かいまつ毛もキャッチし、見惚れるような存在感のあるまなざしに。キャビア エクストラバガント マスカラ ¥4290/ローラ メルシエ ジャパン 4 シャネルのシンボルのひとつであるパールに着想を得た新シェードが登場。肌へとなじむイエローニュアンスのベージュ。ルージュ アリュール ヴェルヴェット レ ペルル 447 ¥6600〈2025年1/8限定発売〉/シャネル

ナナミキース、津田雅世、メイクアップ、ビューティ2

タートルネック ニット¥9600/Bibiy. bibiy.store ピアス¥26400/スワロフスキー・ジャパン(スワロフスキー・ジュエリー)  03-6912-1451

▼LOOK2 Make-up Tips


60’sのムードを感じさせつつも完璧なオマージュにはせず、本人らしさと上手にミックス。そうすることで時代性の強いメイクアップもモダンになり、自分自身の個性を理解しているスマートで愛らしい人物像に。 (1)右上のアイシーなカラーを指に取り、まぶた全体、眉山の下まで幅広くのせる。そしてアイラインとマスカラは下まぶたのみ。(2)のアイラインをところどころ点置きするようにラフに入れ、さらに(3)のマスカラをたっぷり根元から塗る。

「RMKのパレットは赤みじゃないグレイトーンなのに、まったくくすまず目もとが暗く落ちすぎないところが素晴らしい。また一ついいパレットに出会えたなと思いました。下まぶたのアイラインは、きれいに入れないのがポイント。まるでマスカラがにじんで涙袋にピグメントが落ちてしまったかのようにポツポツと点置きし、さらに綿棒でぼかして“破壊”。あえてブレたように見せています。マスカラも下のみ。その代わりたっぷりと」(津田さん)

仕上げには(4)のリップを直塗りし、こちらも指先でなじませてフィット感を高める。

「60‘sのメイクをそのまま再現するのではなく、彼女という人がもともと60’sのムードが好きで、それを自分の価値観で自分の好きな服と合わせている、というように見せたかった。そのこなれ感を、ある程度仕上げてからくずすという“破壊のメイク”で調整しています」

問い合わせ先
RMK Division 0120-988-271
・エルメスジャポン 
03-3569-3300
・カネボウインターナショナルDiv. kanebo-global.com
・シャネル 0120-525-519
・バイレード ジャパン 03-6450-5873
・ローラ メルシエ ジャポン 0120-343-432

ナナミキース

モデル

ナナミキース

2002年生まれ。ドイツ系アメリカ人の父と日本人の母を持つ。ファッションモデル・ビューティーモデルとして活動する傍ら、広告やMVなど様々な分野で注目を集めている。ファッションブランド「KEYS」も手がける。

撮影/Tomoyo Tsutumi〈ende〉(model), 田村 伊吹(still) メイクアップ/Masayo Tsuda〈mod's hair〉 ヘア/KOTARO スタイリスト/Lisa Sato〈be natural〉 モデル/NANAMI 構成・取材・文/前野 さちこ