皆さんは入浴剤を使っていますか? 毎日使う人もいれば、自分ではなかなか購入しない人もいるでしょう。でも、入浴剤の種類や効能を理解して使うことで、入浴という行為自体の効果を高めることもできるんです! そこで、お風呂のスペシャリストともいえる「株式会社バスクリン」(以下、バスクリン)がまとめた資料から、入浴剤の種類や効能、体にもたらす効果などの最新知識をご紹介します。

お風呂と入浴剤のイメージ画像

そもそも入浴剤とは? 全6種類それぞれの効能

ドラッグストアやコスメブランド、温泉のお土産など、ひと口に入浴剤といっても本当にたくさんの商品がいろいろな場所で販売されていますよね。実は入浴剤は、「医薬部外品」と「化粧品」に分けられます。「医薬部外品」は薬効が認められた成分(有効成分)を配合し、温浴効果と清浄効果から17の効果効能が認められたもの、「化粧品」は保湿作用を主として、化粧品として認められる効能を示すものです。

さらに、その成分や効能から、以下の6種類に分類することができます。

1.無機塩類系
無機塩類(マグネシウム、ナトリウムなど)を主成分とした入浴剤を「無機塩類系」と呼びます。無機塩類は温泉の成分にも多く、硫酸ナトリウム(芒硝/ぼうしょう)や硫酸マグネシウムなどが皮膚のタンパク質と結合して膜を形成し、保温効果を高めます。

【こんな人におすすめ】
冷えが気になる、疲れが取れない

2.炭酸ガス系
炭酸塩と有機酸から炭酸ガスが発生するものが「炭酸ガス系」。お湯に溶けた炭酸ガスが皮膚から吸収され血管を拡張させることで、血行が促進され、血流も増加。入浴後の保温効果も期待できます。

【こんな人におすすめ】
肩こり、腰痛など体の痛み、冷えが気になる、代謝を上げたい

3.酵素系
酵素を配合した「酵素系」の入浴剤には、肌の清浄効果があります。炭酸水素ナトリウム(重曹)や炭酸ナトリウムを配合したものであれば、清浄効果を高めて肌をスッキリさせてくれる働きも。

【こんな人におすすめ】
背中のニキビが気になる、毛穴が目立つ

4.清涼系
メントールやペパーミントオイルなど、清涼成分を配合した入浴剤が「清涼系」。冷感が加わるため、夏場の入浴におすすめ。入浴後の肌もさっぱりさせてくれます。

【こんな人におすすめ】
汗をかきやすい、肌のベタつきが苦手

5.スキンケア系
油分など保湿効果のある成分を配合した「スキンケア系」は、皮膚の表皮の角質を柔らかくし、肌をなめらかに整えます。お風呂上がりの肌もしっとり感が持続。

【こんな人におすすめ】
肌が乾燥する、ボディクリームを塗るのが面倒

6.薬用植物系(生薬系)
名前のとおり、薬用植物(生薬)を成分として配合したのが「薬用植物系(生薬系)」。例えば体を中から温めるショウガ科のショウキョウや血行を促進するトウキなど、生薬の種類は多岐にわたります。特有の香りによるリラクセーション効果も。

【こんな人におすすめ】
冷えが気になる、生薬の香りが好き

以上のように、入浴剤は種類によって効果・効能がかなり違います。自分の悩みに合った入浴剤を成分から探してみると、入浴時間がより有意義なものになるはず。

入浴剤の6つの効果

入浴剤は6種類に分類できますが、入浴剤の効果もわかりやすく以下の6つにまとめることができます。

入浴剤のイメージ画像

1.保温効果
温泉由来の成分(無機塩類)である硫酸ナトリウム(芒硝)、硫酸マグネシウムなどが皮膚のタンパク質と結合してベールを作り、保温効果を高めます。

2.保湿効果

入浴剤に配合された保湿成分が、皮膚の表皮の角質を軟化し、肌をなめらかにします。保湿成分の入ったスキンケア系入浴剤を使えば、湯上がり後のお肌がしっとりすべすべに。


3.血行促進効果
炭酸ガス系入浴剤は血行を促進し体を温めてくれます。また、入浴中の血流増加効果、入浴後の保温効果も。

4.清涼効果
炭酸水素ナトリウム(重曹)の清浄効果と、クール系入浴剤に配合されたメントール、ペパーミントオイルなどの清涼成分が、入浴後の肌をさっぱりさせてくれます。

5.清浄効果
お湯につかるだけでも清浄効果はありますが、入浴剤に含まれる成分、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸ナトリウムによって、清浄効果がより高まります。

6.リラクセーション効果
リラクセーション効果のある温度は39°C±1°C の微温浴。入浴剤の色や香りも、リラクセーション効果を高める働きが。

入浴剤はボディケアの第一歩

スキンケアというと化粧水や乳液で肌を整えるイメージが強いかもしれませんが、入浴によって肌の汚れを落とすことも立派なスキンケア。しかし気をつけなければいけないのは、入浴後の肌の乾燥。お風呂上がりは皮脂膜が落とされているので、せっかく取り込んだ水分が逃げてしまいます。放っておくと、入浴前よりも肌が乾燥している、なんてことにもなりかねません。そこでおすすめしたいのが、「スキンケア系」の入浴剤!

