GW後に心配な5月病、あなたは大丈夫ですか?

なんとなく気持ちが晴れない、やる気が起きない、漠然とした不安を感じる…。そんなときに役立つ【メンタルケア】の人気記事BEST5をピックアップ!

1位 ◆ 日々のイライラ、モヤモヤを「問い」に変えて。哲学研究者・永井玲衣さんに聞く、哲学対話とケアの関係

哲学と聞くと、「生きるとは何か」「愛とは何か」…そんな難しいことを考えるイメージがありますが、もっと身近でささやかな「問い」について考えることも立派な哲学だと、哲学研究者の永井玲衣さんは言います。全国の学校や企業、お寺や美術館などさまざまな場所で「哲学対話」を続けている永井さんですが、そこで感じるのは、多くの人は「問う」のが苦手だということ。“余計なことは考えるべからず”という社会の空気のなかで、私たちはいつの間にか、「問い」を遠ざけるようになってしまったのかもしれません。

「問い、考えることは、自分を大切にすることでもある」と話す永井さん。忙しい毎日にも、少し目を向けてみれば「なぜ?」はたくさんあるはず。ほんの少し立ち止まって考えることが、今抱えているイライラやモヤモヤの解消につながるかもしれません。今、改めて「問う」ことの大切さについて、考えてみませんか? 哲学とセルフケアの関係について永井さんにお話を伺いました!

永井玲衣さん

イライラ、モヤモヤから始まる哲学

――哲学というと、すごく難しいことを考えるというイメージがあるのですが、永井さんは哲学をどのようなものだと説明しますか?



すごくシンプルに言えば、「立ち止まって考えること」ですよね。私は、哲学は学問というよりは、日常的な体験や営みであり、誰もが哲学者になることができると思っているんです。だって、世界って本当に変じゃないですか。“雨が降る”という事象にしても、空から水が降ってくるだなんて、ヤバいですよ(笑)。さらに、それに対して“天気予報”というものがあり、テレビでは、スーツ姿の人が当たり前のように「明日は傘が必要です」と話していて、私たちはその人の言うことを信じている...。

そうやって普段何気なく受け入れている一つ一つの事柄に立ち止まってみると、「なぜ、スーツというものが正装とされているんだっけ?」とか「そもそもテレビって何?」とか、日常の奇妙さや不思議さがどんどん現れてきます。世界が変だと気がつくと、勝手に哲学が始まってしまう。私はそんなふうに考えています。

かつて古代ギリシャの哲学者は「哲学は驚きに始まる」といいました。これにはすごく共感します。「世界はなんて奇妙なんだ」とか「なんて美しいんだ」と、びっくりしたり衝撃を受けたりしたときに、「問い」はこぼれてくる。でも私は、イライラしたりモヤモヤしたり、寂しかったり、笑っちゃったりするような、言葉にできないようなささやかな感情からだって、「問い」は生まれると思うんです。例えば、「どうして二日酔いになるとわかっていても飲みすぎてしまうんだろう」という「問い」。これはもう2000年以上も前から哲学者たちが考えてきた「意志の弱さ」についての問題です。

 永井玲衣

哲学研究者

永井玲衣

1991年、東京都生まれ。哲学研究と並行して、学校や企業、寺社、自治体などで哲学対話を幅広く行なっている。著書に『水中の哲学者たち』(晶文社)。好きなことは、詩と漫才と念入りな散歩。

2位 ◆ 「それでいい」を「それがいい」に変えるために。NHK『アイラブみー』のプロデューサーと考える“自分の愛し方”

主人公・5歳の“みー”が、「自分を大切にするってどういうこと?」をテーマに、体や心についてさまざまな発見をしていく子ども向けアニメーション番組『アイラブみー』。他者とのかかわりから生じる疑問をきっかけに“みー”が試行錯誤していく姿には、yoiでこれまで向き合ってきた「セルフラブ」をおろそかにしてしまいがちな大人の私たちにこそ響くメッセージが詰まっています。

そこで、番組のプロデューサーをつとめるNHKエデュケーショナルの藤江千紘さん、岡崎文さんに制作舞台裏の話を伺いながら、番組の軸である“アイラブミー”=「自分を大切にすること」について考えていきます。

