体内時計のリズムに着目し、食べるタイミングでその栄養素の効果を最大限活用することを目指す「時間栄養学」。基本的な考え方から、体内時計視点のダイエットレシピ、おいしい“完全栄養”食品&スナックまで、時間栄養学についてまとめてご紹介します!
- 体内時計を整えるのは、朝食×食物繊維。健康的な体型維持につながる「短鎖脂肪酸」も増やしてくれる!〈時間栄養学vol.1〉
- 体内時計を整えるのに必要な栄養素は?
- 【理にかなった腸活】朝食で“ととのう”仕組み&黄金食材コンビ4選!〈時間栄養学vol.2〉
- 健康的に体を引き締める!体内時計視点のダイエットレシピ4選〈時間栄養学vol.3〉
- 納豆+ツナは最強! 体内時計を整える、混ぜるだけ納豆ツナ丼
- 混ぜてチンするだけ! マグネシウムとタンパク質がとれるバナナケーキ
- 【おいしい“完全栄養”食品&スナック】体内時計をつかさどる朝におすすめ!時間栄養学専門家のレビューつき
- 『オルビス』プロデュースの完全食おにぎり「COCOMOGU」
- 1食分の栄養素がとれる! 美容フードシェイク「epono」
理学博士・管理栄養士
愛国学園短期大学准教授。「chronomanage」代表。早稲田大学規範科学総合研究所ナノ・ライフ創新研究機構招聘研究員。「時間」という観点から、医学・栄養学・調理学の領域にアプローチする時間栄養学を専門とし、科学的根拠をもとにした栄養指導や講演活動のほか、企業との商品開発など多岐にわたり活躍。
体内時計を整えるのは、朝食×食物繊維。健康的な体型維持につながる「短鎖脂肪酸」も増やしてくれる!〈時間栄養学vol.1〉

時間栄養学とは…?
「何をどのくらい」だけではなく、「いつ」食べるかということを考慮した栄養学。栄養素によって体内時計(細胞・器官に備わっている地球の自転に合わせた約24時間周期のリズム)を整えたり、体内時計に合わせて栄養素をとることでより効率的に代謝や合成を進めることができる。
時間栄養学では、朝食によって毎朝、体内時計をリセットし、1日の生理現象のリズムを整えることを重要視していて、それにより睡眠の質向上、自律神経、ホルモン調整、ボディメイクなどさまざまなメリットがあることがわかっている。
体内時計を整えるのに必要な栄養素は?
※本記事内で、食物繊維と記載しているときは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の総称を指しています。
──朝食で体内時計をリセットすることで、健康や美容に関してさまざまなメリットがあることが時間栄養学ではわかっていますが、体内時計をリセットするためにとりたい栄養素にはどんなものがあるのでしょうか?
古谷彰子さん(以下、古谷):まず一番大切なのは糖質、そしてタンパク質です。体内時計をリセットするのはインスリンというホルモンで、糖質を摂取することでインスリンがしっかりと分泌されるので糖質はマスト。
タンパク質はインスリンに似た「インスリン様成長因子-1=IGF-1」の分泌を促すため、タンパク質と糖質をセットでとることは体内時計のリセットにおいて最も大切なことです。
さらに、プラスアルファでとりたいのが魚油と食物繊維。
魚油に含まれるDHA、EPAをとると、「グルカゴン様ペプチド-1=GLP1」と呼ばれる、インスリンの分泌を促すホルモンが出ます。
魚油というと、「朝から魚を焼くのは難しい…」と思ってしまう方もいると思いますが、ツナやサバ缶などの缶詰や、サプリメントを上手に活用することをおすすめしています。
また、体内でDHAやEPAに変換されるα-リノレン酸を含む、アマニ油やエゴマ油をお味噌汁やサラダにひと回し入れるというのもいいかもしれません。
食物繊維については、食物繊維の中でも水溶性食物繊維を食べることで腸内細菌の代謝物として「短鎖脂肪酸」という酸が作られ、マウスの実験では、体内時計のリセット効果があることがわかっています。
【理にかなった腸活】朝食で“ととのう”仕組み&黄金食材コンビ4選!〈時間栄養学vol.2〉

