椿農園の長田杏奈さん

趣味の園芸をきっかけに椿に興味を持ち、自宅の庭でも育てているという美容ライターの長田杏奈さん。そんな長田さんが、椿の生命力をあますところなく凝縮したスキンケアブランド『ON&DO』のルーツと魅力に迫るべく、長崎県五島列島を訪ねた様子をレポートします。

長田杏奈さんREFINING LOTION Ⅰ(150mL )を使用

REFINING LOTION Ⅰ(150mL )¥7,700 /ON&DO

過酷な状況で生きる椿の力を、丸ごと化粧品に

椿農園

鬱蒼と木が生い茂る山道を抜けると、五島福江島でも最大級の面積を誇る『ON&DO』の広大な椿農園が広がります。放っておくとどこまでも高く伸びる椿は、農園管理者によって実が収穫しやすい高さに保たれているそう。

九州の最西端に位置する長崎県五島列島。古くから島のシンボルとして親しまれているのが、この地に約1000万本自生しているヤブツバキです。その種から搾った椿オイルが天然の化粧用油として活用されてきました。

長田さん:髪や肌をしっとり艶やかにしてくれる椿オイルは日本人にもなじみ深い美容成分。海外のビューティブランドでも広く親しまれていますよね。『ON&DO』は、オイルだけでなく新しい切り口で椿の魅力を再発見し、ユニークなアイテムを生み出していると知って興味を持ちました。椿には、オイル以外にどんな魅力があるのか。また、どんな場所で育てられ、製品はどうつくられているのか気になっています。

まず、向かったのは『ON&DO』の農園。東京ドーム約1個分という広々とした土地に約1万本のヤブツバキが生い茂っていて、ここで生まれる椿からブランドの製品に使われるすべての原料が生まれています。出迎えてくれたのは、ブランドディレクターの加藤寿恵さん。

長田さんと、ブランドディレクター加藤さん

長田さんと、ブランドディレクターの加藤さん

加藤さん:私が初めて五島を訪れたとき、海辺の崖っぷちに猛々しく咲いた椿に目を奪われたんです。太陽に向かって、葉や枝を広げ、精いっぱい生きる姿を見て、なんてたくましいんだと涙が出るほど感動してしまって。過酷な状況で生きるヤブツバキの生命力をそのまま化粧品にして届けたいと思いました。

五島でとれた椿を、島の中で加工することにもこだわっています。フレッシュな状態で原料化することで、椿のパワフルなエネルギーをベストなタイミングで引き出せるうえに、原料の生産・管理から成分化までを行うことで、島の雇用創出にも貢献できると考えています。

生命力あふれる美しさを引き出す、"温酵母" *の可能性

たくさんの実ををつけるヤブツバキ

たくさんの実をつけるヤブツバキ。通常8月頃から赤く色づきはじめるんだそう。香りは特にないですが、種がぎっしり詰まった実は、ひとつひとつがずっしりと重く、生命力を感じることができます。

一般的に椿は、オイルの原料となる種の部分しか使われませんが、『ON&DO』は花や葉、枝、果皮にも注目。独自に研究を進めるなかで、知られざるパワーを次々と発見したんだそう。その長年に渡る椿研究から生まれたON&DO独自の美容成分が"温酵母" *です。*サッカロミセス/(ツバキ花エキス/アテロコラーゲン)発酵液(保湿剤)

加藤さん:椿は冬に花を咲かせますが、寒さが厳しい日でも花の上には雪が積もらないことに気がつきました。調べてみると、花は外気温より5℃も温度が高いことがわかった。その熱エネルギーをさらに研究していくと、"酵母"の存在にたどり着いたんです。

過酷な環境を生き抜く酵母はストレス耐性が高い。この天然酵母をスキンケアに活用できないか——。その思いを起点にして、成分開発がスタートしました。

加藤さん:ただ、酵母を発酵させる際に生じるアルコールは、繊細な肌の方には刺激になってしまう。そこで独自の技術によって、酵母とコラーゲン、椿の花のエキスをアルコールを発生させずに発酵させて生まれたのが『ON&DO』の美容成分"温酵母" *です。この"温酵母" * は、『ON&DO』のスキンケア製品すべてに配合されています。

