毎日のリフレッシュが、バケーションに匹敵するマインドリセットに
2022年を迎え、新たな目標や抱負を胸に抱き、前進しはじめた人も多いのではないでしょうか。アメリカでは、1月1日にニューイヤーを迎えたら、翌日からすぐに人々は日常生活へと戻っていきます。吉川さんは、2022年をどんな年にしたいと思っていますか?
「新年の気持ちへの切り替えは多少あるけれど、僕には “新しい年だから何か特別なことを始めよう”とする気持ちは少ないかもしれません。なぜなら、物事の始まりと終わりを1年という単位でくくるより、1日単位でとらえているからです。
表情が変わり続ける光と影が作り出す朝の風景に、特別な今日を感じます。
前回もお話ししましたが、僕にとってここ、コネチカットのカントリーハウスは、インスピレーションを与えてくれると同時に、ストレスリリースができる最高のプレイス。現在の僕は、バケーションもウィークエンドもまったくといっていいほど取っていない、ある意味ひどい生活だけれども、その代わり、1日の中にバケーションがあるんです。
今まで、仕事で世界中を回り、きれいなロケーションをたくさん見てきました。そういうところで味わう気持ちのよさを、毎日自分の家で体感できるんです。たとえば、仕事をしていて“ちょっとヘビーだな”と感じたら、1時間庭に出て休んだり、雑草抜きをしたり…。これだけで、沈んでいた気持ちがリフレッシュして、次のクリエイティブな活動ができるようになる」
「自分がラクになれる」ライフスタイルは、自分だからつくることができる
「今の僕のライフスタイルでは、バケーションやウィークエンドを待つことなく、すぐにストレスをリリースすることができます。たとえネガティブなことがあったとしても、ため込まずに済むし、自然に触れることですぐにポジティブな気持ちに切り替えられるんです。
さらに最近は、ベッドに入って眠りにつく前に、10~15分ほど本を読む時間を設けて1日を終えるようにしています。読むのは自分が大切だと思える本ばかり。フィロソフィーだったり短いストーリーだったり、いろいろなタイプの本です。4冊ほどベッドサイドに置いておき、手に取ったときに開いたページを読む。その日の疲れ具合や気分に合わせて、数ページ読んだり、10行だけで終えたり。すると、以前は引っかからなかった事柄が別の日にはフィットしたり、気づきのきっかけになったり。僕はこの時間が大好きなんですが、これで“今日の自分”をリセットしているんでしょうね。
ちなみに僕のパートナーは、毎朝日記を書いています。自分に対しての質問と、その答えを書いているんだそう。それが彼女にとってのマインドリセット法になっているんです。
家の中にある常設のスタジオはいつでも仕事できちゃう便利なものだけど、ネバーエンドの仕事だから疲れちゃうのです。
そしてもうひとつ、僕が自分らしく生きていくために毎日のルーティンにしているのが、スポーツジムで体を動かし、体力をつけること。以前は働きすぎて体を何度も壊したんですが、そこで痛感したのが、この仕事を続けるためには、自分のフィジカルなコンディションが大切だということ。そもそも僕は仕事が大好きですから。好きな仕事を続けるためには、体力が必要。だから、特別な理由がないかぎり毎日欠かさず、パートナーと1日1時間はスポーツジムでトレーニングしています。僕にとってのジムは、病院へ通って健康管理しているようなもの。実は病院へ行くのが苦手で、あまり行きたくないんです(笑)。
もし、あなたにリラックスする時間がないのであれば、1日の中で数分でも、リラックスタイムが取れる生活に変えることを考えてみてください。ライフスタイルとは、自分でつくり上げていくもの。そして、自分でつくるライフスタイルには、心地よく生きるための可能性がいくらでもあるんです。私生活でガマンする必要はまったくありません。そうでなくても、世の中にはたくさんのリミットがあるのですから、自分で自分をラクにしてあげることを考えたほうがいい。
ふと空を見たら夕焼け空が…。ピースな気分にさせてくれました。
短い時間であっても、毎日マインドリセットをすることは、自分を観察し、自分のライフスタイルを考えるきっかけになります。自然と触れ合う時間はもちろん、寝る前の数十分の読書タイムやスポーツジムでの体力づくりは今の僕のライフスタイル=マインドリセット法ですが、その方法は人によりそれぞれ。でも、こういった時間が持てるようになると、きっとだんだんと、自分の気持ちや欲しているものがわかってくるようになると思いますよ」
1日の中で何かしらリラックスしたり、マインドリセットできる時間をつくる。これなら実践できるかも! ストレスをため込まず、その日その日にリリースできる。そんな「自分をラクにする」ライフスタイルを、2022年は探してみませんか?
撮影/Mikako Koyama 取材・文/藤井優美(dis-moi) 企画・編集/木下理恵(MAQUIA)