キャリア、人間関係、結婚・出産etc…20代後半から30代のyoi読者には、コンプレックスの種がいっぱい。そこで、“セルフラブ”を体現し、毎日を自分らしく楽しむ元CHAIのメンバー・YUUKIさんが、yoi読者にモヤモヤへの向き合い方をアドバイスする連載がスタート! 毎回テーマに合わせてYUUKIさん自身が制作したアート作品と共にお届けします。第1回目は「結婚」に関するコンプレックスについて。

YUUKI

アーティスト

YUUKI

2024年春にバンド活動を終了したCHAIのメンバーで、ベース、作詞、アートワークを担当。現在は、クリエイティブプロジェクト「YMYM」にて、アパレルやライフスタイルグッズのデザインを手がけるほか、作家としてアート作品の制作と発表へ精力的に取り組んでいる。また、アートとカルチャーが融合したマーケットイベント「Art Culture Street.」を定期的に主催し、幅広い活動を展開。

お悩み:周囲の結婚している友達、家族からのプレッシャー。

「30歳になって、周囲の友達や同級生が結婚して子どもを持っている人が多くなりました。自分も『ご縁があれば結婚したい』とは思っていますが、焦りを感じてしまいます。また、家族から早く結婚しないのかとせっつかれ、職場でも年下の子が結婚しているのを見ると、『何か始めないといけないのでは?』と思ってしまいます。祖母と母親が共に離婚しているので、正直、結婚に対していいイメージがなく、結婚といっても幸せになれるのはごく一部だけ…とまわりを妬んでしまう自分が嫌になります」(30歳、看護師)

迷いや嫉妬って、自分の本当の“これしたい!”を知るチャンス!

YUUKI アート 作品 お悩み相談 CHAI

YUUKI:相談してくれて、ありがとう! お悩みを読んでいて気になったのは、「結婚したい」と思っているかもしれないけど、その理由が「友達が結婚しているから」「同級生に子どもがいるから」「親に早く結婚しなさいと言われたから」で、すべてまわりの人からの影響によるものになってしまっているのでは、ということ。結婚に対する漠然とした焦りや不安で、自分の本心や願望がわからなくなり、お手上げ状態になっているんじゃないかな?

そんな相談者さんは、まず、自分がいちばん何をしたいか」、「何に幸せを感じるか」といった本心や願望を、自分の視点でしっかり見つけることが大切。まわりが結婚しているからじゃなくて、「自分が心の底から“結婚したい”と思っているか、もしかして結婚以外にしたいことがあるんじゃないか」を見極めたほうがよいかなと。そして、日々の中で「幸せ!」と感じる瞬間に気づいて、選び取る力を鍛えるといいと思います

モヤモヤをノートにひたすら書き出す!

YUUKI  イラスト お悩み相談 連載 CHAI

YUUKI:自分の本音や願望をはっきりさせたいときにおすすめの方法が、モヤモヤをノートにひたすら書き出すこと! ぼんやりした不安に輪郭を与える作業、とでも言うかな。きれいな文章にする必要は全然ないし、思いつくままに書き殴ってOK。頭の中でグルグルしている考えや感情をノートにすべてさらけ出すことは、少し怖いかもしれないけれど、書いて丸裸になったあとは、気持ちや思考が整理されて、「自分は結婚したいのか、実はそうでもないのか」「結婚したいなら、これから何をすべきか」といったことがクリアになるはず。

私も過去にモヤモヤが生まれるたびにこのノートをつけていたんだけど、そうすると「私はこれがいちばんしたかったのか」「こうすればいいだけじゃん!」「なんだ、私はこんなちっぽけなことに悩んでいたんだ〜」と拍子抜けしていたよ(笑)。

そういえば、メッセージの中に「まわりを妬んでしまう自分が嫌」とあったけれど、それって悪いことじゃないよ、と伝えたい。私も他人と自分を比べて「いいなぁ〜」「ズルい!!」と思うことはよくあるし、そうした気持ちを抱くのは人間なら自然なこと。それこそ、ノートにモヤモヤを書き出す作業では、自分が抱えている“嫉妬”や“劣等感”に向き合うことになるけど、そうした“コンプレックス”ってとらえ方次第では自分にプラスになりうるんだよね。だから、ただネガティブなままで終わらせるのはもったいない! 私はいつも「羨ましいと感じるということは、私もこれがしたかったんだね」「こうなりたいんだな」と思考を切り替えるようにしています。

「カレーが食べたい!」と思ったらカレーを食べる。自分の気持ちに敏感かつ正直に。

YUUKI  イラスト CHAI 1

YUUKI:相談者さんは、まわりや過去の影響による「結婚しなければならない」というプレッシャーや、「結婚しても幸せになれるか」といった不安に今後また振り回されないように、自分がご機嫌になれる小さな幸せを日常の中で見つけて、それを選ぶトレーニングも重ねてみるといいと思います。

例えば、「カレーが食べたい!」と思ったらカレーを食べて、「コーヒーが飲みたい!」と思ったらコーヒーを飲む、といった些細なことでいいんです。そうやって、その時々で「私はどうしたいか」「今、何にいちばんときめいているのか」を敏感にキャッチし、それに素直に従ってみる。そんな感じで積み重ねていけば、社会の常識やまわりの評価に左右されないで、過去のトラウマだってはねのけて、自分が「コレだ!」と思う道を進めるようにきっとなると思います。こうやって小さな幸せを積み重ねて、自分の気持ちを大切にする習慣をつけることは、仮に結婚という選択をしたあとのことを考えても重要かなと。

結婚はゴールではなくて、そのあともきっと日々選択の連続。結婚したからといって、それだけで幸せが永遠に続くって決まるわけじゃないですよね? ライフステージや家族の形態が変わっても、どんな幸せを築きたいかを常にクリアにして、それに向かってあらゆる選択をしていく必要があるはず。だからこそ、自分を幸せにする選択を瞬時にできるように、今から練習しておく。

YUUKI:繰り返しになるけれど、こうやって自分にとっての幸せを察知するセンサーの感度と、選択の質を高めておけば、結婚する・しないの選択のどっちを選んでも(もっと言えば、たとえ結婚して離婚したとしても)、心の底から納得して自分の人生を歩めるはず。そして、それはきっと結婚以外の選択の場面でもきっと役立つから! 相談者さんが、自分にとっての幸せを見つけられるよう応援しています。

YUUKI 連載 お悩み CHAI

今回のアートのカイセツ。

「あなたのこころは ぜんぶ知っている」

まわりの目、年齢、友達の変化、家族の助言…たくさんのものさしで測れば測るほど、自分のための幸せですら誰かのものになってしまう。それはきっと思いやりなのかもしれない。だったらそのまま、ちょっと自分へも向けてみて。本当の気持ち、本当の夢、本当の幸せを感じてみて。頭じゃなくて、こころは初めからわかってるはず。考えなくても、焦らなくても、比べなくても大丈夫。気づけばいい。あなたのこころは、ぜんぶ知ってるよ。外ではなく、自分の中に咲き誇る花を感じながら、自由に空を飛びはじめる蝶を描きました(YUUKI)。

イラスト・撮影/YUUKI 取材・文/海渡理恵 企画・構成/福井小夜子(yoi)