リモートワークで疲れ目に悩む人が急増中。目の乾きが気になって点眼薬を使ってみたものの、まだうるおい感が足りないような。ならばもう1滴…を繰り返している人はちょっと待って! そのドライアイ、原因は涙不足ではないのかもしれません。

ドライアイイメージ

ドライアイの86%が「涙が蒸発しやすい」タイプだった!?

教えてくださったのは
有田玲子先生

眼科医

有田玲子先生

伊藤医院眼科副院長 慶應義塾大学眼科非常勤講師 東京大学眼科臨床研究員。LIME研究会(Lid and Meibomian Gland Working Group)を立ち上げ、講演会やハンズオンワークショップ、患者向けパンフレットなどで涙のあぶら・マイボーム腺の重要性を発信。涙のあぶらに関する論文数は70報以上で世界一、最近では一般の人にドライアイの正しい知識を伝えるYouTubeチャンネルでの配信も。

「ドライアイは、涙の水分が足りない『涙液分泌減少型』と、水分補給をしてもその水分を守れずすぐに蒸発してしまう『涙液蒸発亢進型』の2つに分類されます。ドライアイの86%が『涙液蒸発亢進型』であると論文でも明らかになってきています」と有田玲子先生。

点眼薬をさしても数分以内に目の乾きを感じる人は、『涙液蒸発亢進型』の可能性が高いのだそう。

『涙液蒸発亢進型』の問題点は!?

涙の3層構造とマイボーム腺

目を守るためにさっそく始めたい5つの対策

涙の油層を安定化させ、瞳の保湿ベールを正常化させる5つのおすすめ対策を教えていただきました。

1.点眼薬は用法・容量を守り、うるおい感が続くものを
症状が軽いうちにさすこと。また、1滴で十分なので一度に何滴もささないこと。1日の上限回数(3〜6回)を守って。おすすめは、保湿ベール(油層)を安定化させて、うるおいが続く点眼薬や角膜に優しい防腐剤無添加の点眼薬です。

2.正しく目を温める
目を温めるときは、まぶたがぬれないもの(小豆で温めるアイマスク、ビニール袋に入れた蒸しタオルなど)を選んで。蒸気で濡れた部分の温度が低下すると逆に目元を冷やすことになるため、マイボーム腺の油を溶かすには逆効果に。

3.まばたきエクササイズを1日1分(5セット)!
マイボーム腺から脂を出すには、まぶた付近の筋肉「眼輪筋」を鍛えてしっかりまばたきすることが大切。以下の①〜⑤を3日間続けると、徐々に効果が出てくるはず!
(出典:LIME研究会)


まばたきエクササイズ1

まばたきエクササイズ2

まばたきエクササイズ3

まばたきエクササイズ4

まばたきエクササイズ5

4.まつ毛の根本洗浄を
まつ毛が汚れたままだとマイボーム腺に脂が詰まり、下の写真にあるような「タピオカサイン」ができてしまう場合も。とはいえ、ゴシゴシこするとマイボーム腺に刺激を与えてしまって逆効果です。クレンジングするときは、お湯を使ってまつ毛を指の腹で2〜3回優しく横にこすり洗いするよう心がけて。

タピオカサイン

出典:伊藤医院眼科

5.涙によい食事を意識
血液がドロドロだと涙もドロドロに。中性脂肪やコレステロール値が上がる食事は、実は目にもよくないのです。オメガ3(サバやイワシなどの青魚、魚卵、アマニ油など)、ビタミンD(青魚やサケ、ウナギ、しらす干しなど)、ラクトフェリン(食品では摂取しにくいためサプリメントで)など、血液をサラサラにする栄養素を積極的に!

構成・文/佐藤素美 資料提供/現代人の角膜ケア研究室(https://www.kakumaku-lab.jp/) Photo by Fizkes/iStock/gettyimages