冬は体が冷えて、特にむくみを感じやすくなる季節。顔や手など、むくみやすい部位はいくつかありますが、特に足のむくみに悩まされている人は多いのではないでしょうか。でも実は、足がむくみやすい女性には、ある共通点があったんです!

整体業を中心に健康づくりを推進する「心と体サプライズ」が、20歳以上60歳未満の女性1000人を対象に「むくみ」について調査*。その結果、52.6%の女性がむくみを感じやすく、そのうち86.3%が「足のむくみ」を感じていることがわかりました。さらに、むくみを感じやすい女性の57.0%が「猫背」であることも判明。姿勢の悪さは、足のむくみにもつながっていたんですね。

*調査期間:2022年11月30日~12月1日 調査手法:インターネット調査 調査対象:20歳以上60歳未満の女性全国 有効回答者数:1,000人 調査機関:Freeasy(株式会社心と体サプライズ 調べ)

データで判明。むくみやすさは姿勢の悪さから!

「むくみを感じますか?」調査結果グラフ

「どこにむくみを感じますか?」調査結果

「むくみを感じやすい」女性と「むくみを感じにくい」女性にそれぞれ当てはまることを聞いたところ、むくみを感じやすい女性の6割弱が「猫背」(57.0%)なのに対し、むくみを感じにくい女性は「猫背」が3割超(34.3%)。ほかにも、「デスクワークなど座っている時間が長い」「立っているとき、左右どちらかに体重をかけてしまう」「反り腰」といった姿勢の悪さを自覚しているのは、むくみやすい女性のほうに多いという結果に。

「むくみやすい女性とむくみにくい女性に聞いた当てはまること」グラフ

猫背がむくみの原因となる「運動連鎖」とは?

むくみとは、細胞のまわりで栄養分と老廃物の交換を行う「組織液」が増えた状態のこと。組織液のもとは血液の一部。重力によって血液や組織液がたまりやすくなると、足がむくんできます。ふくらはぎの筋肉がポンプのように働き、たまった組織液を心臓に戻す「筋ポンプ作用」が機能することで、むくみは解消されるのだそう。

こうした組織液の循環に加えて、むくみに大きく関係してくるのが姿勢。「心と体サプライズ」代表取締役で理学療法士の上田祐輝さんによると、足がむくみやすい人は猫背の傾向があるという今回の調査結果については、「一つの姿勢を変えるだけで全身に影響を及ぼす”運動連鎖”」が関係していると言います。

「体はすべてつながっているので、猫背のような悪い姿勢をしていると、ふくらはぎの筋肉にも影響を及ぼします。試しに、立った状態で思いっきり 猫背になってみてください。すると、骨盤が寝て後傾し、膝はO脚になり、足の小指側に体重がかかってきます。反対に、思いきり背筋を反らして反り腰にすると、膝はX脚になり、足の親指側に体重がかかってきます。

猫背の人は、この運動連鎖により、足の小指側に体重をかけて生活していることになるため、ふくらはぎの筋肉がうまく使われません。なぜなら、筋肉は正しい骨格でいるときに最も使われるからです。”足のむくみがいつまで経っても解消されない”という方は、ふくらはぎの筋ポンプ作用がうまく働いていない可能性があると考えられます。従って、足のむくみを改善するには、まず正しい姿勢にすることからアプローチすることがおすすめです」(上田さん)

むくみ解消のセルフケアとは?

足のリンパマッサージ イメージ画像

ちなみに、皆さんはむくみを感じたとき、どのような対処をしているでしょうか? 調査では、約半数の女性が「セルフマッサージ」(49.8%)と回答。「湯船に浸かる」(36.3%)、「運動やストレッチ」(28.1%)、「着圧ソックス・ストッキング」(21.1%)、「脚を高くして寝る・休む」(15.8%)と続き、「特に何もしない」(20.2%)という人も2割いました。 