『アイラブみー』

ⓒNHK

性教育は、“自分を大切にするための教育”

――はじめに、子ども向けのアニメーション番組で「セルフラブ」をメインのトピックとして扱うことになった経緯を教えていただけますか。

藤江千紘さん(以下、藤江) そもそもは、2020年に「子ども向けの性教育番組を作れないか」と考えたのが始まりでした。当時スタッフの中には、私を含めて未就学児の親が多かったこともあったと思います。ただ、自分たち自身がこれまで十分に性教育を受けて来なかったこともあり、「子どもたちにどんな情報をどう伝えればいいのか?」という戸惑いがありました。

そこで、まずは専門家の先生に取材をすることになったんです。話を聞いていくなかでわかったのは、「性教育」とは、生理や性器など生殖のことを扱うだけでなく、 “自分を大切にするための教育”だということ。最初は、いろいろな人が観るテレビというメディアで性について扱うことに難しさを感じていましたが、この切り口ならできるかもしれない、と思いました。

自分とか他人を意識しはじめる幼児期に体や心のことを知って、まずは自分を大切にする。そうすれば、同じように誰かのことも大切にできて、お互いに自己肯定感を持ちながら生きることにつながっていくーー。チームで性教育の方向性について話し合うなかで、この解釈にたどり着きました。

岡崎文さん(以下、岡崎) 私は番組制作チームに途中から参加したのですが、最初は性教育の必要性というのがピンときていなかったんです。ですが、それが“自分を大切にする”ことを知っていく学びだとしたら、ぜひ知りたいと思いました。このコンセプトなら、性教育が「とっつきづらいもの」ではなく、「誰もが知っておいたほうがいいもの」として多くの人に受け入れられやすくなるのでは? と感じました。

藤江千紘

NHKエデュケーショナル チーフ・プロデューサー

藤江千紘

NHK入局後、ディレクターとして『トップランナー』『プロフェッショナル 仕事の流儀』などのドキュメンタリーを制作。その後、『天才てれびくん』をはじめとした子ども番組の制作を経て、『ねほりんぱほりん』の企画・演出などの番組開発を担当。現在は、NHKエデュケーショナルにて『アイラブみー』など番組事業のプロデュースを行う。

岡崎文

NHKエデュケーショナル プロデューサー

岡崎文

NHKエデュケーショナル入社後、『NHK高校講座』『ふしぎがいっぱい』など学校教育の現場で使用する放送番組や、『課外授業 ようこそ先輩』といったドキュメンタリー番組、『きょうの料理』などの趣味実用番組を制作。現在は、若手社会人向けの『とまどい社会人のビズワード講座』の企画・演出と『アイラブみー』の番組事業プロデュースを行う。

3位 ◆ 吉川めいさんに聞く「ジャーナリング」の始め方 ~書くことで自分を知り、セルフエンパワメントする

マインドフルネスやメンタルヘルスを高める手法として最近注目されるようになった「ジャーナリング」ですが、実際どんなことをするの? と思っている人も多いはず。そこで今回、15歳からジャーナリングを続けるヨガ講師・ウェルネスメンターの吉川めいさんに、その意味や目的、やり方のポイント、私たちの心や生活にもたらしてくれる効果について教えていただきました!

吉川めいさん

「ジャーナリング」が”書く瞑想”といわれる理由

――まず、「ジャーナリング」とはどんなことをするのか、どんな目的でするものなのかを教えてください。


「ジャーナリング」という言葉をシンプルに日本語訳すれば「記事を書くこと」なのですが、最近メンタルヘルスの観点から注目されているジャーナリングは、書くことで心の整理をしたり見直したりする、という意味が含まれています。目には見えない自分の意識や心の中にあるものを、紙の上にアウトプットすることで、自分の「心の洗い出し」をすることがジャーナリングの大きな目的です。

ジャーナリングをするときに重要なのは、ど素直にど直球に、きれいにまとめようなどと考えず、ただ手に書かせてあげること。今、自分が考えていることがなんなのかわからなければ「わからない、わからない…」と書いてください。ほとんどの方が最初は不慣れだし、「こんなことして効果あるのかな」と思うんですけど、そのうち「わからないけど、何かにムカついている」「わからないけど、不安になっている」と、だんだん違う感情が出てくることに気がつきます。いざ書きはじめたら、すごい勢いで何ページも書いてしまったという人も。それで「私、こんなに吐き出したいことがたまってたんだ」と気づくんですよね。

