【防災リュックの中身】L.Aの山火事を経験したからこそ。女性におすすめの防災グッズ10選〈 Bé-A Japan CEO髙橋くみさん〉

髙橋さん：現在私は、夫と子どもたちが暮らすロサンゼルスと、会社のある東京を往復する日々を送っています。今年1月上旬、L.A.で過ごしていたときに、大規模山火事が発生。幸いにも家族と家は無事でしたが、健康被害が懸念されるほど大気汚染が深刻化したんです。

家は煤でザラザラになり、外に出ようものなら煙で目が刺激されて激痛が走り、涙が止まらない。メガネとマスクがなければ外に出られませんでした。

L.A.も日本もただでさえ乾燥しているうえに、暖房器具を使うことも多い。そこに地震が起こり建物が倒壊すれば、ガス管や電気配線が破損して火災へつながりますよね。災害時には地震や水害を想定するだけでなく、火災についても備えなくてはならないと思い直しました。そこで改めて、防災リュックの中身もアップデート！

髙橋さん：災害時、食べものはあったとしても、体調を整えるための栄養は不足しがちです。栄養が不足することを考えて、ビタミンや腸活のためのサプリを常備。

おもにビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6など免疫細胞の原料となる働きをするものをピックアップしています。

免疫力が低下することで、目や鼻、喉、腸管など体内の粘液から細菌などの病原体が侵入してまうので、粘膜にうるおいを与えて粘膜免疫を活性化することがとても大事。そのほか、皮膚や粘膜の健康維持や貧血防止のために亜鉛、鉄なども積極的にとることをおすすめします。

髙橋さん：メガネやコンタクトユーザーだけでなく、煙や風から眼を保護するためにメガネもマストアイテムです。

実際にL.A.の火事では、ダイレクトに煙を浴びてしまい、痛みや涙などのトラブルに悩まされました。メガネがなかったら…と考えると、ぞっとしますよね。また、頭痛や生理痛など、万が一に備えて鎮痛剤、普段飲んでいる常備薬もあると安心です。

髙橋さん：防災リュックに生理用品は備えておくべきだと考えます。たくさんの方とお話をしていると、防災時はもちろんのこと、予定外のタイミングで急に生理が始まることも多いようなんです。

それは生理周期が予定より早まったというパターンだけでなく、生理周期が安定しない10代の女の子や、閉経を迎える世代にとっても同様。

ちょうど私のまわりは閉経を迎えている友人が多いのですが、8ヵ月から1年近く生理がなかったのに、急に再開したというケースも…！そんなとき、防災リュックに生理用品が入っていたら安心ですよね。

髙橋さん：ベアの吸水ショーツは、1枚入れてあるとすごく便利なアイテム。ナプキンも入れたほうがいいと思いますが、ナプキンだけでは、もしかしたら経血量の多い2、3日目は漏れて汚してしまうかもしれない。

こちらは、使い捨てアイテムと併用して使えるように、クロッチポケットがついています。さらに、ポケットの羽の下に吸収体をつけているので、肝心なところから漏れない。災害時に1枚このショーツがあれば安心だと思います。

また、災害時は下着を何日も替えられなかったり、においが気になったりということがありますよね。抗菌・防臭、消臭機能を備えたショーツというのもポイント。

そのほかにも、東日本大震災や熊本地震を経験された方とお話ししていると、皆さん避難所で過ごされている間、女性用の下着を洗って干すことに、すごく抵抗があったそうで。ボクサー型のショーツなら、男性用か女性用がわからないという点もいいと思います。

先日エチオピアの避難民キャンプで生理セミナーをしてきたんですが、内戦で、着のみ着のままで逃げてきた2万人のうち約1万人が女性です。そこでも、ショーツを干しづらい、女性がいることがわかってしまう…という声があったんですよ。

髙橋さん：（左）災害時には思うように洗濯はできませんが、ショーツに経血が付着すると、時間とともにどうしても固まって落ちにくくなってしまいますよね。そんなときに、経血専用のランジェリーソープがあると断然汚れ落ちがいいので、気持ちも少し楽になるような気がして。

決してマストアイテムではありませんが、災害時に周囲で生理になって困っている人がいたら、シェアできるのではないかと思うのです。

（右）デリケートゾーンって、実は油性と水性の汚れが混ざり合い、すごく汚れやすい場所。災害時でシャワーを浴びられない状況となると、デリケートゾーンはいちばんににおいが気になる場所だと思うんです。なので、少しでもストレスを軽減できるような消臭スプレーがあると便利。

「アロマシューター」は、布にスプレーするタイプの消臭スプレーで、経血のにおいとおりもの・汗のにおいの2種類があります。おりもの・汗用は汗臭にも効果的なので、デリケートゾーンだけでなく、災害時のデオドラントとしても使用できると思います。服の上からシュッとスプレーするだけでよいので、本当に便利。

髙橋さん：（左）なかなか下着を替えられない状況では、デリケートゾーンをできるだけ清潔に保ちたいもの。そんなときにおりものシートを使用することで、ショーツに直接汚れが付くのを防ぐことができます。デリケートな部分なので、肌あたりの優しいオーガニックコットンを選んで。

（右）必要以上に拭き取ってしまうのはよくありませんが、シャワーが浴びられない、汚れやにおいが気になるときには、デリケートゾーン専用の拭き取りシートが一枚あると大活躍します。さまざまなタイプの拭き取りシートがありますが、私は乾きにくい個包装タイプがお気に入りです。

髙橋さん：アルミ製のブランケットなどもありますが、普段から愛用しているものだとよりいっそう安心感がありますよね。私は温かく包み込んでくれるような優しい質感でお気に入りのブランケットを用意しています。保温性の高い機能性素材で、薄くてコンパクトなものを選ぶといいと思います。

髙橋さん：災害時はドライシャンプーを手に取る人も多いかもしれませんが、ドライシャンプーはどうしても頭皮が乾燥してしまいがち。

スキンケア発想で頭皮に優しい海洋由来の美容成分を配合し、濃密な炭酸が心地よい刺激を与え、頭皮をすっきりリフレッシュ。汗や皮脂などの気になるにおいやべたつきも除去してくれます。

撮影／柳 香穂　構成・取材・文／木土さや