「みんな正直、どうしてる?」「世間的な平均値って?」など、普段、話題にしづらく把握しにくい自分自身の体・心・性のこと。この連載では、10代から70代まで1万人を超える女性への大規模アンケート※1から、今を生きる私たちのリアルな声に迫ります。第4回目は、生理と働き方の関係について。みんなが抱える働きにくさや生理休暇の実態についてレポートします!



※1 『Seventeen』『non-no』『MORE』『BAILA』『MAQUIA』『SPUR』『LEE』『Marisol』『eclat』『MyAge/OurAge』の10媒体において、2021年2月にインターネットによるアンケートを実施。

頑張りたいのに頑張れない! 生理トラブルによる働きにくさ

体がだるくなったり月経痛があったり、イライラしたり...。程度の差こそあれ、ほぼすべての人が何かしらの生理トラブルを抱えている現実。(参照:95%の女性に生理のトラブルあり! 体・心・性の1万人アンケート「yoi VOICE ー生理のトラブル編ー」

そのトラブルは、もちろん働き方にも不都合をもたらしているようで...。

生理がなければ、私たちはもっと働きやすい? 体・心・性の1万人アンケート「yoi VOICE ー生理と働き方編ー」
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痛みや眠気、注意力の低下、イライラ、不安感、経血漏れの心配などなど。さまざまな生理のトラブルが、仕事を進めるうえで支障をきたしていることがわかりました


「腹痛、腰痛、吐き気がひどいときはまったく動けず、死にもの狂いで出勤…
「腹痛や腰痛があっても仕事や家事を休めず、鎮痛剤とカイロでだましだましやり過ごしている」
「眠気がひどく、パソコンを打ちながら気を失いそうになる」
「頭がまったくまわらなくなって、文字が読めなくなったり頭に入ってこない。痛みと違って薬で対処できないのでどうすればいいかわからない」
「生理前から気分に波があったり気持ちが不安定になったり、イライラして自己嫌悪に。生理がなければもっと仕事や趣味に打ち込めるのではないかと思う」
「生理中は自分の言動に自信がなくなり、ビクビクしてしまう」
「経血量が多くて何度もトイレに立つので仕事の邪魔になる」
「職場の男性に説明しても理解されず、サボっていると責められるのがつらい」
「仕事中は気を張っているが、帰宅後に疲労感と強いだるさ、憂鬱な気持ちにおそわれる」
など、生理のトラブルによって働きにくさを感じている声が多く寄せられました。

さらに、仕事のプレッシャーやストレスから生理トラブルが悪化するといったことも。ストレスによって生理不順になったり、PMSが重くなったり…。生理と仕事の不都合な関係は負のスパイラルに陥りやすいようです。

生理中は体や心の変化に合わせた働き方を選択している人も

生理中やその前後の体と心は、通常運転とはいかないもの。だからこそ、できる範囲で体や気持ちの変化に合わせた働き方を意識している人も多くいました。

生理がなければ、私たちはもっと働きやすい? 体・心・性の1万人アンケート「yoi VOICE ー生理と働き方編ー」
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「仕事を休んでしまうほど生理痛がひどく、まわりに迷惑をかけてしまうことが精神的にストレスでしたが、勇気を出して職場に伝えたら生理休暇をとりやすくなった」という人や、「イライラしたり落ち込んだりミスしたり…で戸惑っていましたが、同僚に伝えることですごくラクになりました」など。自分だけで抱え込まず、相談することでまわりからの理解が得られたり信頼関係が生まれることもあるようです

「生理前は気持ちのふれ幅が大きいので、仕事やプライベートで大事な決断をしなければいけないと時は、一度時間をおいてゆっくり考えるようにしている」、「集中力に欠けるので、仕事でミスをしないようにいつも以上に時間をかけて取り組むようにしている」など。生理中にトラブルで自分を責めるのではなく、受け入れて対処する方向に考えをシフトしている人も

さらに「アプリでだいたいの生理周期を把握。症状が重くなりそうな時期の前に仕事をなるべく進めておいたり、延期できそうなものは無理にやらない」など、生理に振り回されず、逆にスケジュールに組み込んで管理している人もいました



自分の選択次第でできることや、今すぐ取り入れられそうな工夫もあるかもしれません。一方で、自身のコントロール外にある「生理休暇」という制度。その実態はいかに?

生理の実態に即していない? 「生理休暇」って取りにくい!