吉川めい
吉川めい

Veda Tokyo主宰、ウェルネスメンター。日本で生まれ育ちながら、幼少期より英語圏の文化にも精通する。母の看取りや夫との死別、2人の息子の育児などを経験するなかで、13年間インドに通いつづけて得た伝統的な学びを日々の生活で生かせるメソッドに落とし込み、自分のなかで熟成させた。ヨガ歴21年、日本人女性初のアシュタンガヨガ正式指導資格者であり『Yoga People Award 2016』ベスト・オブ・ヨギーニ受賞。adidasグローバル・ヨガアンバサダー。

Veda Tokyo
Veda Tokyo

変化のときの自己探求型ラーニングサービス。 自分自身をよく知り、呼応するためのヒントを伝え 「心身の本質」にアプローチする独自プログラムを提供する。

「書く瞑想」プログラムは毎月第1土曜日に開催。

40分ほどのプログラムの中で、テーマとなったインスピレーションワードをもとに3つの視点から書き出していく方法を学ぶことで、モヤモヤしていた不安や悩み、そして感情に気づいたり、また、日々続けていくことで自分の「クセ」も発見できる。
https://vedatokyo.com/

4位 ◆ ストレス緩和・幸福感・ダイエット。「オキシトシン」は心にも体にもいいことずくめ!

最近、ストレスケアなどで注目されているキーワード、「オキシトシン」をご存じですか? 脳で作られるホルモンで、分泌されると優しい気持ちや幸せな気分になるため、「愛情ホルモン」とも呼ばれます。「思いやりホルモン」「幸せホルモン」「ハッピーホルモン」「絆ホルモン」「恋愛ホルモン」など、ほかにもさまざまな呼び名を持っていますが、好きな人とスキンシップしたり、親しい友人と楽しくランチしたりしているときに幸せを感じるのは、このオキシトシンの効用。

でも愛情や幸福感といったメンタルに関する働きだけでなく、実はもっと多彩なすばらしい効果を発揮することが、近年、多くの研究の結果、解明されているのです。

オキシトシンイメージイラスト

奥平智之(おくだいら ともゆき) 先生

精神科専門医・漢方専門医・認知症専門医

奥平智之(おくだいら ともゆき) 先生

日本栄養精神医学研究会会長・医療法人山口病院副院長(埼玉県川越市)。「メンタルヘルスは食事から」をモットーに、栄養面からのアプローチで心を健康にする大切さを啓蒙。鉄欠乏女子を「テケジョ」、栄養の問題に起因するうつ状態を「栄養型うつ」など、印象的なキーフレーズの数々を命名。著書はいずれもわかりやすく、シリーズ累計12万部を超えた食事栄養療法の最新刊『最新版 マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ』(主婦の友社)が2022年10月31日発売に。https://www.dr-okudaira.com

5位 ◆ ストレスと上手につき合うためのコーピング。自分で自分を安心させる「バタフライハグ」って?

終わらない仕事、SNSやメディアからの絶え間ない情報、体調や環境の変化…。私たちは、日々、さまざまなストレスを受けながら生活しています。そんな中で疲れを感じていたり、漠然とした不安を抱えたりしている人は、きっと少なくないはず。

そこで、自分で自分を守り、メンタルの不調から回復するために活用したいのが「コーピング」と言われるストレス対処法です。難しいテクニックはいっさい不要! 誰でもすぐに始められるコーピングについて、その効果や取り組み方を、臨床心理士の伊藤絵美さんに伺いました!

コーピングイメージイラスト

伊藤絵美

公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士

伊藤絵美

洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長。専門は臨床心理学、ストレス心理学、認知行動療法、スキーマ療法。精神科クリニックにてカウンセラーとして勤務した後、民間企業でのメンタルヘルスの仕事に従事。2004年より認知行動療法に基づくカウンセリングを提供する専門機関を開設し、カウンセリング歴は30年以上。著書に『セルフケアの道具箱 ストレスと上手につきあう100のワーク』(晶文社)、『コーピングのやさしい教科書』(金剛出版)、『つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。』(医学書院)などがある。