『Dolls』 Bella Poarch 配信中/ワーナーミュージック・ジャパン
作詞/Bella Poarch, Salem Ilese, Sub Urban, Justin Gammella, Elie Rizk, David Arkwright、
作曲/Stefan Max, Elie Rizk, Sub Urban、和訳/網田有紀子
他人からのジャッジメントを跳ね返すパワーをくれる一曲
他人が作り上げた美の価値基準に閉じ込められ、苦しんでいないだろうか。私自身、「素朴な顔だよね」 「大きい体だね」「女らしくない」など、周囲からくだされた見た目の評価によって、自己卑下のスパイラルから抜け出せない時期があった。もし誰かがあなたの容姿をジャッジしてきたときは、Bella Poach(ベラ・ポーチ)が『Build A Bitch』で示す〈女の子はカスタムできない 好きなパーツは選べない〉 というスタンスを真似してみて。
フィリピン系アメリカ人のシンガーソングライター、Bella Poarch(ベラ・ポーチ)は、小中高時代に数々の歌の大会で優勝を経験。幼少期から類まれなる音楽的才能を発揮していたが、高校卒業後はアメリカ海軍の道へ進む。そして、2020年にTikTokで大ブレイクを果たすと2021年に『Build A Bitch』で、ついにアーティストデビューを果たす。瞬く間にスターダムを駆け上がった彼女のTikTokフォロワー数は、現在世界3位。アジア系アメリカ人インフルエンサーとしては世界第1位の人気を誇り、まさに新時代を牽引していくスターの一人だ。ちなみにベラは、海軍に在籍していた頃に日本に駐在していたことも。ファッションやヘアスタイルなど、クリエイティブにおいて、日本のアニメや初音ミクに大きな影響を受けていると明かしている。
そんなベラの大ヒット曲『Build A Bitch』は、彼女自身もSNSスターゆえに悩まされたことがあるという、ルッキズムに直面したときの“心の在り方”を教えてくれる独創的なダークポップだ。
ミュージックビデオは、バービー人形のような理想の女性をカスタムできるショップに、男性が長蛇の列を作っているシーンから始まる。ショップの地下にある工場では、女の子の顔やボディのパーツがベルトコンベア上を流れており、それらが男性の希望通りに組み立てられていく。しかし、この状況に違和感を覚えた女性たちが、〈女の子はカスタムできない 好きなパーツは選べない〉と立ち上がり、〈私は欠点だらけで意見も言う 完璧を求めてるなら、私は向いてない〉と言い放ちながらショップを破壊し、男性たちを追い払う。その勇敢な姿は、ありのままの自分に自信を持つことの大切さ、さらには、どんなときも自分の主導権は他人に握らせてはいけないのだと気づかせてくれる。もしこの先、周囲の言動に振り回されそうになったときは、この曲の主人公の誰にも屈しない姿勢を思い出して。そうすれば、きっとヘルシーに日々を過ごせるから。
【和訳】Bella Poarch「Build a B*tch」【公式】
Bella PoarchのEP『Dolls』をチェック!
文/海渡理恵 編集/国分美由紀