「みんな正直、どうしてる?」「世間的な平均値って?」など、普段、話題にしづらく把握しにくい自分自身の体・心・性のこと。この連載では、10代から70代まで1万人を超える女性への大規模アンケート※1から、今を生きる私たちのリアルな声に迫ります。第5回は、生理とパートナー・家族との関係について。家庭やパートナーとの間で生じる、生理にまつわるトラブルやコミュニケーションの問題、みんなはどう対処しているんでしょう?
※1 『Seventeen』『non-no』『MORE』『BAILA』『MAQUIA』『SPUR』『LEE』『Marisol』『eclat』『MyAge/OurAge』の10媒体において、2021年2月にインターネットによるアンケートを実施。
信頼しているからこそ、後ろ向きな感情がふと湧いて出る…!?
前回のレポート(生理がなければ、私たちはもっと働きやすい? 体・心・性の1万人アンケート「yoi VOICE −生理と働き方編−」)では、生理期間中、もしくは生理前に起こる身体的・精神的な変化によって、仕事にも影響や不都合を生じやすいことがわかりました。では、プライベートの場合はどうでしょう?
パートナーや家族にイライラしてしまったり、些細なことで腹が立ったり、心理的な不安に襲われたり…。女性ホルモンの変化からくる心理的症状は、特に“生理前”に現れやすいよう。そういった後ろ向きな感情は、職場などオフィシャルな場面よりも、気の許せるプライベートな場面でより多く発生していることが、アンケートの回答から見えてきます。
「幼い子どもたちに取り返しのつかない当たり方をしているのではないかと不安」や「夫に八つ当たり。困り顔を見て自己嫌悪に」といった、精神的に不安定な自分に落ち込み、それ自体がストレスになってさらに後ろ向きに…と負のスパイラルへ陥ってしまうことも。
このような精神的トラブルに加えて、生理中や排卵日前後は、痛みや重だるさで家事や育児が思いどおりにこなせなくなることも、自己嫌悪やストレスにつながってしまっているようです。
また、「子どもとお風呂に入るときに、バレないように気を遣う」や「生理時の独特のにおいで、子どもから『ママのあとのトイレはなんか臭い』と言われる」など、家族の中でも特に子どもの目線が気になるという声も。
こういった日常生活や家族間での生理に対する理解を深めるために、みんなはどのようににコミュニケーションをとっているのでしょう?
7割以上がパートナーと生理のタイミングや症状をシェア
※『MORE』でのアンケート結果
パートナーがいる人のうち、7〜8割の人が自身の生理のタイミングや症状を共有していることが判明。その方法も、「直接伝える」という人が大半でした。生理の話題をタブー視することなく、多くの女性が、パートナーと自然に話すことのできる関係を築けていることがうかがえます。
また、カレンダーやアプリを使って共有する人もちらほら。伝え漏れが回避できたり、直接伝えることが苦手な人でも取り入れやすかったり、相手の都合のよいタイミングで確認できたり…といったメリットがありそうです。
生理特有の痛みや気分の波、つらさは理解されづらい!
とはいえ、他人の痛みや悩みは想像がつきにくいもの。生理の経験がない人ならなおさらですし、生理がある人同士でも、その症状や程度は異なります。さらに「だるさや痛みが不定期なので、夫に生理のつらさが伝わりづらい」というように、月によって症状が異なることも理解のハードルを上げているようです。
その結果、タイミングや症状をシェアしてはいても、「夫は生理の不調やPMSは、寝るか根性で治ると本気で思っている」「イライラは私の性格だと家族から思われている」「生理のつらさを夫が理解してくれないのが最大のストレス」など、認識や気持ちにズレが生じてしまうことも。
また、たとえまわりが理解やサポートをしてくれても、生理による精神的トラブルがなくなるわけではないのが難しいところ。「私のイライラに夫は理解を示してくれるけれど、それでも申し訳なくなる」、あるいは「仕方ないよって言ってくれるけれど、生理前は気持ちが不安定すぎて、ちょっとしたことで泣いてしまう」などの声が挙がりました。
そこで、生理期間中、パートナーに求めることを調査した結果がこちら。
まずはいたわりの気持ち、症状によっては具体的な行動を求める声も
※『MORE』でのアンケート結果
まずは「いたわってほしい」といった気遣いの気持ちでのサポートを欲している声が約4割。生理のつらい症状や心理的な状態に寄り添ったうえで、「家事をしてほしい」や「生理用アイテムを買ってきてほしい」などの具体的なアクションを求める意見がありました。一方で、「そっとしておいてほしい」という意見もあり、生理の症状には個人差があるように、パートナーに求めることも人それぞれということがわかります。
それでは、生理に振り回されずにまわりと良好な関係性を築くには、どのようなコミュニケーションが必要なのでしょうか?
①生理への理解を促し、②要望を具体的に伝える。2段階のアプローチが有効!?
「夫や子どもに生理についてきちんと説明したら、家事に協力してくれるように」や「パートナーに少しでもわかってもらえるように伝えた」など、まずは生理そのものの知識を持ってもらう努力が、実際に効果的だったという回答が複数みられました。そのためには、生理の仕組みや症状について客観的な情報を伝えたうえで、自分の固有の症状について把握してもらうのがよさそうです。また、一度で解決しようとせず、根気よく続けて少しずつ理解を深めてもらうことが、いい関係づくりの礎に。
相手に求めるアクションを具体的に提示している人も。「夫に肩揉みをしてもらう」「出かけるのをやめて、おうちデートに切り替えてもらう」などの伝え方は、パートナーとしては対応がしやすく、お互いストレスが減りそうです。「生理前は必ずイライラするので、夫には事前にお知らせしてそっとしておいてもらう」と、上手に予防線を張る賢者もいました。
パートナー間・家族間のコミュニケーションに加えて、自分自身への思いやりも欠かせません。「イライラしたらすぐに生理開始日を調べて、生理のせいだからと相手も自分も責めないようにしている」「家族に頼れるときは一日中寝込んでいる」「無理はしない。家事は最低限に」など、精神的にも体力的にも自身を思いやる意識を心がけることが、生理期間中の過ごしやすさへとつながりそうです。
生理についてのアンケート調査は今回が最終回。1万人のアンケートを通して、多くの女性が生理トラブルに悩み、働きづらさや対人関係に悩んでいる実態がわかるのと同時に、心地よく生理期間を過ごすためのさまざまなアイデアも共有することができました。ぜひ以下のギャラリーから過去の回もチェックしてみてください!
イラスト/pum 構成・文/浪花真理子 企画・編集/高戸映里奈(yoi)