「むくみを感じた時、どのような対処をしますか?」調査結果グラフ

気になる足のむくみは、できれば自宅でのセルフケアで解消したいですよね。脚を高く上げたり、着圧ストッキングなどをはいたりすることでむくみは改善されますが、時間がかかったり、圧のキツさを不快に感じたりする場合もあります。上田さんによれば、むくみ改善のためのおすすめセルフケアはのひとつはリンパマッサージで、組織液を物理的に心臓に押し上げる方法。リンパマッサージで、日頃たまっている組織液とともに老廃物も流してあげましょう。 

●上田さんおすすめのリンパマッサージ

①膝を軽く曲げた状態で床やマットに座り、足首を優しく手で包みます(画像1参照)。
②そのまま膝に向かって優しくなで上げます(画像2参照)。リンパマッサージは「末梢(心臓から遠いところ)から中枢(心臓のほう)に 向かって行う」ことが基本。足の指までむくみが気になる人は、指先から足首に向かって優しくなでたあと、足首から膝に向かってマッサージしましょう。力を入れすぎないように注意してください。筋肉のマッサージではなく、組織液を流すリンパマッサージなので、皮膚の表面を優しくなでるくらいの力が適切です
③ ①〜②を3分間繰り返して行いましょう。むくんでいたところを指で数秒間押して、へこみが出なければOK!

ふくらはぎのリンパマッサージ

ふくらはぎの「筋ポンプ作用」を活性化

むくみ解消のためのおすすめセルフケアのもうひとつは、筋肉の働きで血液を心臓に押し上げる「筋ポンプ作用」にアプローチする方法。ふくらはぎの筋ポンプ作用が働くように、硬くなっているふくらはぎの筋肉をストレッチで伸ばしましょう。筋肉がしっかり弛緩・収縮できるようになると、よりむくみにくい体につながります。

●上田さんおすすめのふくらはぎのストレッチ

①アキレス腱伸ばしの姿勢で、後ろ足のふくらはぎの筋肉を伸ばします。その際、後ろ足の親指側と小指側にかかる体重が均等になるよう意識しましょう。
②反対の足も同様に行います。
③ ①と②をそれぞれ30秒で3セット行いましょう。 

ふくらはぎのストレッチ

●上田さんおすすめのふくらはぎの筋トレ

立った状態で、つま先立ちを20回行います。その際、足の親指側と小指側にかかる体重が均等になるよう意識しましょう。親指の内側や小指の外側に体重を偏ってかけると、ふくらはぎの筋肉がうまく働かないので注意して。これを3セット行いましょう。 

ふくらはぎの筋トレ(まっすぐ立った状態)

ふくらはぎの筋トレ(つま先立ちの状態)

背骨を触りながら猫背を改善!

そして猫背を改善すると、全身の姿勢が整って良い筋肉が使えるようになり、足にもいい影響を及ぼします。

①床やマットにあぐらをかいて座り、背骨を触りながら猫背になるように背中を丸めます。すると、背骨が飛び出してくるように動くのがわかるはず。まず、これを実感しましょう。
②背骨を触ったまま姿勢を正します。今度は、背骨が前のほうに引っ込むのがわかるはずです。
③ ①と②を、手の届く範囲内で、お尻に近いところから首の後ろまで背中全体のさまざまな箇所で行いましょう。
「この動きを行うことで、姿勢を正す筋肉を働かせながら脳が正しい姿勢を実感します。人間の脳には『これが最適な姿勢』というボディイメージがあるのですが、現代人はそもそも正しい姿勢のイメージが歪んでいます。背骨を触りながら姿勢を正すことで脳に刺激を送り、ボディイメージの改善を図ります」(上田さん)

猫背を正す方法1

背骨を触りながら、猫背になるように背中を丸めて

猫背を正す方法1

背骨を触ったまま姿勢を正します

日々のリンパマッサージも大事ですが、日頃から姿勢を正すことでむくみ改善につながるのだそう。歩くときや立っているとき、座っているときの姿勢を意識してみると、筋肉が鍛えられ、自然とむくみの予防・改善に。正しい姿勢でスタイルアップも期待できそうですね。

構成・文/長岡絢子 Photo by liza5450 / iStock / Getty Images Plus