『Growing Up』The Linda LIndas 4月8日配信/EPITAPH
作詞・作曲/Lucia de la Garza、和訳/中村理菜
The Linda Lindasが示す、頼り合うことで切り拓かれる未来
社会や自分に対して、不安や怒り、やるせない想いを感じたときは、〈私たちには仲間がいる〉ことを、『Growing Up』を聴いて思い出して。
1990年代初頭に性差別がはびこっていたパンクシーンに登場した「ライオット・ガール」ムーブメント。アメリカ・ワシントン州を中心に数多くのガールズバンドが、自分らしくいられる居場所を作るため、音楽を奏でることで社会に反抗した。そんなライオット・ガール精神を受け継ぐ、LA発のティーンエイジ・ガールズ・パンクバンド、The Linda Lindasが、今世界から熱視線を浴びている。
The Linda Lindasは、17歳のベラ、14歳のエロイーズ、15歳のルシア、11歳のミラの4人からなり、メンバーはアジアとラテンアメリカにルーツを持つ。ブレイクのきっかけは、2021年にロサンゼルス公共図書館で行った、『Racist, Sexist Boy』のライブパフォーマンス。この曲は最年少のミラが、「親から中国人に近づくなと言われた」というクラスの男の子に、自分が中国人であることを伝えると彼が離れていったという経験をもとに作られた。人種差別にノーをたたきつけるこの演奏シーンは、瞬く間にSNSで拡散され、Rage Against the MachineやSonic Youthのメンバーなど、そうそうたるアーティストからも賞賛を受けた。ほかにも昨年は、Netflixで配信されたドラマ『モキシー〜私たちのムーブメント〜』にゲスト出演。女子高生が学校での性差別や不公平な現状を打破するために冊子を発行して、革命を起こすという内容の作中で、ライオット・ガール運動の先駆者、Bikini Killの『Rebel Girl』のカバー演奏を披露し、大きな話題になった。
The Linda Lindas - "Racist, Sexist Boy" (Live at LA Public Library)
『Racist, Sexist Boy』も収録された、4月8日リリースのデビューアルバム『Growing Up』。同名のタイトル曲は、青春が持つ勢いやきらめきを真空パックしたようなサウンドが魅力で、成長真っただ中にいる4人が、“成長するとはどういうことか”について歌う。彼女たちは曲中で、生きているといいこともあれば、悪いことも起きる。でも、〈私たちには頼れる仲間がいる〉と語り、“力を貸してほしいときはお互いを頼りにする”、“悩みの種は話して分かち合おう”、“フェアじゃなかったことについて話そう”、“希望と夢を分かち合おう”と成長の秘訣を明かす。あらゆる面で困難を極める今こそ、身近な人とお互いに頼り合い、遠慮せずに考えや思いをシェアし合う。そうすることで、今よりもっと自分らしく生きる私に未来で出会えるはず。
The Linda Lindas - "Growing Up"
The Linda Lindasのエネルギッシュな音楽を楽しもう!
文/海渡理恵 編集/国分美由紀