「かわいいメイクアップって何ですか?」

今をときめくメイクアップアーティストに問いかけて、そのアンサーをふたつのモデルルックにのせてお届けするビューティ連載。第3回目は今もっとも注目される若手のひとり、Arina nishiさんを迎え、モデル・SENAさんのいつもより少しモードな顔をお見せします。
多様化する“かわいい”のかたちをヒントに、心にここちよくなじんで気持ちをふっと上げてくれる、自分だけの特別な“かわいい”を見つけて。

Arina nishi

メイクアップアーティスト

Arina nishi

コスメヲタクだったという母親の影響で、物心ついた頃からメイクを身近に感じて育つ。地元・鹿児島で化粧品会社に勤務した後、25歳で上京。アシスタント期間を経てメイクアップアーティストとしてのキャリアをスタートし、今年の2月からフリーランスに。瞬く間にモード系のスタッフから引っ張りだこの売れっ子になる。昨年はパリとロンドンに短期留学し、コレクションのメイクアップにも参加。活躍の場をますます広げている。

【Arinaさんが考える“かわいい”メイクアップのヒント:1】 リップとリップラインの色を変えて、唇にひとさじの遊び心をのせてみる

西ありな、SENA、メイクアップ

ネックウォーマー¥38500/ドール (FUMIE TANAKA) 03-4361-8240

「ほわっとにじんだようなオーバーリップってかわいい。さらにリップラインだけ色を変えちゃったら、もっとかわいくない? と。リップの2色使いって難しく思われがちだけれど、同系色なら想像以上につけこなしやすい。リップラインの方に薄めの色を持ってくるのがおすすめです。
 
よく見たら微妙に色が違うくらいのさりげない2トーンでも、おしゃれを楽しんでいる人のムードが出て印象がすごく変わるはず」(Arinaさん・以下同)

【Arinaさんが考える“かわいい”メイクアップのヒント:2】 “丸くいれない”バイカラーチークで、かわいくもかっこいい表情に

西ありな、SENA、メイクアップ

ボディスーツ¥11000/ショールームリンクス (NICENICE MOMENT)  links-partners.com   タイツ/スタイリスト私物

「ローズとベリー。2色のチークを丸くもなく、なじませるでもなく、矢印を描くようにのせたメイクアップ。どうやってもかわいいチークというアイテムだからこそ、あえて攻めた使い方をしてみるとその人の様々な側面を引き出せます。
 
狭い範囲に色濃くのせて、チークがメイクアップの主役になるように。その分他のパーツは控えめに仕上げるけれど、ほんの少し洗練されたムードも出したくて、黒目の上下にだけ光を集めています」

Arinaさんの“かわいい”とは:ちょっとしたことでいい。その人の“好き”が垣間見える瞬間が、誰かをハッとさせる

──Arinaさんにとっての“かわいい”ってなんでしょうか?

この間、カメラマンさんがほのかなグレーのマスカラをつけていたんです。近くで見てそれに気づいた瞬間「え、かわいい!」と。他にもポニーテールの一部をさりげなく三つ編みにしていたり、左右でまつ毛の色を微妙に変えていたり。そんな人を目にするときゅんとくることが多いですね。

ちょっとしたことからその人の好きなものやこだわり、内面が透けて見えた気がして嬉しくなるというのもあるのかな。それはどこか影のある表情でも、素肌感から伝わる隙でもいいと思っているので、自分が人にメイクをするときにも“隠しすぎない”ことは必ず心がけています。
 


──いわゆる王道のメイクじゃなくても、“なんかかわいい”ってすごく強い。記憶に残りますよね。
 
とか言いながら、私自身ルールに縛られている時期も長かったんです(笑)。使いたい色があってもこれだとやりすぎじゃないかとか、もっとナチュラルに仕上げなきゃダメかなとか……。でも学生の頃のように純粋にメイクを楽しみたい気持ちも沸々としていて。それを解き放つことができたのは、最初に挙げたような自分の“好き”を大切にしている大人の方たちを目の当たりにしたから。

スタイリストさんも、ヘアさんも、カメラマンさんも。独立して色々な方々とお仕事させていただくようになったら、ルールやトレンド、固定観念に縛られず、自由にメイクやファッションを楽しんでいる姿が本当に素敵で「あ、こんなふうにやっちゃっていいんだ」と心から思えたんです。
 
新しいことに挑戦するのって勇気がいるし、尻込みしてしまう気持ちもよくわかる。でも自分の好きな色を思いのままにのせてみたら、自分をもっと好きになれることもあると思う。
 
人生は一度きりだから、きっともっと楽しんじゃっていい。あなたの思う“かわいい”メイクで、その一歩を踏み出してください!

SENA

モデル

SENA

新進気鋭のモデルエージェント『MOMENT』所属。どことなくアンニュイな佇まい、深みと味わいを
感じさせる素肌感が魅力のアップカミングな次世代モデル。



撮影/Nobuko Baba(SIGNO) メイクアップ/Arina nishi ヘア/橋本 沙耶 スタイリスト/気仙 絵里香 モデル/SENA 構成・取材・文/小川 由紀子