明確なヴィジョンのもと、フォトグラファーやスタイリストといったスタッフの持ち味も大事しながら、的確にイメージを作り上げていくメイクアップアーティストのANNAさん。コスメ編では今回作り上げたふたつのルックのテクニックを紹介。メイクが完成するまでのアプローチやアイテム選びについても語っていただきました。

ANNA

メイクアップアーティスト

ANNA

18歳から音楽を学ぶためにパリに留学。シュウ ウエムラ氏の回顧展へ足を運んだことががきっかけでメイクに目覚め、帰国して美容の専門学校へ。卒業後、再び渡仏してコレクションのメイクアップチームに入るなど、数々の現場を経験。2015年に本帰国し、fusako氏のアシスタントを経て、2018年にアーティストとして活動を本格的にスタート。ファッションやビューティの広告、カタログ等で活躍中。

LOOK1:青みトーンの低温カラーで表現する、新たな高揚感メイク

メイクアップ、バーバリー、アディクション、AWA Olfactory CO.

1 ブランドを象徴するアイテムであるトレンチコートに着想を得たパレット。マット、サテン、シマーの質感のアイカラーがイン。バーバリー アイ クアッド 04 ¥8360/バーバリー ビューティ 2 メイクアップアーティストからの指名率が高いリキッドタイプのチーク。肌にうるおいを宿し、みずみずしいハリのある質感に。メロウな印象に仕上げるモーヴピンク。ザ リキッドブラッシュ  グロウ 003 3 滑らかに伸びた後、ふんわりパウダリーに。ソフトフォーカスされたような肌が完成。モダンなムードが漂うグレープモーヴ。同 フォギー 007  各¥3740/アディクション ビューティ 4 7種の植物原料で作られたミニマルな処方のリップスティック。体温で優しくほどけ、なめらかに発色する。オーガニック ハーバル リップスティック 山野草 紫根紅 Brownie ¥4070/AWA Olfactory Co.

ANNA、メイクアップ1

レースニットタンクトップ¥44000/リステア / ルシェルブルー総合カスタマーサービス(アイレネ)

▼LOOK1 Make-up Tips

何かに没頭している姿を見ると“かわいい”を感じるというANNAさんが表現したかったのは、高揚感。高揚感というと暖色系のカラーを使ってメイクするのが一般的だが、イノセントなムードというよりは成熟した雰囲気にもっていきたかったので、“寒色系を用いた高揚感の表現”に挑戦した。

まずは目元。(1)の左下のグレージュをアイホール広めに入れ、右下のブラウンを目のキワと目尻に。

「ここでは目元の陰影を彫り起こすためのブラウンづかいがポイント。再上陸を果たしたバーバリーのアイシャドウ(1)は、しっとりとした質感でまぶたと一体化しながら、きれいにスマッジできる粒子の細かさが特徴。

重ねても濁らず、のせ方によってさまざまな発色がコントロールできるので、ひとつ持っていると非常に汎用性が高いパレットです。ブラウンの中でも赤み系ではなくグレイッシュなカラーを選び、高揚感はあるけど低温な印象に仕上げました」(ANNAさん、以下同)

最も印象的なのはチーク使い。(2)の青みピンクを頬全体から輪郭、顎先までかなり広範囲に。さらに(3)ベリー色を頬骨から中央から縦長に入れ、さらに涙袋にもふわっと色を入れる。最後に唇に(4)を指先でのせて完成。

「ピンク色の(2)は、青みのヴェールをかける感覚でかなり広い範囲にふわりと。ベリー色の(3)は骨格を引き立てるためにやや強く入れています。口元には作り込んだ肌トーンにとけ込むような色みの(4)を選びました」

LOOK2:ときめきを繊細に詰め合わせた、カラフルなシャーベットメイク

コスメティックス、プラダビューティ、シュウウエムラ

1 柔らかな描き心地でラインとしてもシャドウとしても自由自在。シアーな発色で目元にインパクトをもたらすパープル。ラインズ デュラブル グライディング アイペンシル 06 2 アイシーなシャーベットのようなミントグリーン。同 07 各¥4730〈ともに限定発売〉/プラダ ビューティ 3 まるでレフ板のような効果を発揮して表情に透明感をもたらす。星屑をちりばめたような透け感のあるバイオレットカラー。キヌケアヌード グリーム バイオレットファンタジー ¥4950〈限定発売〉/シュウ ウエムラ

ANNA、メイクアップ2

エンブロイダリーチュールミニドレス¥209000/アンナチョイ クライアントサービス(アンナ チョイ) 首に巻いたリボン/スタイリスト私物

▼LOOK2 Make-up Tips

もうひとつのルックでは、直感で“かわいい!”と感じるときめきを詰め込みたかったというANNAさん。インパクトのある目元はシャーベットカラーのアイライナーで仕上げたもの。

主役はもちろん印象的な目元。(1)のパープルを上まぶたの目頭から目尻に向かって入れ、次に(2)を目頭から眉下に沿って眉尻までグリーンを入れる。

「プラダのアイライナーは指先でぼかすとアイシャドウのように広がるので、今回は線ではなく面で使用。パープルの(1)は流線形に仕上げてややシャープに。目頭側はエッジを意識しつつ、目尻に向かって消え入るように指先でぼかしました。

逆にミントグリーンの(2)は目頭からたちのぼるようにじんわりと眉下まで。2つの色はレイヤーせずに入れるエリアを住みわけ、グラフィック的に見せています」

あとは口元の(3)のみ。直塗りで唇の形を生かして。

「当初はチークを入れることも視野に入れていたんです。でもここで血色感を入れると、甘すぎてしまうかなと。結局チークはレスで、リップもパープルみのある色で全体をアイシーにまとめました」

AWA Olfactory Co. awaolfactory.jp
アディクション ビューティ 0120-586-683
アンナチョイ クライアントサービス(アンナ チョイ)  info@maisonannachoi.com
シュウ ウエムラ 0120-694-666
バーバリー ビューティ カスタマーサービス 0120-878-653
プラダ ビューティ 03-6911-8440
リステア / ルシェルブルー総合カスタマーサービス 03-3404-5370

JUN

モデル

JUN

moment所属。透明感ある肌と印象的なまなざしで、イノセントな雰囲気から意志の強いパワーウーマンまで、さまざまな人物像を自在に表現。

撮影/大塚 三鈴(モデル)、田村 伊吹(製品) メイクアップ/ANNA ヘア/MIRAI UEJO スタイリスト/RIEKO SANUI モデル/JUN 構成・取材・文/前野 さちこ