乃木坂46を卒業後、認知行動療法やカウンセリング学などを学び、現在、カウンセリングサロン「モニカと私」を主宰する中元日芽香さん。メンタルヘルスを健やかに保ち「自分で自分をご機嫌にするセルフケア」について、中元さんらしい方法とグッズを紹介します。連載第3回のテーマは「ぐっすり」。アイドル時代、睡眠が不安定な時期もあったという中元さん。ストレスと不眠の関係や、よく眠るためのメンタルの整え方について。 寝苦しいときにおすすめの快眠アイテムやコスメのお試しレポートも!


心理カウンセラー&メンタルトレーナー
1996年4月13日生まれ、広島県出身。2011年からアイドルグループ・乃木坂46のメンバーとして活動し、2017年に卒業。早稲田大学で認知行動療法やカウンセリング学などを学び、2018年にカウンセリングサロン「モニカと私」を開設。心理カウンセラーとして活動を始め、今に至る。著書に『ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで』『なんでも聴くよ。中元日芽香のお悩みカウンセリングルーム』(共に文藝春秋)。現在、メディアプラットフォームnoteにて、日々の活動の中で気づいたこと、感じたことを月2回不定期更新中。
自分をご機嫌にする「セルフケア」、第3回のキーワードは「ぐっすり」

メンタルをヘルシーに保つためのセルフケアについて考えるこの連載、第3回のテーマは「ぐっすり」。つまり、心地よい睡眠について。私自身、昔から日々の眠りが安定しているタイプではありません。20歳ぐらいから、今でも時々、眠れたり、眠れなかったりという波があるのでとても興味深いテーマです。夏を迎え、寝苦しい熱帯夜が増えるこの時期、快眠と安眠を手にいれる方法を考えてゆきましょう。
私がいちばん眠りの不調を抱えていたのは20歳前後の頃。何をしても夜眠れない時期がありました。日中はアイドルとしてステージに立ち、ライブをしているので体は疲れているのです。けれど、頭が睡眠モードに入っていかなくて。あるときは午前3時くらいまでずっと平井堅さんのミュージックビデオを見ていた記憶があります(苦笑)。
夜、しっかりと睡眠できていないと、日中に自分の100%のパフォーマンスができないのではないか、という不安が残ります。実際には仕事ができていたとしても、心の余裕が持てなかったり、不安自体がストレスになったり。そういった悪循環が発生します。日中の移動時間に仮眠を取ってはいたものの、家に帰っても眠れるかどうか、常に気に病んでしまっていました。
当時から睡眠を助けてくれるグッズや方法を試してきましたが、心理カウンセリングを学んでいくうち、睡眠とメンタルヘルスの関係を知り、より具体的に実践ができるように。そして今、ようやく自分なりの睡眠との上手なつき合い方ができてきました。私の「快眠セルフケア」をいくつかお教えしますね。
ぐっすり眠るために、今の私が実践しているセルフケアのあれこれ

ぐっすり眠るために、私が普段心がけていることのひとつは「眠りやすい空間づくり」。自宅では寝室と生活空間を仕切って、寝室では眠る以外のことをなるべくしないようにしています。就寝時には真っ暗になり、起きるときには朝日を浴びられるような間取りであることもポイントです。
夏の環境としては、冷房がついた涼しいお部屋で、あたたかいお布団で眠るのが個人的には好き。なのでブランケットは厚手と薄手の2種類を常備して、体温調整ができるように。最近では、着心地のよさで快適な眠りを助けてくれるというリカバリーウェアを着て眠るようにもなりました。
そして、ベッドまわりにはお気に入りのグッズを。五感に働きかけてリラックスできるアイテムもとても大事。自分が何を気持ちよく感じるのか把握すること自体がセルフケアにつながります。例えば私は、触感に関しては「ふかふか」が好きです。
ふかふかと柔らかな枕やブランケット、アイマスクも愛用しています。視覚的には、目を包み込んで暗闇で眠るのが好きなのかもしれません。そして聴覚は、お気に入りのJ-POPをかけたり、リラクゼーション音楽をかけたりと、その時々の感覚で。
嗅覚=香りも大切な要素です。私はナチュラルなアロマを利用していますが、一般的にリラックス効果の高いといわれるラベンダーやカモミールよりも、普段からお気に入りのティーツリーを香らせることが多いです。自分がいちばん心地よく感じる香りが安心感をくれるように思います。
さらに、寝る前はスマホやテレビの画面はオフにしたり、お風呂のときは湯船につかるようにしたり、 日中はなるべく運動をして体を適度に疲れさせてみたり、安眠しやすいといわれる習慣も心がけています。こうして「寝室に行って眠るのが楽しみだな」と思えるようになった現在の私ですが、これだけやっても、やっぱり寝苦しい日があります。そんなお悩みをお持ちの方も少なくないですよね。
眠れないプレッシャーを、焦らずやわらかく受け止めてあげることも大事

