「yoi」ではSDGsの17の目標のうち「3. すべての人に健康と福祉を」、「5. ジェンダー平等を実現しよう」、「10. 人や国の不平等をなくそう」の実現を目指しています。そこで、yoi編集長の高井が、同じくその実現を目指す企業に突撃取材! 第19回となる今回は、ファミリーマートが取り組むエチオピア支援について、商品本部の松田香織さんにお話を伺いました。

ファミリーマート エチオピア 吸水ショーツ-1

「ファミリーマートのエチオピア支援」とは?
「FAMIMA CAFÉ」の「モカブレンド」「アイスモカブレンド」購入1杯につき1円をエチオピアの子どもたちへの教育環境改善に寄付する取り組み。約500万円分の寄付を実現。在エチオピア日本大使館が現地NGOへ支援する「草の根・人間の安全保障無償資金協力」によるベレラ学校支援とも協力し、伊藤忠商事と共同で、同校へ教科書700冊、ノート2500冊、「コンビニエンスウェア」の吸水ショーツ1700個、トイレ4室を寄贈した。

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(左から)高井編集長と松田香織さん。

松田香織

商品本部 FF部 カフェ・スチーマーグループ

松田香織

2005年4月に入社し、2021年6月にカフェ・スチーマーグループへ異動、現在もカウンターコーヒーを担当している。

高井佳子

yoi編集長

高井佳子

入社以来、『ノンノ』『バイラ』『マリソル』『エクラ』と、幅広い年代の女性誌媒体に編集者として携わる。2021年@BAILA編集長に就任、2023年6月より現職。認定フェムテックシニアエキスパート(日本フェムテック協会認定資格1級)。

きっかけは「コーヒーの2050年問題」

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高井 2024年10月に、エチオピアにあるベレラ学校にトイレや教科書などを寄贈し、女子生徒には「コンビニエンスウェア」の吸水ショーツも寄付されたそうですが、このお取り組みはどういう背景からスタートしたのでしょう?

松田 取り組みのきっかけは、「コーヒーの2050年問題」です。世界のコーヒー豆生産量の約6割を占める「アラビカ種」の栽培に適した地域が、気候変動の影響によって2050年までに50%まで減少するといわれています。生産量の減少や品質の低下だけでなく、生産者の生活にも影響が出るとされ、エチオピアも同様にその課題を抱えています。また、持続可能なコーヒー豆の生産を実現するためには、生産者への適切な教育支援が必要ともいわれています。

ファミリーマートでは「FAMIMA CAFÉ」でエチオピア産のモカ豆を使ったコーヒーを提供していることもあり、この現状を解決する一歩としてエチオピアの未来を担う子どもたちのために役立ちたいという思いがありました。そこで、2024年4月初旬から6月初旬にかけて「モカブレンド」「アイスモカブレンド」の購入1杯につき1円の寄付を実施し、約500万円分の寄付を届けることができました。吸水ショーツもその一環です。

高井 寄付についての告知は、店舗のコーヒーマシンに貼られているのを見かけました。寄付の内容はどのように決められたのですか?

松田 寄付を検討するにあたってエチオピアを訪問し、今回の支援先であるベレラ学校にも寄らせていただく機会があったのですが、そこで生徒数に対して教室やトイレが足りないという現状を知りました。さらに女子生徒に話を聞くと、トイレだけでなく現地では生理用品も不足しているため、生理がくると学校を休んでしまう子もいると。そうした現状への支援として吸水ショーツの寄付を決めました。 

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女子生徒たちに寄贈した6層構造の吸水ショーツ「クロッチ肌面 無漂白オーガニックコットン 吸水ショーツ くろ」。

「生理がくると授業に出られない」という課題を解決したい

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高井 生理のことって、人によっては話すこと自体に恥ずかしさを感じる場合もあるかと思いますが、現地の女子生徒の方はいかがでしたか?

