世界中で大きな熱狂を生んでいる、累計発行部数2000万超えの漫画「【推しの子】」がついにドラマ&映画化。主人公のアクアを演じている櫻井海音さんは、今もっとも注目を集めている俳優の一人。インタビュー前編では主役を務めることへの想いやプレッシャー、不安と向き合う方法について語っていただきました。

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櫻井海音

俳優

櫻井海音

2001年4月13日生まれ、東京都出身。バンド“インナージャーニー”のドラマーとして2023年まで音楽活動を行う。2020年にNHK連続テレビ小説『エール』で俳優デビュー。以降はドラマ『君に届け』や『アオハライド Season1/Season2』をはじめ、多くの話題作に出演。『王様のブランチ』にレギュラー出演中。映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』が2025年2月21日公開予定。

『【推しの子】』 あらすじ
伝説のアイドル・アイ(齋藤飛鳥)の子ども【推しの子】として転生した、アクア(櫻井海音)と双子の妹であるルビー(齊藤なぎさ)。ふたりは、出産したことを隠してアイドル活動を再開したアイを応援しながら、彼女のもとで成長していく。そしてアイの人気は瞬く間に上昇し、アイが所属するグループ・B小町は東京ドームでのライブを控えていた。しかし、ライブ当日に熱狂的なストーカーがアイの新居を訪れ——

イメージをいかに壊さずに、原作への愛を持って表現していけるかというプレッシャー

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——ドラマ&映画「【推しの子】」の出演オファーがあったときの率直な感想はいかがでしたか?

櫻井さん:もともと原作が大好きで読んでいて、もしドラマ&映画化するならアクア役を演じたいなと思っていたんです。とはいえ、実際にオファーをいただけたときは「まさか本当にアクアを演じられるとは…!」という気持ちでした。作品にかかわらせていただける高揚感みたいなものが大きかったです。

——「【推しの子】」は、原作コミックもアニメも社会現象を巻き起こすほどの人気を誇っています。そのドラマ&映画化作品で主演を務めることへのプレッシャーはありましたか?


櫻井さん:もちろんありました。コミックやアニメのファンの方が多いということは、それだけ皆さんが思い描いている「【推しの子】」や各キャラクターのイメージがあるわけで、そこをいかに壊さずに自分が原作への愛を持って表現していけるか、というプレッシャーはつねに感じていました。

——そういったプレッシャーとは、どのように向き合い、乗り越えられたのでしょうか?

櫻井さん:撮影が始まる前は一人で抱え込む部分も大きかったんですが、仲の良い監督や、僕が芝居を始めた頃にマンツーマンでレッスンをしてもらっていた先生に、不安な気持ちを打ち明けたんです。そこで「監督やプロデューサーは櫻井海音っていう役者にベットしたんだよ」って言ってもらえたことで、気持ちの整理がついて、覚悟を決めることができました。何万人といる役者の中で僕を選んでくれたという事実が自信につながったんだと思います。

僕以上に熱量と愛情を持ってアクア役と向き合える役者はいないと思った

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——監督やプロデューサーと最初に話された際に「この役は正直僕以外にやらせたくないです」とおっしゃったそうですね。

櫻井さん
:そうなんです。こんなことを言うと語弊があるかもしれないけれど、アクアという役に対して、おそらく僕以上に熱量と愛情を持って向き合える役者はいないんじゃないかと思っていました。

——そこまで櫻井さんに言わしめた「【推しの子】」の魅力とは?

櫻井さん
:僕がいちばん惹かれたのは、物語の構成の面白さ。それに、最初に原作を読んだとき、ここまで芸能界の酸いも甘いも丁寧に描写した作品はなかなかないと思ったし、ものすごくリアリティがあったんです。劇中で描かれる恋愛リアリティショーに関しても、実際に出たことのある身としては本当に腑に落ちる部分が多くて。そういった作品を、今度は実際に芸能界にいる自分たちがドラマ&映画化するという連鎖的な面白さも感じました。

音楽をやっているときの感覚で芝居の現場に行ったら、ボコボコに打ちのめされました

——櫻井さんご自身が芸能界に入ったきっかけを教えてください。

櫻井さん
:それがわか
らないんですよね。スカウトされて芸能界に入って…みたいな、華やかな経歴がないんです(笑)。気づいたら音楽をやっていて、そのあとモデルとしても活動して、泥水をすすりながら必死でこの世界にすがりついていたら、いつのまにかいろんなことをさせていただけるようになったという感じで。

——芸能界に入ってからこれまでを振り返って、葛藤や戸惑いを感じたこともありましたか?


櫻井さん:それはありました。特に、芝居の世界に飛び込んだときの衝撃は、大きかったです。音楽をやっているときの感覚で芝居の現場に行ったら、最初ボコボコに打ちのめされたので。音楽の世界では自分が主導権を握るというか、自分が出力できる範囲が広いけれど、役者は俳優部という部署の一人として、あくまでも監督やプロデューサーが作り上げていくものの一部に関わらせていただいているという感覚。そのふたつの面は、なかなか両極端だと思います。

でも、その感覚のズレみたいなものにはわりとすぐに慣れることができました。今はもう、現場のために、作品のために、自分ができることのフォーマットや正解みたいなものを持っているので、楽しくやれています。

最終的になりたい自分をイメージできれば、未来への不安は払拭できる

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——櫻井さんと同じ20代のyoi読者の中には漠然と未来に不安を抱いている人も多いのですが、櫻井さんも不安を感じることはありますか?

櫻井さん:不安はあまり感じないんです。なぜなら、僕はこの先、どういう人間になっていたいかを考えて、そのためには何をしなければいけないかを逆算して、やるべきことをただやってきたと思っているから。子どもの頃から続けていたサッカーをやめて音楽を始めたときも、音楽活動をいったんお休みして役者の仕事に専念する道を選んだときも、大きな決断をするタイミングにはいつもその考え方がありました。

人生の浮き沈みを折れ線グラフにしたとき、仮に落ちる瞬間があったとしても、最終的に目標としている場所にたどり着ければいい。そう考えることができたら、未来への不安は払拭できるんじゃないかと思っています。

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映画『【推しの子】-The Final Act-』
2024 年 12 月 20 日(金)より東映配給にて全国公開
原作:「【推しの子】」赤坂アカ×横槍メンゴ(集英社「週刊ヤングジャンプ」刊)
出演:櫻井海音、齋藤飛鳥、齊藤なぎさ、原 菜乃華、茅島みずき、あの 
監督:スミス、松本花奈

ドラマ&映画【推しの子】
©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・東映
©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・2024 映画【推しの子】製作委員会
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※作品の視聴には会員登録が必要です。(Amazonプライムについて詳しくはamazon.co.jp/primeへ)

撮影/久野美怜(SIGNO) スタイリスト/藤井晶子 ヘア&メイクアップ/高草木剛(VANITÉS) 吉沢実希 取材・文/吉川由希子 企画・構成/福井小夜子(yoi)