【プラネタリウムの楽しみ方＆東京のおすすめスポット】プラネタリウム解説芸人・とらふぐ田畑祐一さんが語る！

──星空を好きになったきっかけを教えてください。

田畑さん　祖父母の家が京都の丹波にあったので、週末は丹波へ行き、星空を見るのが習慣になっていました。京都の山奥に行くと、星空が本当にキレイなんです。子どもの頃から星を見るのが大好きでした。

特に、小学校低学年のときに見た蠍座の大きさに衝撃を受けたんです。田舎だから空が広いので、迫りくるくらいダイナミックで。それ以来、「本や図鑑で調べた星座は本当に見えるのかな？」と夜空を見上げるのが楽しみになりました。

大人になってからも田舎に帰るたびに星を眺めていたんですが、本当の意味で「星空」にどっぷりハマったのは、プラネタリウムで解説員の仕事を始めてからかもしれませんね。

──どうしてプラネタリウム解説員をしてみようと思ったのですか？

田畑さん　もともと33歳から3年間、池袋にある「コニカミノルタプラネタリウム満天」でアルバイトをしていたんです。好きなときに星空を眺められる場所があるだけで、なんだかホッとする気持ちになれるんですよね。プラネタリウムに携われる喜びを実感しました。

そんななか、2020年末に、13年間組んでいたお笑いコンビを解散したんです。急に時間ができたこともあって改めて星について勉強し直そうと思い、プラネタリウムで解説員を本格的に目指すようになりました。

──解説員になるには専門の知識が必要ですよね？　

田畑さん　そうなんですよ。でも、もともと宇宙が好きな少年だったので、勉強というよりは「趣味を極めている」感覚が強いんです。

今働いている「コスモプラネタリウム渋谷」では、解説員それぞれが個性的で面白いんですよ。宇宙論をわかりやすく話してくれる人もいれば、世界を旅してその土地で見た星空や、その国にまつわる話を交えて解説する人もいます。

事務所では宇宙論について語り合うことも多くて、そういうやりとりを重ねるうちに、自然と自分の知識もどんどん深まっていったように感じます。

──田畑さんが解説するうえで大切にしていることを教えてください。

田畑さん　自分が心がけているのは、「ただの説明にならないこと」です。星が私たちの暮らしとどうかかわっているのか、過去や現在、未来のことを伝えると、みんながイメージしやすくなるんですよね。

例えば、「ペテルギウスは寿命があとわずかで、見られるのも限られている」とか、「視力検査に使われていた星がある」とか、「シリウスはナイル川の増水のタイミングを教えてくれる星」なんて話をするんです。そうすると星空を身近に感じてもらえて、そこにロマンを感じてもらえると思っています。

──星空を見ることでリラックス効果はありますか？

田畑さん　めちゃめちゃありますよ！　星空を見ていると、メンタルがある意味最強になる気がします。宇宙のスケールで物事を考えるようになると、人のことなんてどうでもよく思えてくるし、小さい悩みも取るに足らないことに感じるんです。

例えば、土星って自分が生きている中で、たった3回しか太陽のまわりを回らないんですよ。土星はすごくゆっくり動いていて、懸命に回っているんですけど、それに比べると、自分の時間なんて本当に一瞬。人生なんてあっという間なんです。だから、悩んでいる時間ってすごくもったいないと思うんですよね。

──悩んだから星空を見上げるって、ロマンティックなだけじゃないんですね。

田畑さん　そうですね。昼は星が見えないけれど、実は昼も夜もいつもそばにいてくれる心強い味方です。都会でも冬は一等星がたくさん見えるので、けっこう楽しめますよ。特に惑星が出ている時間帯に空を見上げると、さらに賑やかで面白いです。月を見るなら春や秋がおすすめ。月の出が早い時期は、月が大きく見えて迫力があるので、これもまた魅力的です。

もっと星空にひたりたくなったら、やっぱりプラネタリウムがおすすめですね。プラネタリウムのいいところは、好きなときに星空を楽しめること。無理に「しっかり見よう！」としなくても、ぼーっと眺めるだけでも十分癒されます。

疲れたときのリフレッシュとして、仕事終わりにふらっと訪れるのもおすすめです。デジタルデトックスにもなるので、本当にリラックスできます。上映前はイライラしていた人も、上映後に出口で見送りするときにはやわらかい表情になっていることが多くて。自然と心がほぐれるんだなと感じますね。

田畑さん　季節の移ろいに合わせて、違うプログラムを楽しめるプラネタリウムが多いので、　季節ごとに訪れてみるのも面白いと思います。また、アーティストとコラボした特別なプログラムを開催している施設もあるので、そういった企画に合わせて行くのもおすすめです。普段とは違った星空の楽しみ方ができるかもしれません。