ニット¥52800/オープン セサミ クラブ つけ襟¥36300/ドール(フミエタナカ)
「夜になったら寝なきゃいけないのに……、明日仕事があるから寝たいのに……、どうして自分は眠れないんだろう?」とつらくなる、自分を責めてしまう。20歳を振り返ると、そんなことがよくありました。心理カウンセリングを学ぶなかで「寝ようと意気込んでいる状態だと、体がリラックスモードに入っていかない」という事例もよく聞きました。そうして私は、だんだんと眠れない自分に向き合い、眠れない事実をやわらかくとらえるようにして、焦らずにいられるようになってきました。
最近の私は、「寝なきゃいけないと意識しちゃっている。でも眠れない」というときは、いっそベッドから出てしまうようにしています。リビングで好きな飲み物を飲んでみたり、愛犬に触れていたり。「頑張って寝よう!」という状態から一回離れてみる。
そうすると案外気がラクになって、自然に眠れることも。もしも眠れない日が続いて疲れがたまってきたら、リラクゼーションサロンへ。アロマの香りに癒され、マッサージで筋肉の緊張を取ってもらいます。プロの手を借りると、その効果に「やっぱり頼れるなあ」と感心します。
不眠は、自分が気づかずにストレスフルな状態にあるとき、最初のサインとして現れることが多いといわれています。仕事などが充実していて、日中「頑張るぞ!」と覚醒しているので、夜になってもその“戦闘モード”が“リラックスモード”に切り替わらない。自分ではまだまだやれるし頑張らなきゃ、と思っていても、見えないストレスが不眠という形で現れることがあります。
なので、最近眠れていないな、と感じたときは、ちょっと立ち止まって! という心身からの合図。自分のメンタルに注意を向けるいいきっかけをくれるものでもあるので、眠れなくても必要以上に焦らず、自分を責めずに、上手につき合ってみてください。
おすすめの「ぐっすり」セルフケアアイテム
1.SINN PURETÉの、睡眠のための香り

マインドフル フレグランス ノンアルコール ドリームキャッチャー ¥4280/SINN PURETÉ
SINN PURETÉが、ヘッドマッサージ・頭のほぐし専門店の「悟空のきもち」と共同開発した、ライトシプレ調を基調とした睡眠のための香り。深いまどろみと静寂を保つ、夢守りをテーマに、就寝前にシュッと吹きかければ、まるで宙を浮いているかのような夢心地気分を誘います。一日の疲労を癒すように睡眠空間を整え、上質な眠りへ。
「頭のこりをほぐすのって気持ちがいいですよね。私も『悟空のきもち』のヘッドマッサージを受けたことがあります。自分ではできないプロの技でリラックスできました。その知見を生かして、自宅で楽しめるフレグランスが開発されたなんて魅力的。香りもナチュラルで、アルコールフリーというところも気に入りました。『ドリームキャッチャー』という名前にもひかれます」(中元さん)
2.ドクターエアのイヤラボ

イヤラボ SEL-01WH ¥9900/ドクターエア
湯たんぽのようなじんわりとしたぬくもりで、さまざまな神経が集まる耳甲介腔へアプローチする温活グッズ。就寝時には附属のイヤーピースを耳のサイズに合わせてつけ替えることで周囲の音を遮断し、耳栓効果で安眠へと誘います。
「耳を温めるとよく眠れるいうのは初めて聞いたので新鮮。つけていたらほんのりとポカポカしてきました! ポイントで熱を感じるというより、柔らかく耳全体がふわっと温まる不思議な感覚。つけていることをあまり感じず、周囲の音に悩まされずに眠れるのはいいですね。長時間の移動中などにもよさそうです!」(中元さん)
3.枕にもなるぬいぐるみ

Colta 枕にもなるぬいぐるみ (きつね/うさぎ/ねこ) 各¥2200/不二貿易
淡いカラーとタオルのような柔らかな生地のぬいぐるみたちは、お腹部分のマジックテープをはずすと枕に変身。裏側は接触冷感生地を使用することで、さらさらとした肌触りと長時間ムレにくく、快適な眠りをサポート。保温・保冷剤を入れられるポケットつき。
「ふかふか好きとしては、この肌触りは見逃せません。愛着をもって使える枕です。サイズが比較的小さいので、移動中の仮眠にもぴったりだと思いました。トートバッグに入れて持ち運んで、デスクにうつぶせ寝したり、椅子に挟んで使ったり、ぬいぐるみに腕枕されているような安心感があります。保温と保冷ができるのも便利ですね! 」(中元さん)
撮影/森川英里 ヘア&メイク/上野祐実 スタイリスト/高野麻子 画像デザイン/齋藤春香 取材・文/久保田梓美(インタビュー)・木土さや(アイテム) 企画・構成/木村美紀(yoi)