「90年代モードが自身のルーツ」と語るヘア&メイクアップアーティストの岩田 美香さんが手がけた2つのルックはどのようにして完成したか? 第一線で活躍を続けるメイクのプロフェッショナルが考える“かわいい”を、テクニックの側面から追求!
LOOK1:シアーなカラーをシャープなフォルムで表現することで、洗練されたモード感をプラス

1 幻想的なムードが漂う淡い色合いの4色。重ねても濁らず、美しい光沢感が増幅。カラードシャドウ EX2 ¥6050〈限定発売〉/カネボウインターナショナルDiv. 2 目のキワに入れればラインに、スマッジすればシャドウにと、多様な可能性を秘めたアイペンシル。微細なパールがゆらめくサテン モーヴ。スティロ オンブル エ コントゥール 62 ¥5280〈限定発売〉/シャネル 3 デューイな感触でクリアな発色を実現するリキッドチーク。ピュアな血色を宿すアンティークローズ。ザ リキッドブラッシュ グロウ 004 ¥3740/アディクション ビューティ 4 とろける質感で色と輝きが唇にオン。グリーンのパールが多面的に輝くピーチ。ルージュ ココ フラッシュ 270 ¥5940〈限定発売〉/シャネル

シャツ¥96800/カナコ サカイ info@kanakosakai.com シャツの下に着たシースルートレンチコート¥101200/H3Oファッションビュロー(カルラ スペティック) 03-6712-6180
▼LOOK1 Make-up Tips
チョイスしている色はどれも柔らかくシアー。ただしエッジを立てたり、骨格を意識したり、入れ方をシャープにすることで、90年代を彷彿とさせるモード感が漂う表情に仕上げているのが特徴。
目元はまず下まぶたのキワに(2)を目頭から目尻までライン状に。次に上まぶたに(1)の上から3つ目のピンクをアイホールに、いちばん下のグリーンを黒目の外側から入れ、目尻はやや長めに流す。
「目元の陰影を左右する下まぶたからアイメイクをスタート。グレイッシュなのにくすまない優秀なシャネルのモーヴのシャドウペンシルで目頭から目尻までフルでラインを入れ、切れ長でクールなイメージに。上まぶたに入れたピンクは目頭部分をスクエアに仕上げたのがポイント。目尻に入れたグリーンもエッジをぼかさずくっきりさせることで、ある種のストイックさをプラスしています」(岩田さん、以下同)
みずみずしく肌と一体化するリキッドチーク(3)は、一度手の甲にだし、指先にとって頬骨の高い部分からこめかみまでじわっと色をのせる。唇はシアーな(4)を直塗りで。
「チークは発色を繊細に調整したかったので、肌に直塗りはせず、指先にとってから色を入れる範囲を慎重に決めました。特にこめかみ部分に色を加えることで表情の引き締め効果を狙っています。口元は直塗りですが、あらかじめリップの先端で唇の輪郭をとり、内側を埋めるようにして。唇のエッジに光がのることで、より印象的なヴィジュアルに仕上げています」
LOOK2:ボリューミィに描いたオレンジリップを際立たせる、モダンな解釈の“抜け感”アイメイク

1 なめらかな描き心地で、見たままの鮮やかな発色を実現。黄色のニュアンスを帯びたレッド。トレ ドゥ エルメス クレヨン ユー 70 ¥6820/エルメスジャポン 2 マット質感ながらダマにならず、ワンストロークで美しく色づくカラーマスカラ。アニヴェン カラーリングマスカラ サンドベージュ ¥1760/YSI 3 クリーミィなタッチで思い通りに発色。ヴィヴィッドなオレンジピンク。トレ ドゥ エルメス クレヨン レーヴル 42 ¥6820/エルメスジャポン 4 セミマットな光沢とシルキーな感触で、圧倒的な存在感を放つジバンシイらしい赤。ルージュ・アンテルディ・シルキー 331 ¥6050(3/1限定発売)/パルファム ジバンシイ[LVMHフレグランスブランズ]

タンクトップ¥49500/カナコ サカイ info@kanakosakai.com ボディスーツ¥35200/ザ・ウォール ショールーム(フェティコ) 050-3802-5577
▼LOOK2 Make-up Tips
2つ目のルックも、90年代を象徴するようオレンジリップ。インパクトある唇を引き立てるため、目もとには“面”となるシャドウを入れず、代わりに“線”となるラインやマスカラで個性を際立たせている。
まずは目もと。最初に上まつ毛に(2)を根元から塗り、まつ毛のフォルムを仕上げる。その上で、下まぶたの粘膜に(1)を入れ、さらに上まぶたの目尻側にも(1)でラインを入れる。
「カラーマスカラはある程度の束感が欲しいと考えていたので、あらかじめビューラーで根元から立ち上げ、しっかり発色させています。アイラインは下まぶたのキワと目尻に。目尻のあしらいは1ルック目とは対照的にやや垂れ目気味に仕上げて、アンニュイな印象を残しました。オレンジリップをメインしたルックの場合、目もとは基本的に“抜く”という選択肢になると思うのですが、ただナチュラルに仕上げるだけだと、少し退屈に感じるかなと。今回は、カラーラインとカラーマスカラを部分的に取り入れることでスパイスを効かせつつ、シャドウを使わないことで私なりの“抜け”を表現しました」
こちらのルックの主役となる唇。ヴィヴィッドな発色が特徴の(3)で輪郭をとり、その上で(4)で内側をしっかり埋める。
「エルメスらしい明るいオレンジのリップラインは、上唇をオーバーめに入れ、エッジは立てず丸みを帯びたぽってりとしたフォルムに仕上げています。内側はジバンシイの“オーセンティックなオレンジレッド”でムラなくしっかり発色させて」
YSI 03-6452-5491
アディクション ビューティ 0120-586-683
エルメスジャポン 03-3569-3300
カネボウインターナショナルDiv. kanebo-global.com
シャネル 0120-525-519
パルファム ジバンシイ[LVMHフレグランスブランズ] 03-3264-3941
撮影/吉田 塩 ヘア&メイクアップ/岩田美香〈mod's hair〉 スタイリスト/田畑アリサ モデル/Keqing Eng 構成・取材・文/前野 さちこ