今回のお悩みは…
パートナーと初めてホテルに行った日。自分で用意したコンドームを差し出したら引かれてしまった…。女性が避妊具を持っているのって、おかしいことなんでしょうか?

コンドームを自分で用意したら引かれた…。女性が避妊具を持っていると「慣れている」と思われる?【シオリーヌのSAY(性) HELLO! Vol.11】_1

セックスにまつわる悩みについて、みんなで語り合う連載。今回は、女性2名をお招きしてオンライン上でトーク。助産師で性教育YouTuberのシオリーヌさんと、あれこれ語り合いました!

今回の参加者は…
Aさん:20代後半、会社員。未婚で同棲中のパートナーあり。
Bさん:
30代前半、会社員。未婚で最近できたパートナーと交際中。

コンドームを自分で用意したら引かれた…。女性が避妊具を持っていると「慣れている」と思われる?【シオリーヌのSAY(性) HELLO! Vol.11】_2

コンドームを持っていると、「慣れている」と思われる?

B 今のパートナーとは、まだつき合いはじめたばかり。先日、初めてホテルに行ったのですが、私が前もって用意しておいたコンドームを出したら、すごく驚かれてしまって「自分は大丈夫だけど、ほかの男だったら『慣れてる』と思われちゃうかもよ」と言われたんです。私はあくまで自分の身を守るために用意していたんだけど、女性から避妊具を出すのって、おかしいんですかね。 皆さんは非常識だと思いますか?

シオリーヌ 全然おかしくないですよ! 非常識どころか、すごくいいことですよね。Bさんは自分自身に対してすごく誠実な方なんだなという印象を、私は抱きますね。

B ホテルに置いてあるコンドームは、なんとなく使う気になれなくて。

シオリーヌ めっちゃわかります(笑)。それにしても、「慣れていると思われちゃう」という言葉が気になりますね。女性が性行為に慣れていちゃいけないのかな?と。「女性は性のことをあまり知らないほうが純粋でよい」という価値観が、世の中に存在するのを感じてしまいますね。別に性的な経験が豊富だろうがまったくなかろうが、それはその人の魅力や評価にはなんの関係もないはず。それよりも、パートナーとの間に安全で健康的な関係を築くことのほうが大事なのにね。

女性が主体的に避妊をするということ

コンドームを自分で用意したら引かれた…。女性が避妊具を持っていると「慣れている」と思われる?【シオリーヌのSAY(性) HELLO! Vol.11】_3

シオリーヌ 相手にコンドームを持っていたことを驚かれて、Bさんはなんと返したんですか?

B 「避妊を人任せにしたくなかったから」と答えました。もともと避妊のこともしっかり考えてくれる人だったので、それを聞いて納得していたようでした。たぶん、女性の側からコンドームを出された経験がそれまでにまったくなくて、どう対応していいのかがわからなかったのかもしれません。

シオリーヌ 日本では、男女のカップルだと性に対しては女性のほうが受け身で、男性の用意した流れに従うものだという雰囲気が、まだまだありますよね。私たちもそれを刷り込まれていて、無意識のうちに内面化しているのかもしれません。だからBさんのパートナーも、「女の人はコンドームを自分で買って用意したりはしないものだ」と、ごく当たり前に思い込んでいただけだったのかも。Bさんとの出来事が、視野を広げるきっかけになったんじゃないかな。

B そうであってほしいなと思いますね。この件があったことで、別に関係性が悪くなったわけではないですし。でも、この件で改めて、「まだ女性が身を守るために、主体的に避妊できるような世の中じゃないんだなあ」と思いましたね。ちょっと悲しかったです。

コンドームはマスクや絆創膏と同じ「衛生用品」

A 私も普段、自分を守るためにコンドームを持ち歩いています。でも友人の中には、「持ち歩いているってどういうこと?!」「なんで女子が持ってるの?」という反応をする人もいますね…。

シオリーヌ やっぱりそうですよね〜。もっと女性が持ち歩きやすいものになったらいいのにと、私もつねづね思っているんです。コンドームって、単純に衛生用品なんですよ。だから薬局に行くと絆創膏やガーゼと同じコーナーにありますよね。生活に必要なものだから、それを買ったり持ち歩いたりするのはごく当たり前のこと。だからそれを「恥ずかしい」とか「変に思われるかな」とか、気にする必要はないと思うんです。 

A 私は今のパートナーとは、二人でコンドームを買いに行くこともあります。専門店だといろいろな種類があって楽しいんです! 一緒に選ぶときもあるし、私から「これを使ってみたい!」と提案することもありますね。

シオリーヌ それ、すごくいいですね! 

