(右上から時計回りに)ユナ 、ユウキ、マナ、カナ
双子のマナとカナ、ユウキ、ユナの4人から成る、NEO - ニュー・エキサイト・オンナバンド、CHAIの連載『CHAISM』は二年目に突入! 1周年スペシャルと題した前回、インタビューは4人それぞれが振り返る“原点”の話へ。これまで音楽を通して世界に愛とパワーをエネルギッシュに発信してきたCHAIが口をそろえて言うのは、「私が経験してきたこと、今していることを皆にシェアすることで、誰かの人生の一部になりたい」という想いでした。
そこで、メッセージを発信しつづけることで道を切り拓いてきた彼女たちに、今回yoiは「シェア」をテーマにインタビューを行いました。形あるものないものを問わず、“シェア”して世界とつながることが加速している今。相手と経験や時間や空間を共有し、より新しい「私とあなた」の関係が生まれることの魅力や力について、それぞれの考えを教えてくれました。
自分をさらけ出して想いを共有することが、次へのステップにつながる(カナ)
——カナさんは、連載の初回からたびたび、ご自身の体と心の話をyoiにシェアしてくれていますよね。特にずっと続けているヨガについて、“体の仕組みを学べたことで、自分の悩みも少しずつ解消されていった”というお話には、yoi読者からの反響も大きかったです。
“つながる”という意味を持つヨガを学んでいく過程で、まさに「シェア」することの大切さを学んだ経験がありました。ある授業で、「自身のこれまでの経験」や「自分を構成するもの」「心の中に秘めた想い」についてクラスメイトとオープンに語り合う時間があったんです。そのとき、普段あまり自分のことについてオープンに語らない人が、少しずつ本当の自分をさらけ出していく過程を見て、ありのままでいることの素晴らしさに気づきました。
ヨガを本格的に学ぶ前は、もともと自己表現に積極的なミュージシャン仲間に囲まれていたから気づかなかったけれど、自分のことをオープンにさらけ出すきっかけをつくったり、人の背中を押せることって大切なことなんだ! という発見もありました。もし自分のありのままを見せることが苦手な人がいたら、私にとってのヨガのように、自分の体や心を解放できる環境を探して身を投じてみるのもいいんじゃないかと思います。
——まわりにどう思われるかを気にしはじめると、どんどん“本当の自分”をさらけ出せなくなったり、見失いそうになる気がします。
そうなんです。かつては私も“言葉“や“コミュニケーション”が大の苦手だったからこそ、その難しさもわかる。でも、自分の“体と心のつながり”に興味を持ちはじめたら“自分とまわりとのつながり”にも無関係ではいられないことに気づいたんです。そして、あらゆるつながりによって自分自身が変わっていけることも楽しくなりました。
——内側に秘めていたものをまわりにシェアすることは、どんな効果があるのでしょうか。
まず、自分の想いや考えを吐き出すことは、自分を知ることにつながると思います。まわりに自分の考えを伝えつづけることで、それがいつの間にか自分の使命になったり、実際に願いが実現したりもする。それこそ、私たちがまだ地元の名古屋で活動していたときに、「お前ら絶対に売れないよ」って言われたことがあって。でも、4人で「絶対に売れる!」って言いつづけて踏ん張ってきたからこそ、今があります。
ミュージシャンって、音楽を通して自分を表現しているようでいて、青春時代のリアルな苦しさやコンプレックスをさらけ出している人たちは、当時あまりいなかった。だからこそ、私たちにしか歌えない歌があるって思えたのも、音楽で「シェア」することの意味を感じていたひとつだと思います。
——CHAIというバンド内でのシェアはどう意識していますか? 目標や意思統一はどのようにしているのでしょうか?
ライブの場合、オーディエンスへの届け方はメンバーそれぞれだと思うから、「ここをこうしよう!」って細かく話し合うことはしないかな。前に出るフロントマンであるマナ&カナと、リズム隊のユウキ&ユナでは感覚が違うというのもあるし。でも、「絶対にお客さんの心をつかむぞ!」という想いだけは4人共通だと思います。
ちなみに、その「お客さんをつかむ」という想いを確認し合うために、ライブ前は毎回、円陣を組む! そのときはマナが掛け声をかけてくれるんだけど、最近は「ビル・ゲイツ!」って掛け声が定番(笑)。サッカー選手の「スアレス!」(ルイス・アルベルト・スアレス選手)って掛け声のときもあったし、ホントにマナの発想って面白いよね!
