自分の体について、どのくらい知っていますか? 自分をケアするためには、自分の体をよく知ることが必要です。また、他者とコミュニケーションを取る上でも、自分とは違う体について正しい知識をもっておくことが欠かせません。yoiでは、男性同士でも話題に上る機会が少ないという男性の体や性器にまつわる悩みやギモンを聞き込み調査。プライベートケアクリニック東京・東京院の院長である小堀善友先生にお答えいただきました。 

男性器のギモン5

Q5.ペニスの包皮は早いうちに剥いたほうがいい? 適切なタイミングはあるの?

5つ目のギモンは、【ペニス包皮は早いうちに剥いたほうがいい? 適切なタイミングがはあるの?】。男性は生まれてから思春期を迎えるまでの幼少期は、ペニス全体が包皮ですっぽり覆われています。体の成長とともに包皮の内側と亀頭の癒着が徐々に剥がれ、やがて自然に皮が剥けて亀頭が露出できるように。ところが、人によっては「子どもの頃に親から包皮を剥く練習をさせられた」らしく、自発的に剥いた方がいいイメージがあるとのこと。男児を育てる女性たちからも寄せられたこちらのギモン、はたして専門医の回答は?

A5.“剥く”よりも“洗って清潔にする”ことを目的に!

小堀先生:幼児期から自発的に包皮を剥く行為としては、泌尿器科医の岩室紳也先生が提唱し始めた「むきむき体操」が有名です。しかしこれは早いうちに剥くことではなく、“包皮を剥いてペニスを洗う習慣をつけてきれいにしておく”のが目的

剥くことを目的にしてよく起こるトラブルは、男児の包皮を剥いてそのまま放置したら戻せなくなり、亀頭が鬱血するカントン包茎のような症状が出てしまって夜間救急に運ばれてくるケース。その場合、可哀想ですが強い痛みを我慢してもらいながら包皮を元の状態に戻すしか方法がありません…。

あくまでもペニスを清潔にすることを目的に、無理のない範囲で包皮を剥き、洗ったら元に戻すことを忘れずに! ただし二次性徴を迎えても自然に剥けず、包皮口が狭いことで日常に支障が出ているようならば別問題。状態によっては手術する必要があるかもしれないので、一度クリニックを受診してみるとよいでしょう。

包茎手術

小堀善友(こぼりよしとも)先生

プライベートケアクリニック東京・東京院 院長

小堀善友(こぼりよしとも)先生

日本泌尿器科学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性機能学会専門医、日本性科学会セックスセラピストなど多数の資格を保有。金沢大学医学部を卒業後、獨協医科大学越谷病院(現・ 獨協医科大学埼玉医療センター)の泌尿器科に勤務したのち、アメリカ・イリノイ大学に招請研究員として留学。2021年より、プライベートケアクリニック東京 東京院の院長を務める。主に男性性機能障害、男性不妊症、性感染症を専門にしており、ホームページのブログやSNSではメンズヘルスについての情報発信にも取り組む。著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『泌尿器科医が教える「正しいマスターベーション」』(インプレス)などがある。

取材・文/井上ハナエ 企画・構成/木村美紀(yoi)