松田 そうですね、やはり近くに男子生徒がいると恥ずかしそうに口ごもる人が多かったので、女子生徒に集まってもらい彼女たちが困っていることについてヒアリングをしました。そこで生理によって授業に出られず、勉強が遅れてしまうという課題が見えてきたんです。

高井 彼女たちも生理にまつわる課題を解決したいと思っていたんですね。吸水ショーツは何枚ぐらい寄付をされたのでしょうか。

松田 全校生徒3500人のうち女子生徒は1700人なので、1人1枚ずつ届けられるよう1700個を寄付しました。生理になったら家に帰る生徒も多いようですが、「これなら急な生理でもすぐにはき替えることができるので、安心して授業を受けられます」と言っていただけましたね。 

寄付を実現させるため、上司にも現地視察を提案

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ベレラ学校の生徒たち。

高井 企業や業界によっては「女性の生理にまつわる課題をなかなか理解してもらえない」というお話も耳にしますが、今回のプロジェクトを実現するにあたって、松田さんが意識されたことはありますか?

松田 寄付を形にするために、上司にも実際に現地の状況を視察してもらいました。写真や資料から想像することはできますが、やはり現地の様子や空気感、そして本当に必要な支援かどうかは行ってみないとわからないなと感じたので。支援の必要性を理解してもらうために現地視察を提案しました。

高井 それはすごいですね! 今回寄付された吸水ショーツは、yoiの「第2回フェムテック&フェムケアアワード」の吸水ショーツ大賞でも2位になったアイテムで、身近なコンビニエンスストアに吸水ショーツがあることに心強さを感じます。コンビニエンスウェア」のラインナップに吸収ショーツが加わった経緯もぜひお伺いできますか。

松田 吸水ショーツは2023年に東京の一部店舗で実験販売したところ非常に反響が大きく、2024年から全国発売を開始して定番アイテムとなりました。「コンビニエンスウェア」は、「いい素材、いい技術、いいデザイン。」というコンセプトのもと、環境配慮やジェンダーレスを意識したブランドです。従来の使い捨てではなく、繰り返し使っていただける生理用品を検討する中で生まれました。クロッチ部分は体調の変化を確認できるよう無漂白・無染色のオーガニックコットンを使用しています。

高井 yoiの編集部でも、「クロッチ部分が白色ということで、自分の体調をチェックできるのがうれしい」という声が多かったです。また、春の新作ではブラウェアも販売なさるそうで、楽しみです!(※記事最後の取材後記に詳細)プロジェクトに話を戻しますが、店舗やSNSでの発信に対して、お客さまからはどんな声がありましたか?

松田 お客様相談室やSNSを通じて、「知ったことで、よりコーヒーがおいしく感じる」「こういう寄付活動をやっているなら飲んでみようかな」といった声をいただいています。「FAMIMA CAFÉ」を共同開発してくださっているバリスタの粕谷哲さんからも「企業として『コーヒーの2050年問題』にきちんと取り組む姿勢を見せてくれることは素晴らしい」という言葉をいただきました。

高井 エチオピアへの支援は今後も継続されていくのでしょうか?

松田 はい。コーヒーの生産国への恩返しの意味も込めて継続していく予定です。現地に必要な支援の形を含め、今後の取り組みを検討しているところです。 

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取材を終えて…
朝の出勤前、会社に近いファミリーマートに必ず寄ってコーヒーを購入する私。吸水ショーツも愛用していますが、そのベネフィットがエチオピアの女性に届いていることはもちろん、松田さんたちが「届けた」そのことに、感銘を受けました。

社会全体を考えると、生理の課題はまだまだ理解されない場合もあります。大きな会社の大きなプロジェクトの中で実施するにはきっとご苦労があったはず。熱量と行動力に心を動かされました。

吸水ショーツはもちろんのこと、「コンビニエンスウェア」の春新作もまた女性の気持ちに寄り添うアイテムが豊富です。商品本部の友定裕美さんに別途お話を伺ったところ、今回はブラウェアが登場。着心地のよさとフィット感にこだわり、色鮮やかで1枚でもヘルシーに着られるうえレイヤードも可能な名品です。こちらの記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください!(高井)

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撮影/露木聡子 画像デザイン/齋藤春香 構成・取材・文/国分美由紀 企画/高井佳子(yoi)