自分の体・心・性についてオープンにシェアできる仲間を増やしたい(マナ)
——ライブ前の円陣の掛け声として、「ビル・ゲイツ!」や「スアレス!」など、著名人の名前を叫ぶそうですね。
そう、面白いでしょ?(笑)。なぜ「ビル・ゲイツ!」なのかというと…最近、彼のドキュメンタリー番組を観て、そのずば抜けた才能と、ものすごい努力をしている姿に衝撃を受けたから。計画の立て方や、理性的だけど世界一感情的でもあるところ…天才とはこういう人のことをいうんだなと思いました。ルイス・アルベルト・スアレス選手は、相手に噛みついてまで勝利を取ろうとするアツい姿勢に影響を受けて、一時期採用していました。次は、ファーブル昆虫記の「ファーブル!」にしようかな…(笑)。とにかく、その人のマインドにあやかりたいという、モチベーションが上がる言葉を掛け声にしています。
——そういう意味があったんですね。マナさんは性への興味・関心についてもyoiでたくさんシェアしてくれています。森田敦子さんの書籍『潤うからだ』をおすすめしたり、吸水ショーツを試したりと、積極的に体・心・性にまつわる情報を収集されていますよね。
最近気になっているのは、セルフプレジャーアイテム! 日本社会では性にまつわる話は隠されがちだけど、幸いにも私には性についてオープンに話せる友達がいて。その友人と大好きな火鍋を食べながら、セルフプレジャーアイテムの情報をいろいろとシェアしてもらったのがめっちゃ面白かったの。そうしたグッズを使うことにためらいがある人も多いと思うけれど、人によっては快感を得るためだけでなくリラックス効果や快眠効果が期待できる場合があったり、快感を感じるポイントは人それぞれで、今はいろんな形状や目的のグッズが発売されているってことを教えてもらってすごく勉強になったな。
——クローズドな部分をシェアできる仲間って、貴重ですよね。
「興味を持ってもいいんだ!」という安心感が得られるよね。私は恋愛の話も大好きだから、ほかの人の体験ってすごく興味があるんだよね。人と話すことで、「私の場合はこう」っていう自分の個性も知ることができると思う。
性の健康って体や心の健康と同じく大事なことだし、こういった性の話をヘルスケアの話題として、より気軽にシェアできるような空気が社会にできてくるといいなと思います。
「好き」の気持ちに序列はない! 愛をシェアして広がる輪(ユナ)
——ユナさんといえば、ポッドキャスト番組『ゆなのみたい!しりたい!ききたい!』で、自分の好きなものやことをリスナーにシェアしていますよね。
シェアすることが楽しいから! でも実は、今みたいに好きなことを、胸を張って「好き」と言えない時期があったんだよね。例えば、あるアーティストのファンになったとしても、「コアなファンに比べて、私はそのアーティストについて詳しくないから、好きだという資格はない…」と考えてしまっていたタイプでした。
そういった思考から抜け出せたのは、ユウキに「どの好きも同じ好きだよ」と言われたから。それからは、後ろめたさを感じることなく、自分の「好き」を発信できていると思う! しかも、自分が興味・関心を持っていることを堂々と発信するようになったら、同じように関心を持つ人に出会えたり、そのことについての情報が自然と自分の元に集まってきたりして、世界がどんどん広がっていくのを感じてる。もし以前の私のように考えてしまっている人がいるなら伝えたい。「あなたのその好きは、立派な好きだよ」と。
——とても素敵な言葉ですね。今回、撮影で使用したヴィーガンドーナツは、以前ユナさんが「好き!」と私たちにシェアしてくれた『whyte』の「VENUTS(ヴィーナッツ)」です!