「今は避妊が必要だよね?」と言葉で確認する重要性

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シオリーヌ Aさんは、パートナーとつき合いはじめた当初から、避妊について話し合える関係性だったんですか?

A 最初の頃は、私があまり経験豊富じゃなかったこともあって、私からは特に何も話さなかったんです。でも彼のほうから、「避妊はきちんとするから」と宣言してくれて。今は二人でしっかり話し合っています。私がピルを服用して、かつ行為の際にはコンドームをつけるというのがいちばん安全だと思ったので、ずっとそうしていました。今は、私の体の事情でピルの服用は中止しています。でもコンドームはいつもつけるようにしていますね。

シオリーヌ よく「性に関することは、面と向かって話しづらい」というお悩みを聞きます。日本では、性のことはわざわざ言葉で確認しない場合が多いですよね。いざそういう行為をすることになって、直前に「コンドームって持ってる?」と確認したりね。Aさんたちは「今はしっかり避妊をしよう」と言葉で意思の共有ができているのがすごい!

A 実は、私のパートナーは海外で生まれ育っているんです。だから日本とは文化や教育の違いがあるのかもしれないですね。

シオリーヌ なるほど〜。日本よりも、避妊について話し合う習慣があるのかも! やっぱり、「今、私たちは避妊が必要な状態だよね?」と言葉にして確認し合えているだけで、安心感が違うと思うんです。最初にそこの認識を一致させておくことは、すごく大事だと思いますね。

避妊にかかるコスト、どっちが持つか問題

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B 私は昔、避妊を相手任せにしていて、生理が来なくなって不安な思いをした経験があります。結局何事もなかったのですが、そのときに「避妊を人任せにしてはダメだ」と身にしみて実感したんです。それから、女性側も責任を持って、自分できちんと準備すべきだと思うようになりました。

シオリーヌ 本当にそうですね。とはいえ、日本では女性が主体となって使える避妊法が少ないし、さらにそこへアクセスするときのハードルが高すぎますよね。海外だと、コンドームやピル以外の選択肢もたくさんあるし、日本よりはるかに安い金額で手に入るんです。これは社会の問題ですよね。

B 最近、ピルを始めようと思って、婦人科に行くことを検討していたんです。でも、毎月数千円のお金がかかってしまうし、土日に開いている病院を探して、休日をつぶして受診する必要がある。薬を飲みつづけることへの不安や、血栓ができるかもしれないという不安も、正直に言うと少しはあります。メリットが多いことはわかっているのですが、やっぱり何かと負担に感じてしまう。いっそのこと、男性用ピルがあったらいいのに! と思ってしまいます(笑)。

A わかります! 私もピルを飲んでいたときは、通院する時間的なコストを負担に感じていました。以前、コンドームがなくなったとき、彼がネットで買っておいてくれたことがあったのですが、「コンドームはネットで簡単に買えるけど、ピルは診察をしてもらわないと手に入らないんだよなあ」と思ってしまいましたね。今は働いているので金銭的な負担はそこまで苦になりませんでしたが、これが学生時代だったら絶対に負担だったと思う! 月に数千円のお金があったら、正直、ピルに使うより趣味や推し活に使いたいと思っていたかもしれません。毎日同じ時間に飲みつづけなきゃいけないのも、小さなことのようでやっぱり大変。気を揉まなきゃいけない要素が多いなと感じますね。

シオリーヌ 私が過去にピルを飲んでいたときは、パートナーに費用を負担してもらっていました。「病院に行く時間的コストはどうしたって私が負担するのだから、せめてお金は出して」って(笑)。


避妊するために生じるコストを、女性側だけが負担するというのには不平等さを感じます。パートナーとは、まず避妊をするという認識を一致させたうえで、「じゃあどうやって避妊する?」「そこにかかるコストは誰がどう負担する?」といったことを少しでも話し合っておけるといいですね。そうすれば、「私だけが損してる?」といったモヤモヤした気持ちも、生まれにくいんじゃないかな。

みんなで考えた、今回の結論は…?

コンドームは「衛生用品」。自分で持つのも買うのも恥ずかしいことではない! 
避妊方法やコストの分担をパートナーと話し合ってみて。

シオリーヌ

助産師/性教育YouTuber

シオリーヌ

総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟にて勤務ののち、現在は学校での性教育に関する講演や性の知識を学べるイベントの講師を務める。また、性教育YouTuberとして性を学べる動画を配信するほか、オンラインサロン「Yottoko Lab.」運営。著書に『CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』(イースト・プレス)、『こどもジェンダー』(ワニブックス)、新刊『やらねばならぬと思いつつ〈超初級〉性教育サポートBOOK』(Hagazussa Books)など。

撮影/花村克彦 取材・文/板垣千春 企画・編集/種谷美波

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