今の日本は、地震や災害がいつ自分の身に起こってもおかしくない状況です。災害の備えの情報はたくさんありますが、自分の生活スタイルに最適な備えがわからないという人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、外出先での災害に備えて女性が持ち歩くべき基本の防災ポーチと、その中身の揃え方について取材。災害看護のエキスパートであり、神戸市看護大学教授の神原先生に教えていただきました。

教えていただいたのは
神原 咲子 教授

神戸市看護大学

神原 咲子 教授

コミュニティとつながり災害に強いライフスタイルを共に創る看護学のパイオニア。気候変動や災害リスクが健康(Wellbeing)に与える影響を研究し、国内外の生活文化に根ざしながら、新しいテクノロジーを取り入れた包摂的なケアの実践を展開している。多様な暮らしを支える環境づくりと、社会的ケアの実装に取り組み、よりresilient(強靭)な未来を目指す。

防災 イラスト studio uguisu

studio uguisu/Shutterstock.com

外出先での被災に備える!「持ち歩き用」の防災ポーチと中身の基本

神原先生:明け方や深夜で自宅にいるときよりも、外出先で被災してしまうことのほうが大変だと思いませんか? そこでぜひ準備してほしいのが、“持ち歩き用の防災ポーチ”です。

水や食料、ライトなどがセットになって売られている防災リュックは市販のものがベースでよいと思いますが、防災ポーチは各々が必要なものを入れていきますポーチ選びは持ち歩きできるサイズ感を重視して選んでください。

yoiセレクトの防災ポーチは…『ダイソー』の「ビニールネットケース B5」!

  • 防災ポーチ 女性 神原先生 おすすめ 『ダイソー』の「ビニールネットケース B5」 
  • 防災ポーチ 女性 神原先生 おすすめ 『ダイソー』の「ビニールネットケース B5」 2

今回yoi編集部がセレクトしたのは、『ダイソー』の「ビニールネットケース B5」。先生のおすすめアイテムが入る・マチなしでコンパクト・パッと見て、すぐに中身がわかる ・破れにくい素材という点をクリア!早速、先生の解説とともに中身をチェックしていきます。

1.衛生用品…マスク、ウェットティッシュ、ポンチョつきトイレなど

防災ポーチ 女性 神原先生 おすすめ 衛生用品

神原先生災害時いちばん初めに困ることは、トイレです。トイレに長蛇の列ができたり、トイレを求めてひたすら歩き続けるなんてことも。とはいえ、携帯用トイレを持っているから安心というわけでもないんですよ。重要なのは、“どこで携帯用トイレを使用するか”ということ。人目を気にせずに安心して使用できる目隠し用ポンチョ付きはマスト。かつ、衛生的な場所で使用できることが大事です。

また、普段から持ち歩いている人も少なくないかもしれませんが、ウイルスはもちろん、ほこりや粉塵から身を守るためにもマスクがあると安心です。そして、水が不足する災害時には、手や体を洗うことが困難になります。水を含んだウェットシートも用意しておきましょう。

2.手ぬぐい

防災ポーチ 女性 神原先生 おすすめ 手ぬぐい

神原先生:昔からある手ぬぐいですが、実はこれは素晴らしい防災グッズのひとつ。薄いので洗ってもすぐ乾く。そして長さもあるので、怪我をしたときの包帯や止血代わりにも使えます。ロープやSOSのための旗としても使用できますね。

実際の災害現場では、下着代わりに手ぬぐいで作ったブラジャーを使用している人もいました。

3.フェムケアアイテム・・・生理用ナプキン、デリケートゾーン用ふき取りシートなど

防災ポーチ 女性 神原先生 おすすめ フェムケアアイテム

神原先生緊急時は、生理ナプキンが手に入るとは限りません。万が一に備えて、生理用品もポーチにストックを。デリケートゾーンの拭き取りシートもおすすめです。

4.常備薬・・・普段から慣れているものを

防災ポーチ 女性 神原先生 おすすめ 常備薬

神原先生:持病がある人はもちろん、女性の場合はPMSなどの症状をサポートしてくれる飲み慣れた薬があると安心です。

5.モバイルバッテリー・ライト

防災ポーチ 女性 神原先生 おすすめ モバイルバッテリーライト

20000mAh 大容量モバイルバッテリー ¥2380/KYH・COB-WL005BK 充電式スーパーフラッシュライト 6Wブラック ¥1746/ムサシ

神原先生:いまはスマートフォンから情報収集をする時代。災害時もそれは同じで、防災アプリをはじめ、ハザードマップや交通機関、避難所、炊き出しといった情報がネットやSNSなどで発信・拡散されていきます。

そのため、スマートフォンのバッテリーがない=車のガソリン切れと同じで、どこへも行けず情報収集ができないことになります。

また、平成30年の北海道胆振東部地震時には、大手電力会社の管轄する地域のすべてで停電が起こる現象「ブラックアウト」が日本で初めて発生しました。Wi-Fiや充電器も支援物資の一環で届くようにはなりますが、物資の数と求める人の数とでは、求める数の人のほうが圧倒的に多い。備えられるのであるならば、自分で準備しておくことが大切です。

そして、災害時の停電に備えて小型携帯用ライトの用意を。スマートフォンの灯があれば大丈夫と考えるのではなく、スマートフォンのバッテリー消費を抑えることや、スマートフォンそのものが使えなくなることも想定しましょう。

「20000mAh 大容量モバイルバッテリー」は、USB-A入力ポート・Type-C出力ポート・Lighthing出力ポート・Micro-US出力ポートの4本ケーブルが内蔵されており、多くの端末に充電可能。

「COB-WL005BK 充電式スーパーフラッシュライト」は、卵より軽い45gという超軽量ながら、約1畳程度まで十分に照らすことができる600ルーメンの明るさ。常時点灯とフラッシュモードに加え、3段階調光が可能。

6.非常食になるお菓子

防災ポーチ 女性 神原先生 おすすめ 非常食 お菓子

神原先生:腹持ちがよく、高カロリーな“羊羹”や“チョコレート”は、ぜひポーチに入れておいてほしいお菓子。非常食を入れなくとも、普段から食べている好きなお菓子を入れておく。定期的に見直して賞味期限前に食べて、新しいものを補充しておく。このサイクルを回せればOKです。

また、100円ショップやお菓子売り場などで見かける、小袋が4連につながった“連菓子”を1袋、2袋に切りはなして持ち歩くのもおすすめです。

撮影/柳 香穂 構成・取材・文/木土さや