そうそう、すごくうれしい〜! 食べることが大好きな私には、食の情報をシェアし合う友達がたくさんいて。フルーツパフェを一緒に食べに行く仲間だったり、長野県まで日帰りでお蕎麦を食べに行くだけの蕎麦仲間がいたりする。ひとつの分野について詳しい情報をシェアし合える仲間を持つってすごく楽しいよ♡
——ユナさんは、その“好き”を通じて出会った、さまざまなジャンルで活躍される方と積極的に交流されていますよね。音楽活動以外のコミュニティとつながることは、ユナさんにどういう影響を与えていますか。
いろんな職業の方と出会って、いろんな情報や想いをシェアすることは、自分が得意なことを頑張ろうという活力になってるかな。
——ちなみにユナさんが今、yoi読者の皆にシェアしたいことはなんでしょう。
最近ハマっている、中国の春雨「ダーラーピー」をおすすめしたい! やっぱり食べ物の話になっちゃうんだけど、めっちゃおいしくて! いろんな調理方法があるみたいなんだけど、私は豆乳とお味噌とコチュジャンで韓国風にしたり、明太子と玉ねぎとあえて明太パスタ風にしたりして食べています。
アイデアをシェアする3つの方法と、そこから広がる未来(ユウキ)
——ユウキさんは、音楽・ファッション・アートと3つの表現方法を使って、世の中にメッセージをシェアしていますよね。
表現の方法やシェアした先の形が違うから、全部やってるって感じかな! A・B・Cの3つの表現方法を持つことで、 例えば、 Aの表現では伝えきれなかったことを、まったく違うBという表現が補ってくれる。Bの表現では興味を持ってくれなかった人に、Cの表現だと興味を持ってもらえるってことができる。それぞれの表現が足りない部分を補い合ってくれて、そのすべてがあるからこそ、私の伝えたいことをあますことなく伝えられると思ってます。
CHAIとしての表現である「音楽」は形がないもの。人生のBGMとして、聴いた人の日常や気持ちを盛り上げるサポートができたり、その場の雰囲気をつくったりすることができることが魅力。
『YMYM』の服で表現する「ファッション」は、ユウキの表現として出すモノだけど、それを買った人がその服をその日の気分でコーディネートして着た瞬間に、それはその人の表現になる。表現の主体が変わるというのが、面白いなって。嫌なことがあっても「今日、『YMYM』の服を着た私って可愛い!」とキャッキャしてくれたらいいなと思いながら作ってます。
「アート」は、私の“好き”がそのまま表現されたもの。完成した作品は、人の手に渡っても、ユウキの作品としてありつづけるのがひかれる部分です。
——すべてのクリエイティブ活動を並行して行うには、きっと大変なこともありますよね。
私も実はユナと同じで、もともと好きなことに対して「好き」と正直に言えなかったタイプでした。でも、大人になる過程で、徐々に「好き」を口にできるようになったら、前回も話したように、好きなことだけで自分の人生が回りはじめて…。今、まわりを見渡すと、以前の私に似ている人をたくさん見かけるから、その人たちに「こんな生き方もあるよ!」と提案したいという想いが原動力になっています。
——それぞれの表現を通して、アイデアや生き方のヒントをシェアすることが、ユウキさんご自身を癒すことにつながっているのかもしれないですね。
そうかも! このあいだ、駅のホームで電車を待っていたら、私の活動を追ってくれていたファンの子に会って、「ユウキさんがロールモデルです。音楽活動と並行して、いろんな取り組みをしている姿を見て、なんでも挑戦してみる勇気をもらいました」と声をかけてもらって。自分がこれまでに取り組んできた表現が、ポジティブに人に伝わって、いい人生に変わったという報告を聞くとやりがいを感じます。
お気に入りのCHAIの一曲を仲間と“シェア”しよう!
撮影/酒井優衣 ヘア/夛田恵子(mod's hair) メイク/YUKA HIRAC(VOW-VOW) スタイリスト/小林聡一郎 取材・文/海渡理恵 企画・編集/高戸映里奈(yoi)
バンド
双子のマナ ( Vo.&Key. ) 、カナ ( Vo.&Gt. ) 、ユウキ ( Ba.&Cho. )、ユナ ( Dr.&Cho. )で編成された、4人組の“NEO - ニュー・エキサイト・オンナバンド”。2017年にリリースの1stアルバム『PINK』がチャートを席巻。2020年には、USの老舗レーベルSUB POPと契約し、2021年には、3rdアルバム『WINK』を発売。その勢いは日本国内にとどまらず、ワールドワイドに活躍中! 公式サイト■https://chai-band.com
【マナ】シャツ(メンズ)¥163,900・タンクトップ¥15,400・ミニスカート¥31,900・アンダーウェア¥7,480・ブーツ¥73,700/DIESEL JAPAN(DIESEL)
【カナ】ジャケット¥231,000・パンツ¥46,200・ボクサー¥10,780・スニーカー¥66,000/DIESEL JAPAN(DIESEL)
【ユウキ】ジャケット¥372,900・スニーカー¥66,000/DIESEL JAPAN(DIESEL)
【ユナ】シャツ¥52,800・ワンピース¥88,000・スカート¥38,500・パンプス¥85,800/DIESEL JAPAN(DIESEL)
【全員着用】ジャケット(メンズ)¥650,000/DIESEL JAPAN(DIESEL)
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