秋は「ダニアレルギー」の要注意シーズン。アレルゲン量は10月がピークともいわれています。【秋のダニアレルギー対策 後編】では、『エステー』がダニ研究の専門家とアレルギー専門医監修のもとで作成した「正しいダニの知識とダニ対策の基本」から、家の中でダニを増やさないための具体的な対策をお届けします。

髙岡正敏さん

ペストマネジメントラボ代表取締役

髙岡正敏さん

医学博士、獣医師。日本獣医畜産大学卒業。東京大学医科学研究所 寄生虫研究部でダニの研究を始める。埼玉県衛生研究所環境衛生部技術吏員、埼玉県立衛生短期大学非常勤講師、埼玉医科大学非常勤講師などを経て、これまで行なってきたダニに関する調査結果をまとめ、アレルギー疾患に対する治療法と予防法を確立するため、ペストマネジメントラボを設立。 おもな著書に『ダニ病学』(東海大学出版会)、 『ダニの生物学』(共著、東京大学出版会) など。

南部光彦

なんぶ小児科アレルギー科院長

南部光彦

アレルギー専門医、小児科医。京都大学医学部を卒業後、兵庫県立塚口病院(現・兵庫県立尼崎総合医療センター)に赴任。小児科医として勤務した後、京都大学医学部大学院で免疫・アレルギーの研究に従事、医学博士号を取得。アメリカ合衆国アイオワ大学の病理学教室で3年間、免疫の研究を行う。 帰国後、天理よろづ相談所病院で小児科医として勤務し、小児科部長、小児アレルギーセンター長を務める。 著書に『アレルギーから子どもを守る -ダニ対策24の秘訣』(東京図書出版)。 

一年を通して気をつけたいダニ対策の基本

前編でお伝えしたとおり、夏に繁殖したダニは気温が下がるにつれて死んでいき、秋にはその死骸やフンによってアレルギーを起こす人が多くなります。しかし、高密閉、高断熱の住宅では多くのダニが生き続けるため、繁殖させないための対策は年間を通じて必要です。

家にいるダニが多いほど、アレルギー疾患を発症する確率は高まります。WHOが発表した数値をもとに、髙岡先生が日本の住宅事情を考慮した基準では、1㎡あたり100匹が発症の目安になるそう。

ダニ対策では、大きく分けて2つのアプローチがあります。1つ目がダニを死滅させる方法で、2つ目はダニがすみにくい環境をつくる方法です。あまりにもダニが多い家庭で、家族の誰かがダニアレルギーを発症している場合は、まずダニを殺して短期的にダニの絶対数を減らすことが先決。そのためには、寝具や衣類を洗濯したあとに乾燥機にかけて内部まで高温にするのがおすすめです。

ダニ対策には衣類や寝具の乾燥を

寝具や衣類はこまめに洗う

また、ダニがすみつきにくい環境にするには、湿気のコントロールが大切に。例えば、ふとんをこまめに天日干しし、よく乾燥させた状態だと、生きたダニも、死骸やフンも掃除機で取りやすくなります。クローゼットなど湿気がこもりやすい場所はこまめに換気をし、除湿剤を活用するのも効果的。また、カーペットはダニが好むので、床はフローリングのままが理想的です。できるだけ床に物を置かず、掃除しやすい環境にして、こまめに掃除機をかけましょう。

ダニの発生率高のスポットを知って、効率よく掃除をしよう!

ダニ要注意の場所を解説する住まいのダニマップ

家の中で圧倒的にダニが多いのが寝具です。就寝中にかく汗が染み込み、湿度が高く、フケや皮脂といったダニのエサになるものも豊富なため。次に多いのが、食べカスやゴミが落ちる床面。フローリング<畳<カーペットの順番でダニがすみやすい環境で、カーペットにおいては裏側にびっしりとダニがついています。また、換気の悪いクローゼットやタンス内、ソファのすき間、ぬいぐるみ、掃除機の中も要注意スポット! 家のあちこちにいるだけでなく、日頃の掃除ではなかなか手が行き届かない場所にダニは潜んでいます。

ダニを増やさない生活スタイルへ少しずつ改善!

汗や皮脂、食事の際に落ちたゴミなど、人がいた場所にダニは寄ってきますが、丁寧に掃除をすれば数を抑制することはできます。つまり、家の中のダニを増やすのも減らすのも、人の行動次第ということ! 今の自分の生活スタイルはダニの増加に結びついていないか振り返るために、下のNG習慣リストをチェックしてみて。あてはまったもののうち、着手しやすいところから対策して、効率よくダニの繁殖を抑えられる生活スタイルへシフトしていきましょう。

ダニを増やすNG習慣リスト

□カーペットは敷きっぱなしで裏までは掃除しない
 対策:掃除機をかけるときはカーペットの裏まで!

□部屋を換気する習慣がない
 対策:帰宅したらすぐに窓を開けて空気の入れ替えを。

□家の掃除は週に1回以下
 対策:掃除はできるだけこまめにして、皮脂汚れや食べかすを取り除いておきましょう。

□床に直に置いてあるモノが多い
 対策:ものがたくさんあるとホコリがたまりやすく、掃除もしにくいので、整理整頓を心がけて。

□衣替えのときにクローゼットを掃除しない
 対策:衣替えのときには、一度クローゼットを空にして掃除をしましょう。

□押し入れやクローゼットに除湿剤を入れていない
 対策:湿気が溜まりやすい場所なので除湿剤は必要。有効期限切れにも注意を。

□シーツ、枕カバーを替えるのは週に1回以下
 対策:汗や皮脂が毎日付着していくので、できるだけこまめに交換、洗濯して。

□ふとんを干す習慣がない
 対策:天日干しで乾燥させるだけでもダニがすみにくい環境に。布団乾燥機を活用するのもあり。

□ふとんやソファには掃除機をかけない
 対策:ダニが死んでも、残った死骸がアレルゲンになるので、掃除機をかけて取り除いて。

ダニ対策アイテムを使う

ムシューダ ダニよけ(220㎖)¥822(編集部調べ)/エステー

日頃の家事の延長で、こまめな換気や掃除を意識することで、ダニが好まない環境へ近づけることができますが、一気にダニをゼロにするのは難しいもの。ダニ用の殺虫剤もありますが、頻繁には使いづらいので、日常的に使えるダニよけアイテムを取り入れるのも有効です。天然成分でつくられたダニよけスプレーなら、小さな子どものいる家庭でも安心して使えます。

見えない小さなダニですが、さまざまなアレルギー疾患につながる可能性があるため、なんとか対策をしたいもの。お助けアイテムの力も借りつつ無理なく継続できる対策で予防しましょう!

構成・文/政年美代子 イラスト/エステー株式会社提供 "正しいダニの知識とダニ対策の基本"より引用