心や体のケアとして、スポーツやマインドフルネスを取り入れる人が増えている昨今。ヨガインストラクター、そしてNIKEのトレーナーとして活躍するKahoさんもその一人。
リハビリの一環で始めたヨガに救われた過去や、手術をきっかけにネガティブマインドと向き合った経験を通じてKahoさんがたどり着いた、健やかなライフスタイルを送るためのルーティンを聞きました。
体も心もボロボロになった経験が自分を受け入れるきっかけに
——ヨガスタジオのインストラクターとしてキャリアを築き、現在はナイキのトレーナーとしてもご活躍されるKahoさん。ヨガを始めたきっかけを教えてください。
Kahoさん「幼少期から体を動かすこと、特に踊ることが好きで、小学1年生からクラシックバレエやジャズダンス、タップダンスなどを習っていました。ダンスで生きていくことを目標に掲げて、体を酷使する生活を送っていた結果、高校2年生のときに腰を疲労骨折。1年間のリハビリ生活を過ごす中で、病院の先生から勧められたのがヨガでした。
トレーニングとヨガを並行して行うことで体がしっかり回復し、その後無事、第一志望だった体育大学へ入学できました。心身ともに救われた経験からヨガを継続し、アルバイトでインストラクターを経験。さらにスキルを磨くべく、ヨガ×ランニングのWスタジオ『YR CLUB HOUSE(Since 2016)』に就職しました」
——昨年、盲腸の手術を受けて体を動かせない期間が3、4カ月ほど続き、心身ともに辛い時期を過ごしたそうですね。その際、ご自身のメンタルヘルスとどのように向き合いましたか?
Kahoさん「私の仕事は体が資本。スタジオやイベントに通ってくださる皆さまには万全の体調で接することをつねに心がけてきたので、それをできないことが何よりも苦しかったですね。普段からリフレッシュにつながっていたヨガやランニングも避けなければならず、ひどいネガティブマインドに陥ってしまった瞬間がありました。
ポジティブになるのが無理ならば、ネガティブな感情ととことん向き合ってみよう。そう思い立って、“書く瞑想”とも呼ばれるジャーナリングを実践しました。自分の中に湧き起こる感情をひたすらノートに書き殴り、それらを読み返していたら、ふと“ネガティブな感情やありのままの自分も受け入れられたら楽になるんじゃないか?”と感じて。それを意識して生活するようになったところ、驚くほど気持ちが楽になりました」
マネキンのように細い体を得られたとしても、私の場合は心の充足にはつながらない
——インスタグラムでは怪我をきっかけに、ご自身の体型が変化したことを通して、『ネガティブな気持ちを否定せずに受け入れる』というメッセージを発信していましたね。投稿には、『Kahoさんの言葉に救われた』というコメントが多数寄せられていました。
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Kahoさん「私はもともとポジティブな人間ではないので…近年、“ポジティブであることが当然”とも取れるメッセージが増えていることに疑問を抱いていたんです。もちろんポジティブでいられることは素敵ですが、感情のある人間なのだから、ネガティブになってしまう日もあるはず。それを否定してしまうと、よりつらくなってしまいますよね。
私はネガティブな気持ちを受け入れるようになってから、さまざまな変化がありました。一つは、ボディポジティブになれたこと。クラシックバレエを習っていた時期に“細ければ細いほど美しい”という考えが染み付いてしまい、大人になっても自分の体を愛せずにいたんです。
でもコンプレックスととことん向き合ったところ、“自分にとって体はあらゆる動きを楽しむためのツールであり、そのツールによって得られる喜びが心の充足感につながる。マネキンのように細い体を得られたとしても、私の場合は心の充足にはつながらない”と思えるようになった。おかげで、手術によって運動できずに6キロ増量した際も、以前ほど落ち込まずにいられました。
体と心のウェルネスのために。セルフケア3つのルーティン
そんなKahoさんに、心と体が健やかな状態でいるためのルーティンを聞いてみました。
Routine1
朝はヨガで体と気持ちを整えて、気持ちよく1日をスタート
Kahoさん「出社日は必ずヨガのレッスンを行なっていますが、それ以外にも毎朝、自分のためにヨガをする時間を作っています。呼吸法で気持ちを落ち着かせたり、三点倒立で全身の筋肉を使って集中力を高めたり。5分でも行うだけで体も気持ちも整い、よりフレッシュな状態で1日をスタートできるんです」
朝、勤務先のスタジオでヨガを行う実際の様子。
Kahoさん「ヨガ初心者の方には、『ハーフピジョン』と呼ばれるポーズがおすすめ。股関節をほぐしながら、お尻まわりの筋肉もしっかり伸びるので、デスクワークが多い人ほど効果を感じられるポーズです」
Routine2
湯船につかりながら瞑想を行い、心と体をリセット
Kahoさん「夜は、アロマオイルを垂らした湯船で半身浴をするのがルーティン。リラックス効果を高めるために電気を消して、キャンドルの炎を眺めながら瞑想しています。湯船で体をマッサージすることもあれば、半身浴と冷水シャワーを交互に行い血流を促すことも。疲れをしっかり取ってから寝ることで睡眠の質が高まり、翌日のパフォーマンス向上にもつながります」
お気に入りのキャンドルたち。
Kahoさん「アロマオイルは、気持ちを落ち着かせてくれるラベンダーや、副交感神経の働きを活性化させてくれるマンダリンがお気に入り。瞑想中は何も考えてはいけない!と思い、難しさを訴える人が多いのですが、普通のことなので安心してください。考えている自分に気づいたら、意識を呼吸に戻してフォーカスすることを繰り返すだけで、効果があるはずです」
Routine3
ハッピーを自分で生み出す。鏡に向かってセルフスマイル
Kahoさん「仕事に行く前は必ず、そして仕事中も、鏡に映る自分に向かって微笑みかけています。笑顔を作るだけで気分が上がり、ハッピーなマインドで1日を過ごせるので。そんなクセのおかげか、『笑顔が素敵ですね』と褒められる機会が増えました。私のまわりには、そうやってうれしい言葉を投げかけてくれる人がたくさんいて。いいエネルギーをもらっています。
もらってうれしかった言葉は、ジャーナリングのノートにすかさずメモ。あとで見直すと、そのときの自分の心の状態によって受け取り方も感じ方も違っていて、興味深いんですよ。自分を知ることもできるし、自己肯定感も上がるので、ぜひ試してみてください」
——最後に、自分の体を好きになれない人や、心地よい生き方を模索している人に向けて、メッセージをいただけますでしょうか?
