「みんな正直、どうしてる?」「世間的な平均値って?」など 、普段、人と話さないからこそ把握しづらい自分自身の体・心・性のこと。『yoi』では10代から70代まで1万人を超える女性に大規模アンケートを実施※1。そのデータから、この連載では今を生きる私たちのリアルな声に耳を傾けます。 第1回目は、多くの人が直面する生理のトラブルについて。
※1 『Seventeen』『non-no』『MORE』『BAILA』『MAQUIA』『SPUR』『LEE』『Marisol』『eclat』『MyAge/OurAge』の10媒体において、2021年2月にインターネットによるアンケートを実施。
ほぼ全員が、生理に何かしらのトラブルを抱えていた!
生理のあるほぼすべての人に、何かしらのトラブルがあることが判明! 生理は周期的にやってくるにも関わらず、そのたびに不都合やわずらわしさにさいなまれていることになります。長く付き合っていくものだけに、「数日だけ我慢すればいい」が積み重なれば、膨大な時間を苦しみながら過ごすことに。生理のトラブルに関しては、「女性特有の月経随伴症状による労働損失は4911億円」という試算も発表※2されていて、もはや個人を超えた問題でもあります。では、多くの女性を苦しめる生理トラブルの実態とは、具体的にどんなものなのでしょう?
※2 経済産業省 ヘルスケア産業課。2018年3月『健康経営における女性の健康の取り組みについて」より。労働損失とは、会社を休む、労働量・質の低下などによるもの。https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/josei-kenkou.pdf
トラブルの内容は体のだるさからイライラ、肌荒れまでさまざま
程度の差はありますが、半数以上の人が悩んでいるのが、腰回りの重だるさや倦怠感、むくみ、ほてり、めまいなど。「イライラ」や「憂鬱な気分になる」といった精神的負担も半数近くの人が感じています。どれも目に見えない症状で、しかも個人差があるために他人から理解されにくく、”いつもどおり”ではいられなくなる自分を責めてしまいがち。食欲増進や肌荒れがひどい場合は、ときに自己肯定感の低下にもつながってしまいます。
生理(月経)痛や月経量は、月によって程度が異なる人も多く、事前の対処が難しいよう。特に生理痛は、頭痛、乳房痛、胃痛、腹痛、腰痛と症状の出る部位がさまざま。「鎮痛剤が効かない」人や、「気絶するほどの痛みがある」という声も少なくありませんでした。
生理周期の中で定期的に気持ちや体に何らかの症状が出る「月経前症候群(PMS)」の自覚がある人のなかには、1カ月のうち半月、もしくはそれ以上の期間にわたって生活に支障を感じている人も。
そのほか、お腹の張り、便秘、下痢、吐き気、うっかりが増えるなど、トラブルは本当に多種多様なうえ、その程度も十人十色。では、こうした生理のトラブルは、年齢によって変化していくものなのでしょうか?
生理のトラブルや悩みには年齢によって傾向があった!
「生理痛」は、年齢だけでなくライフスタイルの変化も関係あり?
「生理(月経)痛」「月経前症候群(PMS)」に関しては、悩みを抱えている人がどの年代でも常に高い中、年齢によってその影響の仕方は本当にさまざま! 授業やテスト勉強の障害になったり、仕事や家事、育児の支障になったりと、ライフステージによっていろんな悩みにつながっているようです。アンケートへのコメントからは、ストレスの増減、環境の変化、出産経験などのライフステージや年齢によってトラブルの程度が増減していることも明らかに。
一方、「生理(月経)不順」は、月経周期が安定しない初経から数年間の思春期の女性と、閉経にむけて周期が乱れてくる40歳以上の更年期世代に多い傾向がありました。注目は、月経痛、PMSともに25歳〜30歳の人が最も多く感じていることです。働き盛りの女性の、社会や家庭における役割の多様化も原因として考えられそうです。
「体のだるさ」「イライラ」は日常生活や対人関係への支障も
生理痛よりも感じている人数の割合が高かったのが、「体のだるさ」や「イライラ」といった悩み。最も多かったaround30歳を中心に、「家族にイライラしてキツくあたってしまい、反省した翌日に生理がくることが多い」といった月経周期によるメンタルの不安定さが、身近な人とのトラブルを生んでしまうという声も、かなりの数に上りました。家族や仕事仲間との人間関係にまで影響してしまったという経験が、悩みの根深さにもつながっているようです。
眠気やだるさは、全年代にわたって深刻。「仕事中にあくびが止まらなくなる」なども、毎月となるとストレスとなって蓄積していくもの。「自分ではコントロールできないのがつらい」という声にあるように、月経周期によるメンタルのうつっぽさや落ち込みは対処がなかなか難しいことが、つらさの理由のひとつと言えそうです。
ちなみに、「憂鬱な気分になる」という悩みは20歳〜25歳が最も多く、次のグラフの「肌が荒れる」と似た動きをしていることも注目ポイント。
「食欲」「肌荒れ」は10代、20代の若年層が最も悩むトラブル
前のグラフの「憂鬱な気分」を加速させている可能性もあるのが、「食欲が増す」や「肌が荒れる」トラブル。食べても空腹感が満たされなかったり、甘味やジャンクフードをむしょうに食べたくなったり。「食欲を我慢するとイライラにつながり、食べても自己肯定感が下がる」という悪循環も…。「生理前だから仕方がない、と自分を納得させてはいるけど本意ではない」と言う声はかなり切実!
また、ニキビや毛穴の目立ちは、初経時から悩んでいる人の割合が高い傾向に。容姿に影響があるストレスとしては、ほかにも「生理時のむくみ」や経血の漏れの心配で「ファッションが制限される」といった悩みも挙げられていました。肌状態の悪さから、「コスメへの費用負担が増える」という経済的な悩みも。
初経から閉経まで、女性の多くが何らかのトラブルを抱えている生理。感じ方も症状も人それぞれなだけに、対処の仕方がわからなかったり、ついつい対応を後回しにして我慢しがち。でも、人生の大半の時間を費やすからこそ、生理とはできるだけ上手に付き合っていきたいもの。最近では、生理周期の悩みに対応するアイテムやケア方法がいろいろとできてきました。数多くの選択肢をまずは知り、自分の悩みにあったものを上手に選択する知恵を身につけることが、生理を快適に過ごすカギになりそうです。
次回は、生理のトラブルについて、みんなの具体的な悩みエピソードや切実な声を集めた“リアルボイス編”をお届けします。
イラスト/pum 取材・文/浪花真理子 編集/高戸映里奈(yoi)