スキンケア系入浴剤のイメージ画像

全身ケアならスキンケア系入浴剤におまかせ

前述の「スキンケア系」入浴剤を使用することで、入浴後も肌の水分を逃がさず、乾燥を防ぐことができます。しかも全身にくまなくうるおい成分が行き渡り、ボディクリームのように塗り残しなどの心配もなし。ではスキンケア系入浴剤を使うと、どのくらい肌に変化があるのか? 実際に数値を見てみましょう。

入浴剤は「温まる」「いい香り」だけじゃない! 入浴が楽しみになる【入浴剤の化学】_4

バスクリンが行なった実験結果がこちら。何も入れていないさら湯と、スキンケア系入浴剤を使用したお湯で、入浴後の肌の水分量を比較しています。さら湯では、入浴10分後から、入浴前よりも水分量が低下! スキンケア系入浴剤を使用すると、入浴後30分経過しても肌の水分量はキープされていました。せっかくお湯につかるなら、スキンケア系入浴剤を入れないともったいないかも⁉︎

翌朝の肌にも変化あり!

お肌にうれしい変化があるのは、お風呂上がりだけではありません。普段シャワー浴ですませている女性を対象に行なった実験では、さら湯で入浴した場合と、スキンケア系入浴剤を使用した場合で、なんと翌朝の肌状態が改善したという結果が出ているんです! 皮膚の水分、肌のハリ、肌ツヤ、顔のすっきりさの4項目を比較した結果、全項目において入浴剤を使用したほうが翌朝の数値が良好だったそう。

顔印象をアップさせたい大事な予定があるときは、「前日にスキンケア系入浴剤」がおすすめです。

あなたはいくつ知ってた? 入浴にまつわるYES or NO

入浴剤や入浴方法に関するあなたの常識、間違ってるかも⁉︎ 意外と勘違いしている人が多い、入浴にまつわるYES or NOをご紹介します。

全身浴よりも半身浴のほうが体にいい:NO
40℃くらいのぬるめのお湯に、全身で10分〜15分つかるのが理想的だといわれています。肩までしっかりつかることによって体温がしっかり上がり、入浴剤の効果も全身に行き渡ります。長時間つかるのが苦手な人は、5分間全身浴→15分間半身浴を。

入浴剤の炭酸ガスを体に直接あてると効果が高まる:NO
炭酸ガス系入浴剤はシュワシュワと泡が出ますが、これを体にあててもあまり意味はありません。お湯に溶けた炭酸ガスが皮膚から血管に入り、血管が拡張されることで血行促進や疲労回復、こりの解消が期待できるため、入浴剤が溶けきってから入浴するのがおすすめです。

入浴すると眠りにつきやすくなる:YES
人間の体内時計は、体温の変化に大きな影響を受けます。起床前が最も体温が低く、18時〜20時頃に最も高くなり、その後就寝に向けて下がる。つまり就寝前に体温が下がることで、眠気が引き起こされると考えられています。そこで就寝の90分〜120分前に入浴して一度体温を上げることで、体温が下がりやすくなり入眠もスムーズになります。

入浴剤の色は特に効果がない:NO
入浴剤の色や香りは五感に働きかけ、リラクセーション作用が高まります。入浴剤を使用したほうがさら湯に比べて快適度が高いことが実証されており、これには視覚的な効果もかかわっていると考えられます。

むくみ解消には入浴が効果的:YES
入浴による温熱効果で血行促進し、むくみの解消が期待できます。さらにお湯の水圧を受けている状態はマッサージされている状態に近いため、たっぷりのお湯につかるだけでもむくみ解消に効果的といえます。

入浴剤を使ってもっと楽しく、もっと健康に!

入浴剤の面白さ、お伝えできたでしょうか。自分の好みや体調に合った入浴剤を正しく使って、お風呂タイムをどんどん充実させましょう!

■情報提供元:バスクリン(0120-39-8496/お客様相談室)

文/堀越美香子 Photos by Loop Images/Tamsyn Morgans / Loop Images, Iryna Veklich / Moment, Aliaksandra Ivanova / EyeEm