田畑さん　好きなシートを探すのも、プラネタリウム鑑賞の楽しみのひとつです。映画館のように各席に段差があるタイプは、視界が広くて見やすいのが特徴です。一方で、段差がないフラットなシートだと、実際に星空を見上げているようなリアル感があって僕は好きです。

さらに、座り心地にこだわったプレミアムシートがある施設もあります。そんなふうに、自分のお気に入りのシートやプラネタリウムを探してみるのも、楽しみ方のひとつだと思いますよ。

田畑さん　一人でふらっと観に来る人も多いんですよ。思い立ったときに気軽に行けるのが、プラネタリウムのいいところですよね。実は、日本のプラネタリウム施設数は世界で3番目に多いんです。各自治体が運営しているところもあるので、調べてみると意外と近くに見つかるかもしれません。

さらに、友達と一緒に行くと、上映が終わったあと、「あの星にはこんなエピソードがあるんだね」とか、映画の感想を話す感覚で盛り上がれるのが楽しいです。ぜひ、皆さんもプラネタリウムの魅力を広めてくれたらうれしいです！

田畑さん　都会にいながら本格的な星空体験を楽しめるプラネタリウムがたくさんあります。そのなかでも、初めての方にぜひ訪れてほしい都内のプラネタリウムを厳選してご紹介します。

池袋サンシャインシティ内の人気のプラネタリウム。2024年11月にリニューアルオープンし、最新のデジタル技術を駆使したプロジェクターに一新。美しい星空と、リラクゼーションを意識したプログラムが魅力で、都会にいながら星空を存分に楽しむことができます。

施設内では、リクライニングシートのほか、寝転びながら星空を眺められる「芝シート」や、ふんわり包み込んでくれるように座れる「雲シート」などのユニークなシートもあり、気分に合わせた癒しの空間を演出しています。

また、星空と音楽、映像が融合したオリジナルプログラムが充実しており、アーティストとのコラボレーション作品なども楽しめます。

田畑さん　コニカミノルタが運営しているプラネタリウムは全国に5つあるんですが、そのなかでもここは、特に星空に包み込まれるような没入感があると思います。全座席に段差がなく座席が水平なので、実際に空を見上げているようなリアルな感覚が味わえて、すごく心地いいんです。

さらに、オリジナルアロマが香る空間でリラックスしながら星空を楽しめるプログラムや、豪華な声優さんによるナレーションなど、星以外の楽しみもたくさんあるんです。だから、プラネタリウムが初めてという人でもきっと満足感を味わってもらえると思いますよ。

コニカミノルタプラネタリウム満天 in Sunshine City
住所：東京都豊島区東池袋3-1-3 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル屋上
営業時間：平日10：00～21：00、土日祝10：00〜22：00
定休日：なし（作品入替期間は休館）
電話番号：03-3989-3546（受付時間：10:00～19:00）
料金：一般シート￥1600～、芝シート（小学生以上2名まで）￥3200〜、雲シート（小学生以上2名まで）￥4200〜
公式サイト

渋谷区文化総合センター大和田内にある、都会で本格的な星空体験が楽しめるプラネタリウム。渋谷の喧騒を離れて、美しい星空と解説員による臨場感あふれる生解説が堪能できる場所として、多くの星空ファンに愛されています。

解説員によるライブ感のある解説は、それぞれの個性豊かな語りが特徴。星座のストーリーや宇宙の秘密をわかりやすく伝えてくれるため、初心者でも楽しめます。また、季節ごとにテーマが変わるプログラムや特別企画も充実しており、何度訪れても新しい発見があるはず。

田畑さん　なんと言っても解説員による生解説が魅力的。それぞれ個性があるからこそ、自分のお気に入りの解説員を見つける楽しみもありますよ。X（旧Twitter）では当日の解説員情報をお知らせしているので、お目当ての方に合わせて行くのもいいですし、「今日は誰かな？」とワクワクしながら訪れるのもおすすめです。

渋谷駅から徒歩約5分というアクセスのよさも抜群。仕事帰りやちょっとした空き時間に、ふらっと立ち寄ってみてください！

コスモプラネタリウム渋谷
住所：東京都渋谷区桜丘町23−21 渋谷区文化総合センター大和田 12階
営業時間：平日12：00～20：00、土日祝10：00〜20：00
定休日：月曜（祝日の場合は開館し、その直後の平日が休館）
電話番号：03-3464-2131
料金：￥600
公式サイト ／ X（旧Twitter）

撮影／木村真奈　構成・取材・文／高浦彩加