お寺でできるウェルネスとして最もポピュラーなのが坐禅。だからこそ、どこに行くべきか悩んでしまう…。そこで年間1000以上のお寺を訪れる、仏像研究家・芸人のみほとけさんに坐禅体験ができるおすすめのお寺を教えてもらいました。
お寺でする坐禅の魅力とは?
みほとけさん 坐禅は仏教の始まりとともにずっとお坊さんがやり続けていることですから、お寺に行ったら体験すべきことのひとつ、と言ってもいいかもしれません。毎日を忙しく暮らしている人は、色んなことを同時に考えながら生きているので、意識がさまざまな場所にあると思うのですが、そのすべてを自分の中心へと戻すのが坐禅です。呼吸を整え、姿勢を整えることで体の内側もおのずと整います。自分の現在地がどこにあるのかを確かめる行動なので、ただ座っていることが正解なんです。
坐禅会をやっているお寺では、事前にやり方を教えてくれるので初心者でも安心です。一生懸命やるものではなく、教えてもらった型にはまるだけでOKなので、誰でも簡単にできますよ。さまざまな場所に散らばっていた意識が自分の中心に戻ってくるので、終わったあとの気持ちよさは格別です。
【神奈川】禅の聖地で心身をととのえる「円覚寺の暁天坐禅会」
日本を代表するお寺のひとつである円覚寺。鎌倉時代後半の1282年に執権の北条時宗が宋より招いた無学祖元禅師により開山され、室町時代には日本の禅の中心的存在となり、五山文化や室町文化に大きな影響を与えたことは有名な話。
そんな格式高いお寺で、坐禅会が開かれているなんて意外と知らない人も多いのでは? しかもご本尊が祀られている仏殿で毎日行われているんです! 朝6時からなので気合を入れて早起きしないと行けないけれど、朝の澄みわたった空気の中、円覚寺の本堂で座禅を組んだら、日々のストレスや悩みがすべて消え去りそう。
坐禅会が終わったら、広い境内をのんびり散策するのがおすすめ。国宝に指定されている舎利殿や洪鐘をはじめ、見どころが満載です。
朝6時からの坐禅会だけでなく、土曜坐禅会(毎週土曜14:30〜16:00)や日曜坐禅会(第1・第3日曜日14:30〜16:00)、夜の初心者向け坐禅会 (第2水曜日19:00〜20:30)も開催されています。これらは仏殿ではなく選仏場で行われており、毎朝の坐禅とは違った雰囲気を味わうことができるのも魅力のひとつ。
みほとけさんのおすすめポイント
臨済宗円覚寺派の大本山でもある円覚寺には、たくさんのお坊さんが修行しにくる道場でもあるので、円覚寺にしかない研ぎ澄まされた空気が漂っています。そんな場所で坐禅が組めるなんて至福でしかありません。円覚寺で修行をしたお坊さんがわかりやすく指導をしてくださるので、初心者でも身構えることなく参加できますよ。
円覚寺
住所/神奈川県鎌倉市山ノ内409
開催日時/1日、15日を除く毎日 6:00〜7:00
開催場所/仏殿
料金/志納 ※土曜坐禅会、日曜坐禅会、夜の初心者向け坐禅会は参加費として¥1000(拝観料別途)
※初めて参加する場合、和尚様からの説明があるので必ず10分前までに集合してください
※夜の初心者向け坐禅会は予約必須です
※円覚寺の行事や荒天時は休会します。事前にホームページにて確認をお願いします
※個人参加でお願いします(グループでの参加は不可)
公式サイト
【東京】yoiでもおなじみの細川住職の指導が受けられる!「龍雲寺の洗心坐禅会」
元禄12年に建立された龍雲寺は、有力な武将や権力者によって建立されたのではなく、地域の人たちのお寺が欲しいという思いから始まったお寺。お寺を大切に思う人々の気持ちは現代にも継承されていて、多くの人が集うコミュニティのような場所でもあるんです。
毎週日曜日の朝に行われている洗心坐禅会には、子どもからお年寄りまで幅広い世代の人たちが参加しています。
龍雲寺はyoiで“禅ワード”について教えてくださった細川晋輔さんがご住職を務められているお寺です。優しく寄り添ってくれる細川さんの人柄に惹かれて、多くの人が集まっていると言っても過言ではありません。
本堂での坐禅会に参加するには事前申し込みが必要ですが、なんと当日は100人までZoomで参加することも可能なんです! 満員になってしまった場合はYouTubeライブでも配信されているのもうれしい限り。
みほとけさんのおすすめポイント
住職の細川さんが、わかりやすく坐禅について教えてくださるので、初心者はもちろん、経験者の方でも正しい坐禅の組み方が再確認できるのでおすすめです。ありがたいお話も一緒に聞けるので、早起きが苦手な人でも行く価値は絶対にあります!
龍雲寺
住所/東京都世田谷区野沢3-38-1
開催日時/毎週日曜日 7:00〜8:30
開催場所/本堂
料金/無料
※本堂での参加にはHPより予約が必要です
※ZoomやYoutubeでの参加方法は、HPにて確認してください
公式サイト
【山梨】庭が座禅道場って、スケールが大きすぎる!「天目山 栖雲寺の幻住坐禅」
標高1050mの深山幽谷にある天目山 栖雲寺は、禅道場として1348年に開山されました。開祖の業海本浄は、元(中国)の杭州にある天目山によく似たこの場所で日夜坐禅をされたそうです。正面に富士を望む禅庭の石上で行う坐禅は、栖雲寺でしか味わうことのできない特別な体験。山奥にあるお寺なので行くのは大変だけど、大自然の中に身を置いて一体となる感覚が味わえる坐禅は、生きているうちに一度は経験したいもの。
初心者にはハードルが高そうなシチュエーションですが、坐禅会は予約の必要がなく、誰でも参加することができるうえ、ご住職が本堂で事前に指導をしてくれるので安心です。秋は坐禅を組むのにベストシーズンなので、ぜひ足を運んでみてください。
みほとけさんのおすすめポイント
実は私もまだ行けていないのですが、ずーっと行きたいと思い続けている場所です。ここで型にはまったら、絶対に何かが見えてくると思うんですよね。かなり標高が高い場所にあって、横には滝や川が流れていて、温泉も近くにあるので泊まりがけで行くのもいいかもしれません。
天目山 栖雲寺
住所/山梨県甲州市大和町木賊122
開催日時/毎月最終日曜日 6:50〜8:30
開催場所/本堂および禅庭
料金/¥300
※甲州市内には同名の栖雲寺が2カ所あるので気を付けてください
※天候により場所が摩利支天堂、石庭会館、本殿になる場合があります
公式サイト
取材・文/菊池美里 企画・構成/木村美紀(yoi)