椿農園の長田さん

ご自身でも椿を育てている長田さん。丁寧に管理された椿農園に終始感動の様子。

加藤さん:花や種子だけじゃなく、葉もすごいんです。椿は一年中艶やかな緑葉が生い茂る木で、その葉には、ポリフェノールがたっぷり。また、春に芽吹く若葉のエキス*2には肌を引き締めて整える働きがあったり、椿枝の炭*3は余分な皮脂を吸着する作用を生かしてパウダー洗顔料に配合したりと、本当に万能なんです。*2 ツバキ葉エキス(保湿剤) *3 炭(スクラブ剤)

長田さん:すごい…。椿=オイル、という固定概念に縛られず、さまざまな可能性を引き出しているんですね。

栄養成分を角層まで届ける秘密

椿の葉を乾燥させた状態

濃い緑色が特徴の椿の葉は、じっくり乾燥させると茶色く縮んだ状態に。これを時間をかけて蒸留しエキスを抽出します。

次は、その原料が生まれる場所である『ON&DO』の工場を見せてもらうことに。ブランドのキーアイテム「REFINING LOTION  I」はオイルとエキスが二層になった化粧水。農園で収穫した椿の花や葉が使われているのだそうです。その製造過程を、農園を管理する会社『五島の椿』の谷川社長に教えてもらいました。

谷川さん:『REFINING LOTION I』に含まれる"椿葉水" *4は、椿の大人葉から作られています。まず、丁寧に手摘みした椿の葉を乾燥させます。じっくり時間をかけて乾燥させることで、葉に含まれる抗酸化成分を最大限に引き出すことができます。そのあと、乾燥した葉を細かい粉末にし、蒸留機にかけて"椿葉水" *4に。その過程で精製水はいっさい使用せず、"椿葉水" *4のみを使っているのもこだわりです。*4 ツバキ葉水(保湿剤)

椿エキス

工場で大切に保管されている"椿葉水" *4からは、ほんのり華やかな香りが。低い沸点で蒸留されているため、直接加熱に比べて香り成分の劣化を低減し、原料本来の繊細な香りが含まれているのだそう。

谷川さん:オイルは、種子から摂っています。自然乾燥させた椿の実(下の写真左)が少しずつ自然に開いていき、種(下の写真右)が出てくる。ここでは、その中でも品質のいいものだけを選別して搾油しています。

こうした過程を経て、椿の生命力を閉じ込めた化粧水『REFINING LOTION  I』が完成。水と脂質が重なり合っている角層の構造に着目し、そのすべてになじんでうるおいを補給するよう設計された二層式化粧水で、エキス層とオイル層を混ぜるようにシェイクしてから使用します。二層が混じり合ってまろやかな美容液状に変化したローションはぐんぐん吸い込まれるような感触で、肌全体にうるおいを届けてくれます*5*5 角層まで

実から種が取れる過程

椿の実(いちばん左)が時間をかけて開いていき、中から種(いちばん右)が取れます。

ブランド全体で、本当の意味でのサスティナブルを追求する

ブランドディレクターの加藤さんや農園管理者の谷川さんの話を聞きながら、目をキラキラと輝かせていた長田さん。

長田さん:なじみのある植物から、サイエンスによって新たな可能性を引き出し、製品作りを通じて島の活性化に取り組む。『ON&DO』の魅力はその姿勢そのものにあるということが、五島の旅を通じてわかりました。

加藤さん:椿の生命力を最大限に生かした、本当の意味での持続可能なものづくりを通して、島を盛り上げたい。ヤブツバキには輝かしい未来をつくる可能性があると信じています。

ON&DO製品ラインナップ

(左から)ENRICH CREAM Ⅰ ¥8,800・FERMENT SERUM ¥8,800・MULTI TREATMENT OIL ¥4,950・REFINING LOTION Ⅰ ¥7,700・REFINING LOTION Ⅱ ¥7,700・CLEANSING OIL ¥5,280/ON&DO

●製品のお問い合わせはこちら:0120-467-222(年中無休・8:00〜20:00)

取材・文/浦本真梨子 撮影/上澤由香 企画・編集/種谷美波