私たちの心と体にまつわる悩みや課題を解決してくれる「フェムテック」の基礎知識について、医療ライターで『365日機嫌のいいカラダでいたい。現代を生きる私たちのヘルスケア・アップデートブック』の著者でもある及川夕子さんに教えていただきました。今回は、フェムテックの具体的な分類について。
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Q2.フェムテックって具体的には何? 月経カップや吸水ショーツ以外にもあるの?
医療ライター
ライター/エディター。メノポーズカウンセラー。医療、健康、女性の社会課題をテーマに、雑誌、WEB、書籍などで幅広く活躍。著書に『365日機嫌のいいカラダでいたい。現代を生きる私たちのヘルスケア・アップデートブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『はたらく細胞LADY 10代女性が知っておきたい「性」の新知識』(講談社)など。
A2.ライフステージごとに、さまざまなサービスや製品があります
私たちの悩みを解決してくれるフェムテックにはどんなものがあるのか、女性のライフステージごとに整理してみました。
●生理・避妊
吸水サニタリーショーツ、月経カップ、生理管理アプリ、低用量ピルのオンライン処方など
●不妊・妊活
妊娠可能日を予測するデバイス、妊孕性検査キット、精子運動力チェック(メンテック)、不妊治療関連サービスなど
●妊娠・産後ケア・授乳・育児
胎児モニター(遠隔医療)、妊婦体調管理アプリ、陣痛トラッカー、搾乳デバイス、授乳サポート、骨盤底筋トレーニング、オンライン医療相談サービス、キャリア継続サポート、育児支援アプリ、家族間コミュニケーションアプリ、赤ちゃん見守りサービス(ベビーテック)など
●更年期
更年期症状の改善(ホットフラッシュ対策)、骨盤底筋トレーニング、オンライン相談サービス、女性ホルモン簡易検査など
●セクシャルウェルネス
セルフプレジャーアイテム、性交痛軽減グッズ、デリケートゾーンのケアなど
●婦人科系疾患
痛みのない検査機器、自己採取HPV検査キット、乳がん術後のケアなど
ある調査によると、日本女性の二人に一人は、アプリなど何らかのテクノロジーを使ったフェムテックのサービスを利用していることがわかりました(※)。スマートフォンのように、意識しなくてもフェムテックが日常にある。そんな世界が訪れるのも、まもなくかもしれません。
※SOMPOひまわり生命「日本のFemtech(フェムテック)市場の可能性に関する調査」第3回(2022年)
AIで一人一人に効果的な解決策を導き出す技術が可能に
女性特有の健康課題や女性が抱える悩みを知ってもらおうと、フェムテック企業が学びの場を提供する動きも盛んです。女性の健康情報サービス「ルナルナ」は2020年11月より、年齢や性別を問わず誰もが女性のカラダやココロについて正しく知り、理解し合うことを目的とした学びの場を創出するプロジェクト「FEMCATION(フェムケーション)」をスタートさせています。
フェムテックの盛り上がりは、百貨店の売場にも変化をもたらしました。伊勢丹新宿店は、本館地下2階のビューティアポセカリーにおいて、2013年からデリケートゾーンケアアイテムの取り扱いをスタート。2018年以降、月経カップをはじめとしたサニタリー製品の拡充をはじめ、骨盤庭筋トレーニングアイテムやセクシャルウェルネスグッズなど、販売アイテムを広げてきました。
女性の悩みをデータ化し、対話型AI(AIチャットボット)を使って一人一人に効果的なヘルスケアの解決策を導き出すといった技術も可能になっています。例えば、24時間365日いつでもピルや生理について相談できるアプリ、不妊治療に成功した人のデータベースから自分と似ている人の治療データを検索できる不妊治療AI検索サービス、更年期症状のつらさをパートナーにどう伝えたらいいかをAIが判断して、メッセージを考えてくれるアプリなども登場しています。
流行だから使うというわけではありませんが、テクノロジーが進化して、私たち一人一人の悩みに寄り添う製品やサービスが生まれてきているのはうれしいことですよね。もともと女性は自分で自分をケアすることがとても得意です。あなたが今抱えている課題を解決してくれるものは、ぜひ積極的に取り入れてほしいと思います。
取材・文・構成/国分美由紀
出典/『365日機嫌のいいカラダでいたい。現代を生きる私たちのヘルスケア・アップデートブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)