シリーズでお届けしている【知識と工夫で花粉症に徹底抗戦!】。第4回で、花粉が睡眠に与える影響について、

①アスファルトやコンクリートに吸収されなかった花粉は、午後になると再飛散する
②大気汚染物質と結びついたり、破壊されて微細化した花粉は少量でも反応を引き起こしやすく、呼吸器の奥まで入り込みやすい
③花粉症アレルギーの反応には時間をおいて症状が出る「遅発相反応」があり、日中に吸い込んだ花粉が原因で、夜間の睡眠中に鼻づまりやせき、息苦しさなどの症状が出る場合がある
④睡眠中は副交感神経が優位になるため、鼻腔の血管がふくらみ鼻の通りが悪くなり、鼻づまりを起こしやすい
⑤寝ているときは頭の位置が低いため、床に落ちた花粉を吸い込みやすい
⑥以上のような原因から、朝起きたときに強い花粉症の症状「モーニングアタック」に悩む人が多い


といった情報をご紹介しました。

アレルギーの即時相反応と遅発相反応

玄関前では「ウェットティッシュで服に付いた花粉を取り除く」のがおすすめ!

そこで今回は、花粉対策商品「MoriLabo(モリラボ)」を発売するエステーが提案する「家ナカ対策」をご紹介。お話を伺ったのは、掃除のプロである松本忠男さんです。花粉シーズンに睡眠を充実させるには、寝室はもちろん家の中に花粉を持ち込まないことが重要だと松本さん。

「花粉は衣類に付いて家に入ってきます。帰宅時には玄関前で、濡れたタオルやウエットティッシュなどをポンポンと衣類に押し付けて花粉を取り除くのがおすすめ。手やブラシで払い落とすと、舞い上がった花粉を吸い込んでしまうのでNGです。また、ドアを開けたときに勢いよく外気が入ってしまわないよう、開け閉めはゆっくりと。コートなどの上着は玄関に掛け、寝室やリビングなど長時間過ごす部屋では着替えを避けるのが賢明です。可能であれば、乾燥した浴室で着替えるのがベスト」(松本さん)

花粉を家の中に入れないイラスト

家の中の花粉対策には「加湿器で湿度を50%」に

とはいえ家の中に入り込んでしまった花粉対策に有効なのが「加湿器」です。乾燥した空気の中では花粉が舞い上がりやすく、水分を含んで重くなった花粉は下に落ちます。加湿器をテーブルなどに置いて、 適切な湿度を保ちましょう。湿度30%では花粉が完全に床に落ちず、下のほうで漂い続ける可能性が高いので、湿度50%を目安に。

花粉対応の空気清浄機も有効です。例えば帰宅時は玄関で作動させれば、外から持ち込む花粉を取り除くことができます。寝室に置けば睡眠中の花粉対策に。複数の空気清浄機を用意できない場合は、常に自分の身近に置いて作動させることで、より高い効果が期待できるといいます。

また、新型コロナウイルスの感染予防も必要な今は、室内では2カ所の窓を開けて空気を流通させる換気が推奨されていますが、松本さんによれば「この時期、花粉が気になる方は、1カ所だけ窓を開けて空気を入れ、
部屋の換気扇から外に吐き出すようにしてください。窓を開けるのは30cmほどの幅で十分。そばに空気清浄機を置けば、花粉が漂う外気を窓際で浄化してくれるので、さらに万全な対策となります」とのこと。

寝室の花粉対策6か条

床掃除は「乾拭きで一方向」が鉄則!

家の中の花粉対策には、こまめなお掃除も必須! ですが、間違ったやり方をするとかえって花粉を空気中に漂わせてしまうことになる、と松本さんは警鐘を鳴らします。

花粉のたまった床や畳にいきなり掃除機をかけると、かえって 舞い上げてしまう可能性があります。「花粉の粒子の大きさは30μm(マイクロメートル)程度で、ホコリ(100μm程度)の3分の1しかないので、小さな力でも舞い上がってしまいます。フローリングに泥や油などの汚れがない場合、拭き掃除は乾拭きを基本に。水拭きだけで済ませると、花粉が水分に混じり、かえって床全体に広げてしまう可能性もあります。ぐるぐる、ごしごしとこするような拭き方も花粉を広げてしまうので一方向に拭き取りましょう」

掃除機をかけるときも、乱暴に動かさず、ノズルを床に優しく当てて静かに吸い込むイメージで。そして、松本さんおすすめの「最も確実に花粉を取り除く方法」は、なんと粘着クリーナー。寝室のカーペットやふとんなどは、ローラータイプのテープでしっかり花粉を取り去っておくことで、睡眠中に花粉を吸い込むのを避けられます。

松本忠男さん

プラナ代表取締役社長、ヘルスケアクリーニング代表取締役社長

松本忠男さん

亀田総合病院のグループ会社で清掃管理者として約10年間、現場のマネジメントや営業に従事。1997年、医療関連サービスのトータルマネジメントを事業目的として、(株)プラナを設立。

今回ご紹介した花粉症対策のほか、エステーでは「睡眠時の花粉」について解説した対策ガイド「知っておきたい花粉と睡眠のはなし」や、コロナ禍の花粉症患者に起こりうる リスクと対策法を解説した「ニューノーマル花粉対策ガイド」を医師監修のもとで作成。ネットで公開していますのでぜひチェックしてみて!


構成・文/浅香淳子(yoi) サムネイルイラスト/forest eternal