星の数ほどある色の中でも、なぜこんなにもピンクは高揚感を呼び覚ますのだろう。ただ可愛いだけではないエターナルな魅力を持つカラーを軸に、心まで高鳴るメイクアップをプロフェッショナルとともに探ります。ピンクの秘めた可能性に出合う、ネオ・ワントーンメイクアップとは?

メイクアップアーティスト
出身地の鹿児島で化粧品会社に勤務後、25歳で上京し、アシスタントとして多くの現場を通じて腕を磨く。2024年に独立し、現在はフリーランスとして活躍中。雑誌や広告を中心に、先日のパリコレクションのバックステージにてメイクアップにも参加。自身の感性を通じ、相手の本質を見極めるようなアプローチ方法と仕上がりにファンを増やし続けている。
LOOK1: 表情に宿る影をピンクで染め、内側に秘めた芯の強さを表現

ブラトップ¥19800・ドレス¥48400/ザ・ウォール ショールーム(フェティコ) 050-3802-5577
「実は撮影前日までどんなメイクをしようかと、揺れ動いていました」。そう語るのは、メイクアップアーティストのArina Nishiさん。
「ピンクと聞くと可愛かったり幼かったり、キラキラとしたイメージがありますが、案外レンジが広くメイクアップの差し引きやトーンでさまざまなムードを表現できるのが魅力ですよね。最初はシャドウやリップなど、どこか1か所だけをきかせたルックにしようとしていたのですが、それだけじゃないピンクの使い方はないかな?と楽しみながらトライしていました。
結果的に、まるごとピンクのワントーンに仕上げたのですが、こんなにわざとらしくないんだって、私自身の新たな扉を開けたような気がしています」。


いわゆるピンクをあからさまに主張させるのではなく、ヴェールのようにまとい、気配で感じさせるルックに仕上がった。
「すべてピンクのコスメティックスを使用していますが、マットやツヤといったテクスチャーに変化を持たせたり、ピンクそのものの色みをずらしたり。さらに、目立つような入れ方ではなく、まるで影がほんのりとピンク色に染まったかのようなヴェールライクな入れ方をすることで、その人の内面が醸し出されたような仕上がりが表現できるんだ、と改めて気付かされました。
その上で目指したのは、甘さや媚びのない芯の強さを感じさせる人物像。洗練されたムードに落とし込みたかったので、極力削ぎ落してベアな印象にしています」(Arinaさん)。
TIPS: テクスチャーで微妙な差を表現するオールピンクメイクアップ

1 ハチミツの琥珀色と桜が出合い誕生した、甘やかなアイパレット。オンブル ジェ 129 ¥10780/ゲラン 2 チラチラと多彩な輝きを放つ青みがかったピンク。シュアネス アイライナーペンシル 17 ¥3080/セルヴォーク 3 先端までスッと伸びる、洗練されたハリのあるまつ毛に。フェザー ウィスプ ロング マスカラ 01 ¥4180(4/4発売)/RMK Division 4 微量のくすみレッドのピグメントを配合し、血色感をさりげなくアシストする新ブラッシュシリーズ。ヌードなカラーが、ピンクの気配を優しく盛り上げる。テラコッタ ブラッシュ 000 ¥7590/ゲラン 5 90%スキンケア成分でできたリキッドハイライター。シルキーな明るいピンクで立体感もアップ。プリズム・リーブル・スキンケアリング・コレクター ピンク ¥5060/パルファム ジバンシイ[LVMHフレグランスブランズ] 6 見た目よりも、肌にのばすとシアーな色づき。Arinaさんも惚れ込んだ1品。CR ハイライター モーヴ グロー ¥3960/ベアミネラル 7 シック且つモダンなブラウンローズ。滑らかなマットフィニッシュも魅力。モノクローム ウェイトレス リップカラー ブラウンシリーズ(スムース ナイロン) B101 ¥7260〈限定発売〉/プラダ ビューティ
▼Make-up Tips
さりげないピンクニュアンスのムードを表情全体から感じさせるために、目元や口元の他に、おでこやフェイスラインにもピンクを広げたのがポイント。また、オールピンクながら、パーツ毎にトーンや質感に変化をもたせた。
アイメイク:アイホールのくぼみの中心から左右に(1)の右下のピンクをふんわりと広げたら、上目尻にのみピンクのアイライナー(2)を引く。白みを帯びたピンクのため、いい意味で目元から浮き、ピリッとしたアクセントに。ピンクは目元が曖昧な印象になりやすいため、手持ちのブラウンのペンシルライナーで上まぶたの粘膜にインラインを加えて引き締め、ブラックのマスカラ(3)を上目尻側のまつ毛だけに塗布。
フェイス&チーク:肌の内側からじんわりと滲み出るような血色感を表現するため、まず最初にピンクのリキッドハイライト(6)をおでこの生え際付近と、こめかみからあご付近までのフェイスラインに薄く塗り広げ、じんわりとしたシアーなピンクヴェールを仕込む。その上でベージュピンクのチーク(4)を頬骨下に影を差すようにのせ、目の下に淡いピンクのハイライト(5)を重ねて明るさとツヤをプラスする。
リップ:目元と頰の広範囲に明るくつややかなピンクを入れた分、リップはブラウントーンのマットピンクを選択。(7)大きめのアイシャドウブラシにとったら、唇にふわりとぼかすようにのせ、メイクアップ感を出しすぎず、素のニュアンスを高めて。
ゲラン 0120-140-677
セルヴォーク 03-5774-5565
RMK Division 0120-988-271
ベアミネラル 0120-245-633
プラダ ビューティ 0120 950 992
パルファム ジバンシイ[LVMHフレグランスブランズ] 03-3264-3941
撮影/大塚 三鈴 メイクアップ/Arina Nishi ヘア/TENJU スタイリスト/中澤 沙希 モデル/ZOE 構成・取材・文/森山 和子