キャリア、人間関係、結婚・出産etc…20代後半から30代のyoi読者には、コンプレックスの種がいっぱい。そこで、“セルフラブ”を体現し、毎日を自分らしく楽しむ元CHAIのメンバー・YUUKIさんが、yoi読者にモヤモヤへの向き合い方をアドバイスする連載がスタート! 毎回テーマに合わせてYUUKIさん自身が制作したアート作品と共にお届けします。第2回目は「自己実現」に関するコンプレックスについて。
お悩み:仕事で自己実現しなければならないという考えから脱却したい
「大学院から今までずっと『仕事で自己実現しなきゃ!』と思って生きてきました。でも、30歳を目前に、『仕事で輝く理想の自分』にはなれないかもと思わせるでき事に立て続けにあいました。自分の能力の問題や性別による壁、転勤をし続けなければ会社でよいポジションになれないという組織のルールなどの問題を改めて直視しました。そのため『仕事で自己実現しなきゃ!』という考え方から、『人生色々なことを楽しもう』という考え方に自分の頭の中を変えていきたいのですが、なかなかうまくいきません。頭の中のシフトチェンジを上手にできるようになるにはどうすればよいでしょうか?」(29歳、会社員)
自分や他人の価値をラベルで判断しない。私たちは生まれ落ちた瞬間から魅力的!
YUUKI:悩みを打ち明けてくれて、ありがとう! 相談者さんが「仕事で自己実現しなきゃ」という考えをなかなか拭えないのは、他人からの評価を気にしすぎているからかも。もしかして、学歴や肩書き、年収といったラベルで、自分や他人の価値を判断しちゃってない? だから、キャリアを積むことが人生において最重要事項になっていて、ほかの楽しみを見つけづらくなっているんだと思います。
そんな相談者さんに伝えたいのは、ラベルに縛られなくていいよってこと。だって、立派な肩書きがなければ、その人に価値がないなんてことは絶対にないよね? 私たちは生まれた時点で十分に魅力的な存在だから、あとはその魅力に自分自身でちゃんと気づき、どう磨いて、どう表現していくかが大事だと思うんです。
例えば、骨董品って、ある人にはガラクタに見えるけれど、ある人にとってはお宝になったりするでしょ。自分自身も同じで、ひとつの角度から見たら「私にはこれしか魅力がない…」と落ち込んでしまうかもしれないけれど、違う角度からじっくりと観察してみると、意外な魅力が見つかることがあるんだよね。今、相談者さんは「仕事で輝く私」以外に誇れるものが自分にはないかも…という不安や恐怖が根底にあるかもしれないけれど、そんなことは絶対にないから。いろんな角度から自分を見つめてみてください。
自分の魅力に気づく手がかりは、本当に“幸せ”や“楽しい”と感じること、そして得意なことに隠れているはず。前回のお悩み相談(第1回「結婚に関するコンプレックス」)でも話したけれど、心の底からワクワクすることを日々探し、楽しむ練習をすることが大切だと思います。それができれば、まわりからの評価やラベルにとらわれることなく、自分ファーストの人生を送れるようになるはず。仕事で直面する問題にも自分をすり減らすことなく対応できて、結果的に理想とするキャリアを達成することにもつながると思います。
「楽しんでいいのかな?」という罪悪感を自覚する
YUUKI:相談者さんは、これまで勉強を人一倍頑張ってきたし、お仕事も責任感をもって取り組んできたんだと、メッセージを読んで感じました。きっと、勉強や仕事で結果を出すことが、これまでの人生において重要な柱だったんじゃないかな。だからこそ、いざ仕事以外の楽しいことにシフトしようとすると、罪悪感を感じてしまって、うまく楽しめないというのもあるのかなと。そうだとすれば、その罪悪感をまず自覚することが大事!
まずは、「どうして楽しむことに罪悪感を感じるんだろう?」と自分に問いかけてみる。すると、好きなことをやって、「まわりから評価されなかったらどうしよう」「もし失敗したら……」といった不安や恐怖、さらには「これを本当に好きと断言してしまっていいのか」といった迷いなど、何かが行動にブレーキをかけていることに気づくはず。それを自覚するだけで罪悪感が減って、人生を楽しむ心の余裕が生まれると思います。
毎日を楽しんでいる人とおしゃべりして自分の世界を広げる
YUUKI:あとは、好きなことで生きている人に直接会ってみるのもいいと思います。「5人の法則」って聞いたことない? 実はまわりにいる5人が、自分の価値観や行動などに大きな影響を与えているそう。だから、今一緒にいる人の中に、仕事ばかりで好きなことをしている人がいなければ、好きなことをしている人を探してみて。社長になりたかったら、社長に会ってみるといいというのと一緒です! 自分が「いいな」と思う人たちと直接会っておしゃべりしているうちに、「楽しんじゃいけない」というかたくなな心がやわらかくなって、「自分はこれがやりたい」という気持ちが見えてくるはず。そして、これから自分が具体的にどうすればいいかのイメージもわくと思います。相談者さんが、これからをラベルにとらわれずに自分らしく、楽しく過ごせることを応援しているからね!
今回のアートのカイセツ。
「今日をどんな私で生きてゆく?」
ただ楽しく生きたいだけ。なのに難しくなる。でもその「楽しさ」って何なの? それに気づくためには、本当に小さな、当たり前すぎて見過ごしてるような美しさやうれしさを、いちいち感じ取ること。自分の中に小さくわいた感情を大事にしてみる。五感をフルに。幸せのハードルなんて、こうなったら思いっきり下げてみて。今日がだめなら、明日また。きっと明るい日にできるよ。(YUUKI)
イラスト・撮影/YUUKI 取材・文/海渡理恵 企画・構成/福井小夜子(yoi)