世界の生理事情をのぞいてみると、より広い視野で自分の体と向き合えるのでは……? そう考えたyoiは、世界5都市に暮らす女性たちに、“半径10mの生理事情”をリサーチ。今回は、フランス在住のアーティスト、MIZUKIさんが登場。
※今回の記事はMIZUKIさんへの取材をまとめたもので、フランスのすべての生理事情を代表するものではありません。
“性”に関してオープンなフランス。生理による不調はハーブティーとアロマオイルで対応
Q.フランスでは、「生理」はどのように捉えられていますか? MIZUKIさんの半径10mを見渡したときに感じたことを教えてください。
フランスは、“性”に関してオープンな印象があります。私が一時期通っていた語学学校の先生、友人、フランス人のパートナーなど、性別関係なく、生理やセックスについて当たり前のこととして話すことができます。生理=“隠すべき”、“恥ずかしい”という雰囲気がまだ残る日本との違いを感じましたね。
また、大手生理用品ブランド「Always」が、2024年パリオリンピック・パラリンピック競技大会のスポンサーで、スポーツ界における生理の不安やタブーに取り組んでいて素敵だなと思いました。広告に書かれていた「Les régles ne devraient jamais nous mettre hors jeu/ルール(生理)が私たちのプレーを妨げるようなことがあってはならない」(※régleは、ルール/生理、と両方の意味を持つ単語)というコピーを読んだとき、社会の生理に対する認識は、日本の半歩先を行っているように感じました。
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Q.フランスでは、どんな生理用品が人気ですか?
フランスも、日本と同様にナプキンが最も使われています。人気のブランドは、『P&G』が展開する「Always」。私も使用しています。正直、品質は日本のナプキンのほうが高いですね。
フランスはデリケートゾーンケアに対する意識が高いようで、スーパーやドラッグストアで気軽に専用のソープを買うことができます。しかも、バリエーションが豊富! 私も先日、フランスのインティメートヘルスに特化したブランド「SAFORELLE」のソープをゲットしました。
Q.普段、どのように生理と向き合っていますか?
生理痛がかなり重いので、日本にいたときから低用量ピルを飲んでいます。こちらでも、婦人科で診察を受けて低用量ピルを処方してもらいました。診察料は、セキュリテソシアル(フランスの国民保険)が7割、任意で加入できるミュチュエルという保険が残りの3割を保障してくれたので無料。ジェネリックのピルを1年分(80ユーロ/1箱3カ月分20ユーロ)処方してもらいました。ちなみに、26歳以下は診察料も薬代も無料なんですよ!
MIZUKIさんが、フランスで処方してもらった低用量ピル。「フランスは日本のように予約なしで医療機関を受診することができず、予約が必須。しかも、1〜3カ月先になることが普通です。それも要因なのか、日本では最大3ヶ月分(自費診療なら最大6カ月の場合も)しか処方してもらえないピルを1年分処方してくれて驚きました」
日本では不調を感じたら薬局などで薬を手に入れたり、病院に行ったりしますよね。気軽に薬を手に入れられる環境だったと思います。しかし、セルフケア文化が根づくフランスで不調を感じたら、薬ではなくハーブティーや精油といった植物由来のプロダクトに頼るんです。そのため街には、ハーブ薬局(エルボリストリ)が点在していて、そこに行けば植物療法士が、体調に合わせてハーブを調合してくれます。普通の薬局でもハーブティーや精油コーナーが設けられていて、私の友人のお子さんも不調を感じたらハーブティーを飲んでいるそうです。
MIZUKIさんの友人のお子さんが、PMSを和らげるために飲んでいる「Herba Aeterna」のハーブティーと「VIT 'ALL +」のサプリメント。
まだまだあります! 生理にまつわるエトセトラ
ヨーロッパで2カ国目! フランスも生理休暇制度を導入
日本には生理休暇制度がありますが、最近フランスにも導入されたそう。でも、休暇を取るためには、診断書を提出が必須とのこと。その点は、日本と違ってシビアだと感じました。
フランスの小学校では、男女別で性教育を受ける
パリ郊外の公立学校に通う小中学生の子どもを持つ日本人の友人に聞いたところによると、CM2(日本でいう小学5年生)の終わりに特別授業として性教育が行われるそう。この授業は男女別で行われ、女子は生理やおりものについて学び、男子は男子の身体や女子の生理について教わるそうです。
構成・取材・文/海渡理恵