※本記事内で、食物繊維と記載しているときは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の総称を指しています。
──腸内環境を整える腸活はメジャーな健康法のひとつですが、時間栄養学の視点で腸内環境改善のために意識したいことはありますか?
古谷彰子さん(以下、古谷):腸内細菌と体内時計の関係は明らかになっていない部分も多いのですが、生活リズムがバラバラな暮らしを送っている人の腸内環境が悪いというのは明らかです。
腸内環境は変化が速く、規則正しい生活をして食事を変えれば1週間くらいで改善することがわかっています。
規則正しい生活を行うための簡単な方法の一つが朝起きてご飯を食べること。最初はつらくても、どうにか頑張って起きて、何かを口に入れる。それを続けていくと、1週間もしないくらいで自然と体内時計が朝にシフトして起きられるようになります。
朝起きられるようになると、朝食をしっかり食べられるようになるだけではなく、夜、よく眠れるので、早寝早起きが定着し、体内時計のリズムが安定し、好循環が生まれます。
すると、あらゆる生理反応がスムーズに行われるようになり当然、腸内環境も整います。
また、整った腸内環境を作るのに欠かせないのが、短鎖脂肪酸。短鎖脂肪酸は、腸内細菌のうち善玉菌が水溶性食物繊維をエサとして食べたときに作られる代謝物で、水溶性食物繊維を夜にとるより、朝にとるほうが短鎖脂肪酸が多く作られることがわかっています。
つまり、体内時計を整えたうえで、朝に水溶性食物繊維をとるのが、最も効率的に短鎖脂肪酸を合成する方法というわけです。腸内環境改善によいとされる食品をとっても、体内時計が乱れた状態では、腸を整えるのは難しいでしょう。
まずは朝食で体内時計のリセット効果が高い糖質+タンパク質をとる。さらに水溶性食物繊維をはじめ、腸内環境を整えるのに有効とされる食品をプラスするのが時間栄養学的に理にかなった腸活です。
──水溶性食物繊維のほかに、プラスするとより腸内環境改善に効果的な栄養素や食品はあるのでしょうか?
古谷:食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がありますが、不溶性食物繊維にも便のかさを増やし、蠕動(ぜんどう)運動を促す効果があるので、どちらも一緒にとりたいです。
確かに、短鎖脂肪酸を増やすには水溶性食物繊維が要なのですが、水溶性食物繊維に加えて、不溶性食物繊維を一緒にとったときが、最も腸内環境が整うというデータも出ています。
実際、食物繊維が多い食品には差はあれど、両方とも含まれている場合が多いので、食物繊維が多い食品をなんとなく頭に入れておき、まずは「ネバネバ食材を朝に食べる」というところからはじめていただければと思います。
また、マグネシウムは水溶性食物繊維と一緒にとることで腸内環境が改善することが実験でわかっていて、バナナや海苔などは、マグネシウムと水溶性食物繊維どちらも含むのでおすすめの食品ですね。
健康的に体を引き締める!体内時計視点のダイエットレシピ4選〈時間栄養学vol.3〉
※本記事内で、食物繊維と記載しているときは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の総称を指しています。
──健康的に体を引き締めるために、時間栄養学の視点からアドバイスはありますか?
古谷彰子さん(以下、古谷):ダイエットをしようと、糖質を抜いてタンパク質だけを増やす方がいますが、朝にこれをしてしまうと実はとてももったいない。
朝の糖質は体内時計をリセットし、代謝をはじめ、あらゆる生理現象がスムーズに進む体の土台を作ってくれるので、ボディメイクを考えるなら朝は糖質をしっかりとり、夜は控えると自然と体が引き締まっていきます。
また、筋合成は朝が盛んなため、材料となるタンパク質摂取はもちろん大切なのですが、エネルギー源となる糖質がなければ合成反応も進まないので、やはり糖質は欠かせません。
今回は、糖質とタンパク質をベースとして、腸内環境を整える食物繊維やむくみ予防に効果的なマグネシウムが一緒にとれる、混ぜるだけのダイエット朝食レシピを考えました。
納豆+ツナは最強! 体内時計を整える、混ぜるだけ納豆ツナ丼

水溶性食物繊維が豊富な海苔、食物繊維に加え、体内時計リセット作用のあるビタミンKがとれる納豆、同じく体内時計リセット作用がある魚油がとれるツナ缶をまとめて丼ぶりに。これ一杯で体内時計をしっかりリセットしつつ、腸内環境も整えることができます。
材料(1〜2人分)
・油漬ツナ缶 1缶(70g)
・納豆(たれ・からし含む) 1パック(50g)
・海苔(トッピング用) 適量
・ごはん 茶碗1〜2杯
作り方
【1】納豆(たれ、からしも一緒に混ぜてOK)とツナ缶を混ぜる。
【2】ごはんの上に【1】をのせて、お好みで海苔をちぎってトッピングし、完成。
混ぜてチンするだけ! マグネシウムとタンパク質がとれるバナナケーキ

