yoi読者から寄せられた生理にまつわる疑問や悩みに、専門医がアドバイス! 今回は、経血量の変化と、生理=デトックス説について伺いました。
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Q.20代後半から経血量が減ってきたけど大丈夫?
「20代半ばまでは経血量が多くて、夜用のナプキンが2時間ぐらいしかもたないほど。しかも、レバーみたいな塊が混ざって出てくる状態が1週間以上も続いていました。ところが、20代後半からは逆に経血量が減ってきて、少ないときは4日で経血がほとんど出なくなります。20代後半から経血の量が急に減るってよくあることなのでしょうか? それから、生理前は食欲がすごくて1日5食ぐらい食べてしまうのですが、経血量が多かった頃のほうが経血と一緒にデトックスできて、体調もよかった気がします」
産婦人科医/心療内科医
日本産科婦人科学会専門医。心身医療専門医。日本女性医学学会ヘルスケア専門医。日本女性心身医学会認定医師。女性の心身の不調の背景には社会的・環境的要因が影響していると感じ、産婦人科研修後、心療内科でも研修。女性が自分自身で心と体の対話を大切にできるようサポートしていく女性医療を心がけている。2020年にAddots GINZAを設立し、女性のためのオンライン相談室「女性の心と体の相談室」をスタート。
A.年齢による正常な反応です
年齢が上がるとともに経血量が多少減ってくることは、生物学的に正常な反応です。初潮が始まってから5年程度は女性ホルモンの分泌が安定しないため、過多月経や月経困難が起こりやすい時期といわれています。年齢が上がると女性ホルモンの分泌が安定するとともに子宮も成熟してくることによって、月経に伴うトラブルは落ち着いてきます。
ただし、ナプキンを替える必要がないほど経血量が極端に少ない場合は「過少月経」、2日以内で終わるほど短い場合は「過短(かたん)月経」といって、ストレスなどによって女性ホルモンの分泌が乱れている可能性があります。生理のような出血はあっても排卵が起こっていない「無排卵月経」になっていることもあるので、極端に減った場合は気軽に婦人科で相談してほしいと思います。
●過少月経:経血量が異常に少なく、ナプキンがほとんど必要ない
●過短月経:月経期間が2日以内で終わる
月経=デトックスというのは勘違い!
この方と同じように、月経によって「経血が排出される=デトックス」のように考えている方がいらっしゃるようですが、それは危険な誤解です。月経にデトックスの意味はありません。
月経は妊娠するために必要なものですが、子宮や卵巣は働き続けることによって負担がかかっています。現代の医療では、「低用量ピルなどできちんとコントロールしているのであれば、月経はこなくても問題ない」というのが通説になってきています。むしろ過多月経などで貧血が進むことになるので、多すぎる経血は不調につながる危険性が高くなります。
月経前に食欲が増進するのは、女性ホルモンのひとつであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響の可能性が高いと考えられます。この時期は水分や糖質を溜め込みやすくなるため、むくみが起こりやすくなったり、無性に甘いものが食べたくなったりします。
そして、それは月経が起こることでデトックスされるわけではなく、月経が起こるタイミングで血液中のプロゲステロンの値が低下することで解消される反応です。食欲が安定する時期が月経開始から数日であれば、月経前症候群(PMS)の可能性もありますので、月経症状を記録して自分の体調を確認し、婦人科受診もご検討いただくといいでしょう。
構成・取材・文/国分美由紀