Kahoさん「そう感じてしまう今は、無理に好きにならなくてもいいと思います。冒頭でもお話ししましたが、誰しもが、つねにポジティブでいられるわけではないと思うから。“自分を好きになれないときがあるのは、おかしいことじゃない。誰にでもある普通のこと”と、ネガティブな感情を素直に受け入れて、自分の気持ちを楽にしてあげてください。
そのうえでおすすめしたいのが、自分を労わる時間を毎日少しでも確保すること。私はもともとスケジュール帳をびっちり埋めないと気が済まないタイプでしたが、疲れの蓄積を感じて休息の時間を設けたところ、じっくり自分と向き合うことができました。瞑想やジャーナリングによって自分の理解が深まり、自分の好きなところも見つかった。自分を好きになるためにも、まずは、自分の心身全体を大切にしてくださいね」
Kahoさんが着用したウェアをcheck!
【Kaho's outfit】
ブラトップ:ナイキ ゼンビー ストラッピー ¥6,380
ナイキのブラは好みのフィット感やサポートから選べるラインナップ。このアレートシリーズは、肌になじむフィット感のライトサポート。一体型パッドだから体のラインに滑らかにフィットする。速乾性も高く、涼しく快適な状態が持続。「すごく柔らかい素材で、ヨガをするときにぴったり。ポーズの邪魔にもなりません。バックスタイルも可愛い! 自分にとって心地がよいものを着ていると、気分も上がるし自信を持てますね」(Kahoさん)
レギンス:ナイキ ゼンビー ¥11,330
人気のナイキ ゼンビー レギンスからフレアタイプが登場。 軽量素材でありながらスクワットをしても、インナーのカラーが透けないのがうれしい。バック部分にはスマートフォンが収納できるポケットがあり、機能性も文句なし。「動きが激しすぎない、リラックス系のヨガレッスンで愛用しています。フレアなので足首の圧迫感もなく、レッスン後にそのままカフェなどに行ったり、ファッションとしても楽しめます」(Kahoさん)
【Kaho's outfit】
トップス:ナイキ スポーツウェア フリース Vネック トップ ¥10,010
ヨガやワークアウトはもちろん、おうちでのリラックスタイムやちょっとした外出にもOKなラウンジウェア。ボリュームのあるシルエットがきれいに出るフリース素材を使用。「クロップド丈で、レギンスと合わせるとバランスのよいスタイルを楽しめます。ヘルシーな自分のスキントーンにもなじむベージュがお気に入り」(Kahoさん)
レギンス:ナイキ ゼンビー タイダイ ¥12,430
驚くほど柔らかい着⼼地と最⼩限の縫製で不快感ゼロのゼンビーレギンス。何度洗濯しても繰り返し使える耐久性もポイント。「まるではいていることを忘れるようなストレスフリーな着心地。ポーズの邪魔をしないから、自分のレッスンでもゼンビーを着用することが多いです」(Kahoさん)
*手に持ったカーディガン: 参考商品
【Kaho's outfit】
トップス:ナイキ ゼンビー Dri-FIT ロングスリーブ トップ ¥9,350
軽量かつ、体にぴったりフィットする素材は、体の曲げ伸ばしや急な動きを邪魔しない。ヨガにはもちろん、ヨガ後に買い物やカフェにそのまま行けるシックなデザイン。「ピタッとしたシルエットでありながら、締め付け感はまったくない優しい着心地。首元までカバーするデザインなので、ヨガ中に胸元が気になる人にもおすすめ」(Kahoさん)
パンツ:ナイキ スポーツウェア フリース パンツ ¥10,450
もこもこなフリース生地でリラックスした着心地のラウンジウェア。ハイウエストで脚部には余裕を持たせたデザイン。「とにかく触り心地がよく暖かい。朝起きてすぐ、家でヨガをするときに着用することが多いです」(Kahoさん)
取材・文/中西彩乃 カメラマン/小林真梨子 ヘア&メイク/筑波成美 企画・構成/種谷美波(yoi)