生理がなければ、私たちはもっと働きやすい? 体・心・性の1万人アンケート「yoi VOICE ー生理と働き方編ー」
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生理休暇とは、生理日の体調不良により、就業が著しく困難な女性が休暇を取得した場合に与えられる休暇のこと。その存在は幻?と思いきや、労働基準法第68条で定められている、れっきとした制度です。それでも、実際に取得したことがある人は1割にも満たず、社会的に浸透しているとは言えないよう。存在感の薄さは、生理休暇を取得したことがない理由の2番目に「制度がない」(認知していない場合も含めて)が挙げられていることからもわかります。「とっていいのかわからない」「とっている人を見たことがない」「どの程度の症状なら利用するものかわからない」など、制度自体があってないような存在なのが現状です。

生理休暇が制度として謳われている企業であっても「まわりの目が気になったり、業務量が減るわけではなく後日ハードワークになったりするから、とる気になれない」「1カ月前から申請しなくてはならず、生理日がズレると意味がない」など、実用性がいまひとつな事例も…。

「上司が男性なので申請しにくい」、「女性の上司であっても生理痛のツラさがわかってもらえず、言い出せない」など、生理トラブルは他人からの見た目ではわからない分、理解を求めにくいことも弊害になっているよう。そもそも「同僚に迷惑をかけてしまうのが心配」「有給で事足りる」「生理は病気ではないと10代の頃から言われてきたので…」など、本人でさえ“自分の生理ごときで”と思ってしまい、まわりへの気遣いが先に立ってしまう風潮があるようです。

さらに、生理休暇は生理日の体調不良を対象としているため、生理前に症状が現れるPMSに関しては別途、会社側と相談しなければならなかったり、有給・無給の扱いは各企業の判断に任されていたりと、制度自体のわかりにくさや曖昧さもネックになっています。より実態に即した整備の必要性が見えてきたことろで、注目なのが「もっとこうなればいいのに!」という声。

もっと柔軟で寛容な社会になるために、ひとりひとりができることって?

生理がなければ、私たちはもっと働きやすい? 体・心・性の1万人アンケート「yoi VOICE ー生理と働き方編ー」
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フリー回答では、「生理がある・なしに限らず、トラブルが軽い人と重い人では生理休暇に対しての認識が異なると思うので、まずは理解深めることが大事だと思う」、「生理休暇を名ばかりではなく、取得しやすい雰囲気をつくりたい」、「もう少し生理による苦痛をオープンに訴えられる社会になったら、気持ち的にラクに働けるのでは?」など、理解を深めて社会の雰囲気を変える必要性を訴える声が多々。

「生理休暇をとっても同僚に負担をかけないような仕組みがあればいい」といった、制度と職場環境の見直しも挙げられました。「産婦人科の診断次第で生理休暇付与日数が変わるなど、取得のための客観的な証明があれば、休みをとる側もとられる側も気持ちがラクに!」という声も。「“生理”という言葉が前面に出ていて使いにくい」、「妊娠中は気を遣ってもらえても、生理はまったく理解されない」、「生理前後のトラブル全体についても対応できれば」などの理由から、“生理休暇”ではなく「medical leave」「ライフサポート休暇」などネーミングを広義なものにチェンジすることで、生理だけでなく、そのほかの体調不良にも使えたり、男女問わずウェルネスのための休みが取れるようにするなどの案が多く出されました。



また、「フリーランスの人や専業主婦にも生理休暇のような休む権利はあると思う。社会保障として申請できるようにするか、保険料減額などのサポートがあってもいいのでは?」という意見も寄せられました。ちなみにコロナ禍で広がったリモートワークは、トイレに行きやすかったり、人の目を気にする必要がなかったり、休憩中に横になれたり…と、生理トラブルに悩まされる人にはメリットでもあるようです。


このように、生理と働き方についての実態に迫ってみると、私たちひとりひとりがより柔軟に考えて声を挙げていくことが、誰にとってもより働きやすく、生きやすい社会を実現していく第一歩であることがわかります。自分からの発信はハードルが高ければ、誰かと話をしてみる、記事をSNSでシェアするなんてことも、個人が社会の雰囲気づくりに貢献できるひとつの行動かもしれません。



立場も状況も人それぞれ異なるからこそ、まずは伝えるアクションを起こすことが大事。それは生理とパートナーとの関係性においても同じことかもしれません。ということで、次回は生理とパートナーや家族との付き合い方について調査します。

イラスト/pum 構成・文/浪花真理子 企画/高戸映里奈(yoi)