「かわいいメイクアップって何ですか?」
今をときめくメイクアップアーティストにそう問いかける、ビューティ新連載がスタート。第1回目は渡嘉敷愛子さんを迎え、俳優・穂志もえかさんの内面と響き合う2つのルックをお届けする。多様化する“かわいい”のかたちをヒントに、心になじんでふっと上向かせてくれる、自分だけの特別な“かわいい”を見つけて。
【渡嘉敷さんが考える”かわいい”メイクアップのヒント:1】素顔を少しだけ、ブラッシュアップしてみる
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「目のラインをくっきりなぞったり、まつ毛を少しだけ上げて瞳に光を集めたり。元々持っている要素にわずかに磨きをかけることで、普段の穂志さんらしくも彼女の内に秘めた芯の強さを引き出せたらと。アイラインはやや太めに、伸ばしたりせずピタッと留めるのがポイント。下まつ毛のブルーは服に合わせて思いつきで塗ったようにあえてラフに仕上げ、大人の遊び心を感じさせて」(渡嘉敷さん・以下同)
【渡嘉敷さんが考える”かわいい”メイクアップのヒント:2】お決まりのルールにとらわれず、自分がしっくりくる色やつけ方を追求する
ジャケット¥93,500/ボウルズ(HYKE)03-3719-1239 ネックレス¥24,200/Rieuk(リューク)info@rieuk.com
「いつもはラフな服装の多い穂志さんが黒いジャケットを着たらどういうメイクをする? と考えたとき、目もとはゴールドよりもシルバーの方が合いそうだなと。
一見強くてエッジィだけれど決してゴージャスにはならず、カジュアルさも感じさせるのが彼女の持ち味とマッチしています。ブラウンの唇はあえてくっきりさせず輪郭を曖昧に仕上げる、眉はリキッドで描いて隙間を活かすなど、穂志さんのムードに合わせて抜け感も意識。ネットで調べたルールを鵜呑みにするのではなく、自分がやりたいことや似合うものを考えてみるのが大切です」
渡嘉敷さんのかわいいとは:「そのメイク、かわいいね」じゃなくて、 その人がまるごと愛おしいと思えるような顔づくり
──渡嘉敷さんにとっての“かわいい”って、どういうことでしょうか?
“かわいい”ってなんですかね。わたしにも正直わからないし、わからなくていいのかも(笑)。正解をひとつに決める必要はないと思います。強いて言えば、私は好きなものや生き様が垣間見える人をかわいいと思いますね。たとえばロリータのコとか、着古したバンドTを自分のモノにしてるコとか、すごくかわいくてカッコイイなと。
自分の“好き”を何の気負いもなく楽しんでいるマインドにグッとくるのかもしれません。だからメイクするときに一番大切にしているのも“その人自身”です。顔をキャンパスのように塗りつぶすのではなく、その人が普段からやっていることを聞いて取り入れたり、チャームポイントになるパーツを活かしてあげる。そうすると表面的な美しさに留まらず、自分だけの奥行きや愛おしさのようなものがにじみ出てくると思っています。
──典型的なかわいいやキレイじゃなくても、その人らしさがいい味になる、不思議と心惹かれてしまうというのはありますよね。でもセルフメイクするときに自分の“好き”がイマイチわからない、自信が持てない人はどうしたらいいでしょうか?
“かわいい”という言葉は、いまやナイスとかグッド的な意味合いで使われることが多いですよね。型にハマった概念ではなくなって、人それぞれそのときどき、自由な捉え方ができる。メイクもスキントーンにマッチする色を考えたり“正解”を探しがちだけれど、あれこれ考える前にとりあえずやってみるのがいいんじゃないかな。
まず実践してみて気持ちが上がったら、それはもう自分なりのひとつの正解だと思うんです。でもやっぱり普段と違うメイクで出かけるのはドキドキする……。そんな人はすごく親しい人に会うときや逆に自分のことを誰も知らない場所に行くときを狙って、新しい顔にトライしてみるのもおすすめ。それでなんだか違うなと思ったらやり方を変えてみればいいし、別の色に挑戦してみてもいい。
一発でベストアンサーを出そうとしなくても、肩の力を抜いてメイクを楽しんでいるうちに自分の“好き”や“似合う”も自ずと見えてくる。それがいつしか他の誰とも似ていない、あなただけの“かわいい”になるのかもしれません。
撮影/池満 広大(be natural) ヘア&メイクアップ/渡嘉敷 愛子 スタイリスト/辻村 真理 モデル/穂志 もえか 構成・取材・文/小川 由紀子