マグネシウムと食物繊維が豊富なバナナに、タンパク質をはじめ栄養が豊富な卵、タンパク質と腸内環境を整えるオリゴ糖を含む豆乳を混ぜてお手軽バナナケーキに。混ぜてチンするだけでできる手軽さや、ラップに包めば外でも食べられる点も優秀。
材料(1〜1.5人分)
・バナナ 1本
・ホットケーキミックス 100g
・卵 1個分
・豆乳 大さじ4
・サラダ油(米油やオリーブオイルでもOK) 小さじ4
作り方
【1】バナナをフォークでつぶし、卵は溶く。
【2】【1】に加え、すべての食材を混ぜ、深さのある耐熱容器に流し込む(器の半分程度にくるくらいが目安)。
【3】電子レンジ600Wで3分ほど加熱して完成。
【おいしい“完全栄養”食品&スナック】体内時計をつかさどる朝におすすめ!時間栄養学専門家のレビューつき
『オルビス』プロデュースの完全食おにぎり「COCOMOGU」

左から、「ナッツの食感楽しむ豚ひき肉と小松菜の中華風おにぎり」、「こく旨牛肉と人参ほうれん草の香ばしビビンバ風おにぎり」。定期プランと単品が選べる。¥3,317~(購入プランにより変動。詳しくはCOCOMOGUオンラインストアをご確認ください。)※別途、送料¥990がかかります。
スキンケアアイテムでおなじみの『オルビス』が提供するのが、内側からも健やかな美しさをサポートする完全食おにぎり「COCOMOGU」。
「忙しい毎日をあなたらしく豊かに過ごすための完全食おにぎり」というコンセプトの「COCOMOGU」は、素材そのもののよさを引き出すことにこだわり、おいしさと栄養バランスを両立。1食(2個)で、1日に必要な30種類以上の栄養素がとれ、冷凍保存も可能なので、ストックしておけば忙しい日々を健康に過ごす助けに。
「ほぐし焼きさばと煎りごまの大葉香るおにぎり」「ほくほく大豆とひじき煮の鶏五目おにぎり」「ナッツの食感楽しむ豚ひき肉と小松菜の中華風おにぎり」「こく旨牛肉と人参ほうれん草の香ばしビビンバ風おにぎり」の4種類をラインナップし、どれも具沢山で、満足度は抜群です。
【yoiエディター・長谷の実食レビュー】
どれもマイルドながら奥深い、安心する味わい。素材そのものの食感が楽しめ、咀嚼回数が自然と増え、腹持ちはかなりいいです。
【古谷さんコメント】
朝の体内時計のリセットに役立つ糖質+タンパク質やDHA・EPAに加え、朝に不足しがちなビタミンやミネラルを補うことができます。体内時計リセット作用の点では、「ほぐし焼きさばと煎りごまの大葉香るおにぎり」がおすすめです。
1食分の栄養素がとれる! 美容フードシェイク「epono」

左から、「チョコレート」、「バナナ」、「ストロベリー」。継続便の場合6食¥2380(送料別)、1回のみの場合6食¥3400(送料別)。
「楽しくないと健康じゃない」をモットーに誕生した、日本初のフードシェイク(=スイーツ感覚で楽しめるボトルに入った健康食)の「epono」。 水を入れてシェイクするだけで、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に基づいた量で配合された、1食に必要な27種類の栄養素をとることができます。
動物性タンパク質や添加物は不使用で、人工的な甘みが苦手な人でも飲みやすいのも「epono」の魅力。
フレーバーは「ストロベリー」「バナナ」「チョコレート」の3種類で、水の代わりに豆乳や牛乳を加えればタンパク質量アップになるほか、飲むヨーグルトやアーモンドミルクなどアレンジの幅が広いのもフードシェイクならでは。
朝なかなか食べられないという人でも、ドリンクなら取り入れやすいうえ、美容に必要な栄養素も摂取できるので、インナーケアとしても重宝しそう。
【yoiエディター・長谷の実食レビュー】
スッキリとした甘さで、グラノーラのプチプチ食感が楽しい。移動中に手軽に飲むことができるので、昼食をとる時間がないときにも◎。軽い飲み心地なのに、1本で27種類もの栄養がとれるというのが驚きです。
【古谷さんのコメント】
植物性タンパク質中心で、重たさを感じにくい。自然な甘味で構成されているため、血糖値への影響が穏やかと考えられます。